平成31年4月1日、新元号が決定され、菅官房長官から発表されました。
【安倍総理冒頭発言】
本日、元号を改める政令を閣議決定いたしました。新しい元号は「令和」(れいわ)であります。
これは「万葉集」にある「初春の令月にして 気淑(よ)く風和(やわら)ぎ 梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き 蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す」との文言から引用したものであります。そして、この「令和」には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められております。
「万葉集」は、1200年余り前に編さんされた日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく、防人(さきもり)や農民まで、幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書であります。
悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、「令和」に決定いたしました。
文化を育み、自然の美しさをめでることができる平和な日々に心からの感謝の念を抱きながら、希望に満ちあふれた新しい時代を国民の皆様と共に切り開いていく。新元号の決定に当たり、その決意を新たにしております。
5月1日に皇太子殿下が御即位され、その日以降、この新しい元号が用いられることとなりますが、国民各位の御理解と御協力を賜りますよう、お願いいたします。
政府としても、ほぼ200年ぶりとなる歴史的な皇位の継承がつつがなく行われ、国民こぞって寿(ことほ)ぐことができるよう、その準備に万全を期してまいります。
元号は、皇室の長い伝統と、国家の安泰と、国民の幸福への深い願いとともに、1400年近くに渡る我が国の歴史を紡いできました。日本人の心情に溶け込み、日本国民の精神的な一体感を支えるものとなっています。この新しい元号も広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根差していくことを心から願っています。私からは以上です。
元号に関しては、これまでは出典が判明しているだけものは全て中国の古典に由来していましたが、「令和」は初めて日本の古典『万葉集』から選定されました。
初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす
(『万葉集巻五・梅花の歌「序」)
この梅花の歌は32首あり、大伴旅人らが大宰府で行われた「梅花の宴」詠んだとされます。
「令月」は「素晴らしく麗しい月」という意味があり、また、「令嬢」「令息」などに用いられる「令」の字には「よい」という意味もあります。
「令和」を訓読すると「和たらしむ」とも読ますし、語感が「へいわ」にも近く、読みやすい元号だと感じます。
なお、この出典の梅花の宴が行われた大宰府ですが、貞昌院とも関係があります。
貞昌院は日本三体の永谷天満宮の別当寺院であり、山号は天神山です。
なので、少なからず大宰府と関係があります。何かの御縁ですね。
隣接する永谷天満宮との境界の桜は、新元号発表の日には満開になっていました。