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南米で初開催されたリオデジャネイロオリンピックは、17日間におよぶ熱戦を終え、8月21日(日本では22日)に閉会式を迎えました。
日本は史上最多の41個のメダルを獲得し、メダルを惜しくも獲れなかった選手も含め、記憶に残る熱戦が印象的でした。
そして閉会式。
4年後の東京オリンピックの約10分間のプレゼンテーション(プロデュース:椎名林檎・佐々木宏・菅野薫・MIKIKO)か特に素晴らしかった。
⇒ NHKのYouTubeチャンネルでその映像を見ることができます。(ここをクリック)
■徹底的な日本らしさの中にもリオ・リスペクト
オープニングで、東日本大震災などに寄せられた世界中の人々への感謝のありがとう。
被災地の小中高校生たちによる人文字と国家の斉唱。
以降、プレゼンテーション全体に流されていた音楽は、初めから終わりまでリオ市民の体に染みついているサンバのリズムに統一されていました。
自国のアピールに終始しがちなプレゼンテーションにおいて、地元リオデジャネイロへのリスペクトが根底に流れています。
RIO
OBRIGADO
ARIGATO
次々に登場する日本のキャラクター。
プレス向けには説明が配布されていましたが、映像を見ている世界中の人には、「マリオ」「ドラえもん」「ハローキティー」「パックマン」・・・それがどういうキャラクターなのかを改めて説明する必要がありません。
それだけ日本の持つコンテンツ力が強いということ。そのことを十分に生かしていました。
RIOだから「MARIO:マリオ」という意図もよくわかります。
■東京とリオの位置関係もきちんと説明されている
安部総理は、日の丸をイメージした赤いボールをリオまで急いで届けるため、マリオに変身。
「ドラえもん」が四次元ポケットから土管を出して東京からリオまでルートを作ります。
ここで、敢えて「どこでもドア」にしなかった理由は、リオデジャネイロと東京が地球の真裏の位置関係にある(つまり真下に掘っていけばそれぞれの都市がつながる)ということをイメージできるからでしょう。
東京が地球上のどこにあるのか、世界中にはそれを知らない方も多数いる中で、効果的な演出でした。
■小池知事・安部総理の本気度 =日本の本気度
「フラッグハンドオーバーセレモニー」での小池知事の衣装は、一見地味に見えるけれども、錦糸の帯、見事な鶴の刺繍・・・最高級の着物だと拝察しました。少なくとも数千万円の価値のあるものだと思います。
その「勝負着」で、あの大雨の中、セレモニーを遂行した姿は、知事の本気度を示してくれました。
安部総理は、こんな風に土管の中で待機していたのでしょうか。かわいい。
知事や総理の本気度は、東京オリンピックに日本がどれだけ本気で取り組んでいくかを表しています。
■技術を活用したオリンピック開催のアピール
日本は技術立国。
コンテンツだけではなく、その技術を生かしてオリンピックをどれだけ楽しませてくれるか。
その期待感を持たせる演出も素晴らしかった。
AR(拡張現実)によって、東京大会から公式種目として採用されるスケートボードなどを含む33の競技をイメージした映像を投影。
4年後にはARを最大限に利用して、観客が360度どの方向からも自由に観戦できる、そんなことも期待できます。
そして、特筆すべきはフィールドに投影されたプロジェクションマッピング。
通常、斜め方向からプロジェクターで投影するとダンサーの影がくっきりと映ってしまうのですが、この演出ではまったく気にならない。
なんと、20,000ルーメンクラスの大型プロジェクターを100台以上同時制御して、競技場の4方向から投影しているのです。
まさに日本企業の本気。
これだけ高度なプロジェクションマッピングを本番できっちり成功させるということは、計画から準備までどれほどの労力を費やしたのか。
日本だからこそできた演出だったといえます。
フィールドでは青森大学男子新体操部によるスポーツの動きをモチーフにしたダンスや、光のフレームを用い東京大会のエンブレムを形作るなどの演出が行われ、プレゼンテーションの終盤では東京の街並みや富士山の影絵が映し出され、土管からはスカイツリーが出現します。
「SEE YOU IN TOKYO」文字とともに赤と白のダイナミックな花火が会場を彩りました。
さりげなくマリオのゲームクリアのBGMも。
4年後の東京オリンピックでは、どんな素晴らしい大会になるのかを世界中の人たちにアピールした素晴らしい閉会式でした。
今回の演出には若いクリエーターたちや技術者たちの柔軟な発想と実行力がみごとに結実しています。
是非、若い力を東京でも発揮して欲しいと思います。4年後が楽しみです。
※ブログ記事中の写真はyoutube公式映像からキャプチャーしたものを使用しました。