蜘蛛というとちょっとグロテスクで近寄りがたいですが、緑色が美しい蜘蛛もいます。
それは、サツマノミダマシ。
この蜘蛛は、網をつくる名手でもあり、あっという間に綺麗な巣を作り上げます。
よく見ると前足で全体の間隔を把握し、後ろ足で糸を張る位置を微調整しています。
その芸術性についつい見とれてしまうわけですが、その様子を見ながらある疑問が浮かびました。
それは、右回りに巣を作るのか、左回りに巣を作るのか、その決まりがあるのかということ。
観察し始めた時には、この蜘蛛は(蜘蛛から見て)右回りに巣を作っていました。
螺旋状に円網を作るわけですから、きっと最後まで右回りで作るだろう・・・・・・この蜘蛛は右回りの性質を持っているのだなと思いかけた瞬間・・・・・
この蜘蛛は突然左回りに向きを変え始めました。
(2枚の写真は同じ方向から撮影しています、念のため)
右回り、左回りっていうことは決まりが無く、きっと気まぐれなのでしょうね。
巣を完成させるまでに何度か回り方の向きが変わっておりました。
さて、右脳、左脳という性格判断がありますが、それに関して面白い実験があります。
まずは、下記のサイトにアクセスして、画面の女性がどちら向きに回転しているのかを見てください。
ProcreoFlashDesign
Flash Laboratory ■Silhouette Illusion
右回りに回転しているように見えますか?
それとも左回り?
THE Right Brain vs Left Brain test によると、右回りに感じた人は右脳人間、左回りに感じた人は左脳人間だそうです。
右脳と左脳の機能は、そのサイトによると
だそうです。
LEFT BRAIN FUNCTIONS
uses logic
detail oriented
facts rule
words and language
present and past
math and science
can comprehend
knowing
acknowledges
order/pattern perception
knows object name
reality based
forms strategies
practical
safeRIGHT BRAIN FUNCTIONS
uses feeling
"big picture" oriented
imagination rules
symbols and images
present and future
philosophy & religion
can "get it" (i.e. meaning)
believes
appreciates
spatial perception
knows object function
fantasy based
presents possibilities
impetuous
risk taking
けれども、その右脳だから右回転に見える、左脳だから左回転・・・ということに関しては異論があります。
おそらく、その異論のほうが信頼性がありそうですので、そちらもご紹介いたします。
この映像は 人の中心に視点を置いて作られ これを平面に投影すると、上げた足先の軌道は楕円を描き、楕円運動の下側に足先がきたとき、手前に見える。この状態で右回転。意識の中で、下の方から見上げる視線になると、楕円の下側にきた足先は、向こう側 従って、回転が逆になる。
この視点移動のキッカケが 何に起因するかが問題だが 影だけを見ると 経験的に上から見下ろすという意識により、左回転の方が優位になる。ところが、軸脚の影を見ると右回転にも見え ここだけを見ると、どちらにも見える。なぜ、軸足が逆回転に見えるか・・ 軸脚の楕円運動の径は小さく、平面に投影すると、水平回転つまり楕円運動には見えないからであろう。
左回転と認識すると、全体が左回転になり、ある瞬間、全体像の視線位置が人の中心と意識すると、右回転になる。どちらかが優位になると、片方の情報は排除され だまし絵?の一つで、1915年にルビンによって提唱された、『杯と横顔』の反転図形に似た脳の知覚システムに起因すると思われる。顔と認識すると杯が排除され、杯だと見ると顔が見えなくなるのに似た、脳の知覚システムの一つ。つまり脳は柔軟性ある対応が可能であるが、どちらかしか認識しない事によって 知覚に混乱を招く事態に対処しているようである。
みなさんはどのように感じられましたか?
さて、サツマノミダマシくんのつくりあげた蜘蛛の巣は、それはそれは見事なものでした。
工業製品は一つひとつの部品が厳密な品質管理により作り上げられています。
寸分狂いも無い部品を組み上げることにより、美しい製品が出来上がると、私たちは信じてきました。
工業製品として私たちがこのような巣を作るとしたら、きちんと隣との糸の間隔を測定し、正多角形に限りなく近づけるように努力するでしょう。
右巻きと左巻きの混在など、もってのほかです。不良品としてはじかれてしまいます。
けれども、このサツマノミダマシのように、自然の生き物の作り上げる「作品」は、おそらく、たくさんの「気まぐれ」により作り上げられています。
蜂の巣だってそうですね。厳密な正六角形ではなく、一つひとつの形は個性的です。
しかし、全体的に見ると調和の取れた美しい形となっています。
自然界のもつ「ゆらぎ」のもたらす美しさといってもいいでしょう。
私たちの固定概念は、儚く脆いものなのかもしれません。
いちばん美しいクモの巣 (詩人が贈る絵本 II) (単行本)
アーシュラ・K. ル=グウィン (著), Ursula K. Le Guin (原著), James Brunsman (原著), 長田 弘 (翻訳), ジェイムズ ブランスマン
クモをきらう人はすくなくありません。けれども、きらわれ者のクモは、本当はとても愛すべき生き物。
これは、リーゼ・ウェブスターという名のかわいいクモのお話です。
リーゼの夢は、世界でいちばん美しいクモの巣をつくること。どうやったら、美しいクモの巣を編めるだろうか?
リーゼはいっしょうけんめい、クモの巣を編みつづけます。そうして、ある夏の朝、じぶんの編みあげたクモの巣を見つめて、リーゼはつぶやきます。
「これは、わたしのつくった、いちばん美しいクモの巣だわ」
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