No.29 解説
道元禅師がお書きになった﹃正法眼蔵︵しょうぼうげんぞう︶﹄﹁行持﹂の巻には、﹁行持﹂すなわち仏道修行の上で保つべき事柄、護持すべき心構えをくり返して伸べています。 道元禅師がここで述べられる﹁いま﹂という時は、修行の以前からあるのではなく、修行の実現してる時こそ﹁いま﹂があるのだということです。﹁いま﹂という時を大切にして、毎日を積み重ねて行くことが、修行なのだと戒めているのです。 時間を大切にすべきこと、一日一日をしっかりと生きることは、何も仏道修行に限ったことでなく、我々の生活全てに言えることでしょう。日常の暮らしに当てはめて言うならば、生活や仕事に励んでいる状況が﹁いま﹂であり、その時無くして、人々の﹁いま﹂も様々な成果も存在しないと言えるのです。