No.36
おおよそ仏祖の屋裏には茶飯これ家常なり --正法眼蔵家常-- 皆さんは、朝起床してから夜就寝するまで何をされていますか? 果たして何をしているだろうと、考え込んでしまう人もいられることでしょう。また、慌ただしい毎日に追われて、とても一言では言い尽くせない充実感を持たれている方もおられることでしょう。 どう答えるべきか難しいところですが、つきつめて考えてみると、私たちの生活習慣は、毎日それほど変わるものではないので、意外と単純なことに気がつきます。それは、朝・昼・晩の食事と、自身の為すべき仕事あるいは家事・・・、この繰り返しなのです。 しかし、道元禅師は、この三度の食事を戴き、決められた仕事・家事をこなすという、この毎日の当たり前の行いというものこそが大事なことであると言われています。 食事を摂ることにしても、好きな物だけ食べていては体にも良くありません。また、仕事もせずに遊んでばかりいては生活することもできません。心の中に貪る気持ちが起これば、いくらでも怠けることができます。日常生活において、食事・仕事・家事、どれも当たり前のことですが、それぞれの事を我々自身がいかに自立し、自分の問題として真剣に捉えて行動できるかということが大事なのです。 ですから、茶飯︵日常生活︶こそが、家常︵仏道修行の場︶なりと説かれた道元禅師の真意を今一度皆様方によくよく考えていただきたいのです。 そして、自分自身に与えられた仕事︵食事・家事や仕事︶に対して全力でぶつかり、真剣に行うことが出来たならば、それは正に道元禅師の教えに適︵かな︶うこととなるのです。