No.24
道元禅師は、寺院の典座の役職に就いた者に対する心得として﹃典座教訓﹄を著しました。典座とは、寺院の食事を司る係であり、当時はとかく軽視され勝ちでした。禅師自身も、修行とは坐禅や経典を読むことこそが重要だと考えていました。 しかし、中国に渡りその地で典座の職に就いた僧侶達に逢い、その考えを一変させたのです。食事を作るのはただ単に仕事ではなく修行なのだ、食事を食べることももちろん修行である、と。 典座の職に就いた人々の真摯な態度、多くの先人の業績に触れて、そこに修行の本質、心を砕き誠意を持って事に当たるという人間としての基本を見たのです。 ﹃典座教訓﹄中には、食事を司る人々の逸話を示しながら、食材を無駄にしない、食器や道具を大切に扱う、食べる人のことを考える、等々の細かな心構えを説いているのです。