ラオス研修旅行(11)SVAラオス事務所

曹洞宗と深い関わりがあり、宗務所婦人会活動の「絵本を送る運動」でもつながりがある公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(=Shanti Volunteer Association, 以下 SVA) のラオス事務所を訪問しました。
SVAは1980年にカンボジア難民の緊急救援活動のために曹洞宗東南アジア難民救済会議(JSRC)が設立されたのが前身です。
1981年の緊急救援活動プロジェクトの終了にあたり、JSRCのボランティアの有志が、それまで行っていた活動を継続させるためにシャンティ国際ボランティア会を立ち上げました。

■SVAの主なあゆみ
1981年 JSRCのボランティアが曹洞宗ボランティア会(SVA)を結成。
1984年 初の開発事業をタイ・スリン県バーンサワイ村で開始。
1985年 タイのラオス難民キャンプで印刷活動が始まる。図書館活動開始。フェアトレード事業「クラフト・エイド」を開始。
1989年 タイ・バンコクに職業訓練センター開設。
1991年 カンボジア事務所開設。
1992年 ラオス事務所開設。「曹洞宗国際ボランティア会」と改称。
1995年 阪神・淡路大震災支援。「社団法人シャンティ国際ボランティア会」となる。「絵本を届ける運動」を開始。
2000年 ミャンマー(ビルマ)難民支援事業を開始。
2003年 アフガニスタン事務所開設。
2011年 「公益社団法人シャンティ国際ボランティア会」となる。東日本大震災被災者支援を行う。
2012年 宮城県と福島県で移動図書館プロジェクトを開始。


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ビエンチャンにあるラオス事務所にてラオスの現状とラオス事務所の活動についてお話いただきました。
SVAラオス事務所の主な活動は、学校建設・学校教育・学校外教育・伝統文化支援となっています。

ラオス人民人主共和国は、中華人民共和国、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、タイに囲まれた内陸の国であり、北部は山岳地帯、南部は平野部、そしてメコン川沿岸地区に分けられます。
ラオスの人口は約650万人で、人口密度は低く、国土面積は日本の約半分です。
政府公式でラオ族、プータイ族、カム族、モン族など49の民族が暮らし、6割がラオス語、残りはラオス語を日常言語としない民族です。
宗教は67パーセントが仏教徒、その他アミニズム、キリスト教などが信仰されています。

ラオスは秘められた戦争国であり、例えばベトナム戦争ではアメリカ軍の攻撃の影響がなかったとされていますが、実際は200万トン以上の爆弾が投下され、2億7000万個中8000万個が不発弾となっています。
国民1人当たりの不発弾の量は世界最大とも言われます。
このため、不発弾による人的被害は多く、年間死傷者300名のうち50%は子供です。1964年~2007年の死傷者は50000人に及びました。

ラオスでは1975年以降内戦が繰り返され、反政府勢力との衝突やアメリカ軍側の助けをしたモン族が弾圧を受けるなど、人口の1割が難民になりました。
(CURRENT UXO Operation LAO PDR 2008)
貧困地域では農地を切り開き、金属を売る生活を強いられました。


ラオスの学校制度は5・4・3・5制。
公立大学は4校で、教員資格・教員養成学校は8箇所(就学前、初等)3箇所に留まります。
小学校数は8871校、小学校が設置されていない村は 2092村(20%)
5年生まで運営できない学校は4588校、1校あたりの教育者は平均3名となっています。
また、教育予算に占める外国支援の割合は6割にも及び、支援の重要さを示しています。

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ラオス教育における問題は
・留年率、退学率の高さ。
・学校まで遠い、校舎がない
・教員質の低さ、人数の不足
・教材不足 教科書以外に子供用図書がない
・家庭の貧困、教育費が高い
などです。

人口の73%が農業従事者であり、主要とする稲作により自給自足がなされているため、家事や農業の手伝いなどの労働力として子供は貴重な働き手となります。
したがって、通学したり勉強する時間が無く上記の問題が発生するのです。


プロジェクトの一つの柱、学校建設では、ルアンパバーン県ヴェンカム郡を中心に活動を行なっています。
この郡は、143郡中13番目の貧困郡で、県の中心部から4時間ほどの距離に位置します。
また、67校のうち8割が複式学級であり、先生の負担も大きくなっています。

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ヴィエンカム郡の教育の問題のまとめ
・適切な学習環境の不足
・教員の数の不足
・教育の質の低さ
・予算の不足
・他地域との格差
(世界銀行の支援対象になっていない)

SVAの行なっている学校建設では、村の建設委員会を設置し、村との契約書(建設同意書)を村、教育委員会、SVAと交わした上で進められています。
建設委員会の仕事は木材は村が調達 森林局との交渉を行い、3ヶ月の準備期間の後に建設が始まります。
建設に当たっては建設業者入札制度をとり、建設業者、建築士、SVA職員、村人で建設過程を共有しながら、建築代金の支払いは確認後に行うことにしてるそうです。
ことことにより、コミュニティーの参加が促進され、行政による現場の状況の理解も改善されました。

ソフト面での活動では学校運営、研修会の実施などが行なわれています。

学校外支援事業では、図書スペース 学校、公共施設、移動図書館等の整備、ソフト面としての図書館運営 図書館員育成トレーナー、分類方法の指導などが行なわれています。
本の支援としては、図書出版支援事業として1年で4タイトルの絵本を出版したり、絵本を届ける活動をすすめています。

絵本の出版は、ラオス作家協会と協力して、推薦図書を絵本化して出版しています。

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今後の展開として、2014年からSVAはルアンパバーン県、ヴィエンチャン郡を対象に少数民族の子供たちのための小学校建設がコミュニティを通じて改善されることを目標に、就学前、初等教育の実施、複式学級運営研修会の実施、第二原語としてのラオス語を学ぶための指導法、少数民族の民話の絵本、紙芝居作り、少数民族の生活に合わせたフラッシュカードの製作、フラッシュカードの使い方、手作り教材の作り方の研修、移動図書館活動の実施、読み聞かせのプロジェクトなどが計画されています。

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最後に、宗務所より些少ではありますが寄付をお届けさせていただきました。

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今後も活動にご協力させていただきたいと考えております。
SVAのみなさま、本当にお世話になりました。


■関連リンク
SVA活動報告ブログ(ラオス)
投稿者: kameno 日時: 2013年11月17日 02:23

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