安禅不必須山水 滅却心頭火自涼

7月盆の終りから教区施食会(大施餓鬼会)法要がはじまり、昨日まで連日教区内及び法類御寺院様の法要に随喜させていただいておりました。
そして今日から8月のお盆・棚経が始まります。

暦の上では秋となりましたが、やはり暑い日が続いていますね。
台所の外に植えてあるゴーヤのつるが伸びること伸びること・・・・・
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特に一昨日昨日と、全国的に記録的な猛暑となりました。


<猛暑日>水難死者・行方不明者12人 熱中症で1人死亡

 本州を中心に太平洋高気圧に覆われて全国各地で猛暑日となった11日、水の事故や、熱中症による死者が相次いだ。毎日新聞の12日午前0時現在のまとめでは、水難事故の死者・行方不明者は東京、神奈川など11都道県で計12人に上ったほか、群馬と山形で計2人が熱中症で死亡した。
 新潟県柏崎市の海水浴場で遊泳中だった東京都品川区の男性会社員(29)が沖合約70メートルの海底で見つかり、死亡が確認された。お盆休みで母親の家に遊びに来ていた。福島県新地町の地蔵川河口付近でアサリ取りをしていた男性会社員(65)や、岐阜県美濃市の板取川でアユ釣りをしていた男性(57)も水死。さらに高知県いの町の仁淀川で、キャンプ中に水遊びをしていた男児(6)が流されて行方が分からなくなるなど死者7人、行方不明者5人となった。
 また、愛知県常滑市の海水浴場に遊びに来た同県愛西市の女児(6)と、長崎県佐世保市のプールで泳いでいた宮崎県都城市の男児(4)がいずれも意識不明の重体。
 一方、熱中症では群馬県富岡市で農作業をしていた男性(68)と、山形県高畠町で80代の女性が死亡した。
 気象庁によると11日の全国最高気温は、兵庫県豊岡市の38.6度(同市の8月の観測史上最高記録)。群馬県館林市で38.3度、東京都練馬区で37.6度を観測するなど、各地で35度以上の猛暑日となった。12日も北・東日本を中心に晴れる所が多い見込み。予想最高気温は、東京都心と名古屋市で35度、大阪市と福岡市で36度。

毎日新聞


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

アメダスの気温分布を見るのもいやになるほど真っ赤です。
気象庁は、ついこの前、今夏の予測を、長雨が続いた7月に、「猛暑」から一旦「平年並み」に修正したばかりですが、一昨日、1か月予報を「猛暑」と、再度修正しています。
今年の電力需給は大丈夫でしょうか・・・・・・


報道にもあるように、熱中症や水難事故で多くの方が命を落とされています。
年々過酷になる夏ですが、対策だけは充分に心がけたいものです。


この時期に頭に浮かぶ有名な句があります。



『夏日題悟空上人院』 (夏の日に悟空上人の院に題す)

 三伏閉門披一衲 
 兼無松竹蔭房廊 
 安禅不必須山水
 滅却心頭火自涼 


この最後の句が特によく引用されますね。

心頭を滅却すれば火もおのずから涼し・・・・・・

これは、9世紀・中国唐代の詩人、杜荀鶴によるものです。
この句の引用は、『碧巌録(へきがんろく)』第43則にも見られますし、山梨県・恵林寺の山門にも掲げられています。
特に、恵林寺は、武田信玄による篤い信仰心のために建立・整備された大寺院ですが、天正10年(1582)、織田信長は山門に快川禅師、修行僧約100人を閉じこめ、焼き討ちをします。
その際、燃え盛る伽藍の中で快川禅師の遺された遺偈です。
快川禅師の心たるや、如何なるものか想像を絶します。


 

さて、この夏の時期は、冒頭で述べたように、施食法要随喜のため多くの御寺院様を廻ります。
本堂内に冷房が入っている御寺院はとても有り難いのですが、構造上などさまざまな制約のため冷房がない寺院も多く、それぞれの寺院で、暑さをやわらげ、楽しむ工夫を随所にされています。
それを見るだけでもとても豊かな気持ちになります。

例えば、
・本堂の銅板屋根全体に井戸水を流す
・風鈴を吊るす
・日よけのよしずに水を垂らす
・睡蓮の水鉢を境内各所に置く
・かき氷を配布
・打ち水
・法要途中にみなさんに冷やしたお絞りを配布・・・・・・などなど。

また、当教区では、この時期の袈裟の色は、爽やかな緑に統一しています。


貞昌院ではこのような工夫をしています。 その1 その2


法要途中は確かに、正直暑いですが、その分、時折堂内をよぎる風がとても涼しく感じたりします。
寒暑と自分とが一体となった境地には、まだ達していないのでしょうけれども、夏の暑さは我慢大会ではないですから、むしろその暑さを楽しむくらいの余裕が出来たらと思っています。


 

最近は、普段の生活の中で、どこにいても冷房が効いていて、快適に過ごすことができます。
しかし、外に出ればこの猛暑です。
外に出ることも躊躇してしまいそうです。


実は、貞昌院では、客間以外に冷房装置はついていません。

家族全員、冷房があまり好きではないということもあるのですが、ありがたいことに、貞昌院の東側?南西側にかけて、裏山があるということが大きな要因になっています。

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【写真】貞昌院庫裏より天神山を望む 左:昼 右:夜


木の効果と役割

樹木にヒートアイランド現象の抑制効果があることはよく知られていますが、木の持つ効果はその他にも多々あります。例を挙げると、(1)夏季に住宅の日射を遮る、(2)蒸散効果により都市気温を下げる、(3)騒音を緩和する、(4)大気の有害物質を濾過する、(5)腐食性の降雨から建築物を防護する、(6)風害を防ぐ、(7)火災の延焼を防止する、(8)根は土壌の浸食を防ぐ、などです。また木は、鳥や虫などの小動物の住まいともなります。
A.Moffatの研究によると、夏季の晴天時に樹木1本から860MJ/日の熱が潜熱として放散され、この樹木の蒸散効果により都市の中に気温の低いゾーンが造り出されることがわかっています。これをオアシス現象と言います。

