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熊蜂(クマバチ)は本当は飛べないはずなんだ。
けれども、飛べないことを知らないから、飛べるんだよ。
藤の花の周囲を熊蜂が盛んに飛び回っています。
花から一定の距離をホバリングしているかと思えば、近づいてきた蝶や他の蜂たちをもの凄いスピードで追いかけたりしています。
熊蜂の体は、ずんぐりしていて丸々と太っています、それに比べて羽は小さく、こんな羽でよく飛行できるものだと感心します。
その疑問は昔からあったようで、熊蜂の羽、体重、筋肉などをモデル化して計算した結果、理論上は飛ぶことが不可能であるという結論が得られ、長い間、何故熊蜂が飛ぶことが出来るのか大いなる謎でした。
そこから冒頭のような表現が生まれたのです。
熊蜂は、出来ないように思えることも、「気合」を込めれば何とかなる!という象徴にもなりました。
大型の体とそれに見合わない小さな翅から、かつてはマルハナバチとともに「航空力学的に、飛べるはずのない形なのに飛べている」とされ、長年その飛行方法は大きな謎であった。「彼らは、飛べると信じているから飛べるのだ」という説が大真面目に論じられていたほどである。現在はレイノルズ数(空気の粘度)を計算に入れることで飛行法は証明されているが、ここからクマバチは「不可能を可能にする」象徴とされ、しばしば会社やスポーツチームのシンボルマークとして使われる。
(ウィキペディア「熊蜂」項参照)
流体力学が発展し、レイノルズ数を考慮に入れた計算が出来るようになると、熊蜂の飛行が物理学的に説明できるようになりました。
熊蜂のスケールで考えると、空気のもつ粘性(粘り気)は無視できない大きさとなり、その粘性をうまく利用して熊蜂は難なくダイナミックな飛行を可能としているのです。
それにしても、熊蜂は「気合」を込めて飛んでいるだけあって、羽音はとても大きく、また、その姿から、近づくととても危険な蜂に思われがちです。
しかし、それは大いなる誤解です。
藤の花の近くでホバリングを繰り返している熊蜂は「オス」であり、メスが飛来してくるのをじっと待っているだけなのです。
「オス」の熊蜂は、針が発達しておらず、人を刺すことがありません。
だから、オスの熊蜂には近づいても大丈夫。
姿や羽音に反して、実におとなしい蜂なのです。
(※注:あくまでも、おとなしいのはオスの熊蜂だけです)
一生懸命気合を入れて飛び、メスが来るのを待っているオスの熊蜂。
何だか愛おしく思えて来ませんか?
亀野老師、いつも大変にお世話になっております。
この記事はとても面白いのでシェアしてもよろしいでしょうか?
投稿者 コバヤシカンイ | 2020年4月30日 10:34
コバヤシ様
はい、どうぞシェアください。
今年も藤の花の周りに熊蜂がたくさん飛び交う季節になりました。
投稿者 kameno | 2020年4月30日 10:40
方丈様、ご厚情誠に有難うございます。初出の時にも快くご許可を頂きました。重ねて御礼申し上げます。コロナも終息に向かいつつあるようですが、くれぐれもご自愛ください。
投稿者 コバヤシカンイ | 2020年5月11日 08:40