USAのサクラメントやフェニックスで、植栽面積が25%増えれば、6月の午後2時の温度が6?10K下がることや、ロサンゼルスで植栽を14%増すと最大1.3K気温が低下するという推定例が報告されています。これらによると、住宅敷地面積の15%に当たる植栽面積を増せば、冷房デグリーデー(ほぼ冷房エネルギーに比例)が2?5%減少します。

おおさかATCグリーンエコプラザのサイトより引用



南風はこの裏山の木々を通り抜けて届きます。
山には湧水がふんだんにありますし、木々の放つ水蒸気の蒸散作用により、心地よい風が吹き抜けていきます。
ありがたいことです。

(右上のチャートは随喜させていただいた御寺院様の本堂に冷房が有るか無いかの表です。参考までにつくってみました)

投稿者: kameno 日時: August 12, 2007 8:20 AM

コメント: 安禅不必須山水 滅却心頭火自涼

何のグラフなんだろうと文を読みながら考えていました。当山にはありませんが、本堂の冷房はあったほうが良いと思います。特に街中の比較的小規模で、自然の涼風が入ってこないお寺様には必需品です。寒さはどうにか対処できますが、暑いのは冷房以外対処の方法がありませんから。

投稿者 あっぷる | August 12, 2007 11:00 AM

あっぷるさん
コメントありがとうございます。
本堂に冷房が入っているということは、それこそ御寺院さんの参列者が快適にお参りできるようにという心遣いだと思います。 とても有り難い配慮だと思います。
当教区では、チャートでご覧のとおり、(貞昌院を含め)本堂に冷房が入っていない寺院も多く、その分みなさん特徴ある工夫をされていますのでご紹介してみました。

※こちらは今日も暑いです。昼食後、棚経午後の部へ。

投稿者 kameno | August 12, 2007 11:15 AM

かって、東南アジアへ出かけた際に、インドネシア、タイ、マレ?シア、インドでもク?ラ?がなくても、皆さんはあの猛暑を凌いでいました。
慣れているとは言え、流石です。しかし、良く観察すると、色々の工夫をしています。
・軒先が深いです。
・窓に簀状の風通しだけを良くして日光を遮蔽する、木製の枠 が付いています。
・最も多く、一般的で効果的な処置方法は、天井ファンです。
 大きな羽根で、部屋中の空気を攪拌しています。
それを真似して、我家では、20年以上前から、居間に天井ファンを付けて活用しています。(流石、今年の暑さは異常で、ク?ラ?を必要としますが、風がある今日などはは天井ファンで充分です。)
インドでは窓の芳須に上から水を流して、屋内の温度を下げている光景も見ました。
何でも、ク?ラ?頼りの現在の生活に、自然の環境を大切にした何等かの工夫が大切と思います。
それこそが、CO2削減に協力する私達が出来る地球温暖化対策であると思います。

投稿者 茅野眞一 | August 13, 2007 4:31 PM

茅野さん
コメントありがとうございます。
暑い地方では、それぞれの特徴ある工夫が見られますね。
そういえば、天井ファンをつけている御寺院さんもありました。なかなか効果的ですよね。
湿度の低い国では、日差しさえ遮ればかなり涼しくなるのですが、日本のように湿度が高いと不快指数も上昇してしまいます。
京都の町屋や、江戸の街並みの工夫などを調べていくと、日本特有の暑さに対応する知恵が随所に見られます。まさに生活の知恵ですね。
やはり、その国、その地方に合った工夫というものが必要なのでしょう。

投稿者 kameno | August 13, 2007 8:11 PM

今年は本当に暑いですね。特にお盆の期間中は暑くて夕方ビールを飲んだものの、寝汗をかいてしまい体調がおかしかったため、お盆以降アルコールを口にしていません。お釈迦様がお酒を飲む事を戒められた理由が頷けました。
電力の需要のピークがお盆休み明けにあり、使っていない水力発電所が稼動する等大騒ぎだったようです。新潟県の地震で原発が停止しているためだそうですが・・・
滋賀県庁で数年前から原則としてお盆の期間中を閉庁したところ、経費の削減が出来たという事があったそうです。冷房を使わずにすんだのでしょう。お盆休みをきちんと取得する事は地球環境に優しく、御先祖様の供養をするという意味で大事だと思いました。
以前kameno先生が写真を掲載されていました緑のお袈裟は凛として清々しい感じがして禅宗らしい感じがしました。

投稿者 天真 | August 26, 2007 8:49 AM

今年の電力供給はまさに綱渡りの状態でしたね。
ようやく秋の気配もだんたんと色濃くなってきましたので一段落といったところです。
おっしゃるとおり、お盆休みはそのような意味合いもあるのかもしれないですね。
緑の袈裟は、素材も薄く、夏にはもってこいです。
見た目の涼しさにも増して実用的なお袈裟なのです。

投稿者 kameno | August 27, 2007 10:48 AM

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