見せてもらおうか、GPS将棋の実力とやらを

世界で一番強い将棋ソフト決まる 

将棋ソフトの強さを競う第22回世界コンピュータ将棋選手権(コンピュータ将棋協会主催)が3日から5日まで東京都調布市の電気通信大で行われ、東京大学の金子知適准教授らが開発した「GPS将棋」が2度目の優勝を飾った。 大会には国内外から42のソフトが参加していた。
(読売新聞 2012年 05月05日)


チェスや将棋、囲碁など、コンピュータが人間といかに戦うかということは、人工知能研究の領域において重要な研究対象になります。
すでにオセロやチェスでは、コンピュータはプロ棋士さえをも凌ぐ実力を持っているようです。

将棋についても、毎年の進歩は凄まじく、プロ棋士と対等に渡り合ったりと、あと数年すると人間の及ばないところにまで達しそうな勢いです。
「世界コンピュータ将棋選手権」は、コンピューターソフト同士をトーナメント形式で戦わせ、その実力を客観的に評価していく大会です。

今年は、GPS将棋が世界一の座を獲得しました。

■世界コンピュータ将棋選手権/第22回概況 (2012年5月3-5日 電気通信大学)
決勝(5/5)
<1回戦>激指 - GPS将棋 108手でGPS将棋の勝ち
棋譜 相穴熊。40手目△4二金では苦しい評価なので、▲2四歩の前に気づかないといけない。クラスタで読む時は序盤はもっと手広く読むべきか。△3九角の時点では苦しいことが分かりつつ他に案がなかったようである「素人のような攻め」

<2回戦> GPS将棋 - 習甦 113手でGPS将棋の勝ち
棋譜 矢倉模様で23手目から▲2四歩△同歩▲同角△同銀▲同飛でほぼ互角と両者思っている不思議な序盤

<3回戦> Blunder - GPS将棋 138手でGPS将棋の勝ち
棋譜 相掛かり。またまた不思議な序盤

<4回戦> GPS将棋 - YSS 111手でGPS将棋の勝ち
棋譜 二次予選で負けたYSSと同じ手番で再戦。同じ矢倉ながら微妙に違う形で定跡を抜ける。銀桂交換を避けないのは相変わらず。

<5回戦> ツツカナ - GPS将棋 130手でGPS将棋の勝ち
棋譜 次の対局も、二次予選で負けたツツカナと同じ手番で再戦。2手目8四歩により別の将棋に。96手目△7七成銀は乱暴で5七とが有力(5七とは実際に深く読んでいて、それを選べなかったのはクラスタの制御の問題なので直せそう)

<6回戦> GPS将棋 - Puella α 226手でPuella αの勝ち
棋譜 矢倉。7五歩と玉側から仕掛けるのもなかなか直らない特徴の一つか。勝てば優勝だったが、正しい手を逃して負け。5四銀成の代わりに6四歩と打って入玉して勝つという構想を教えていただく。その判断を行うには何か新しい工夫が必要そう。

<7回戦> GPS将棋 - ponanza 87手でGPS将棋の勝ち
棋譜 ponanza風?居飛車オープニング。勝ったほうが優勝となる重要な一局のはずが、序盤からいかにも無理そうな仕掛けで一時必敗形に(プログラムとしては4四角の後の8七香が、不十分な探索にもかかわらず探索延長をしないで指してしまった予定変更で問題。将棋としてはたぶん4四角が問題)。5一玉4一角の形は学習棋譜に出てこないと予想されて、双方の評価関数が狂った?

 

なお、この大会で使用されたGPS将棋がどのようなシステムかというと・・・・
iMac端末 今年の3月に更新された東京大学情報基盤センターの教育用計算機システムのiMac端末のうち,東京大学駒場キャンパスにある情報教育棟に設置された788台を使用しているようです。その写真の一部がこちら。

20120504_GpsCluster
(写真は東京大学情報基盤センターのサイトより)

たくさんのリンゴが並んでいますね。
これらを並列に処理し、システム全体としては

使用マシン
Intel Core i5 2.5GHz 4core 4GB Mac OS X 10.7 788台
X5690 @ 3.47GHz 12 core 24GB Debian
X5570 @ 2.93GHz 8 core 16GB Debian
W3680 @ 3.33GHz 6 core 24GB Debian
X5470 @ 3.33GHz 8 core 8GB Debian
X5365 @ 3.00GHz 8 core 16GB Debian
Phenom II X6 1090T 3.20GHz 6core 8GB Debian
Opteron 2376 2.3GHz 8core 8GB Debian 3台
合計 797台

というようになっているようです。
凄い!

このGPS将棋は、東京大学大学院総合文化研究科のゲームプログラミングセミナーのメンバーにより開発させられているソフトウェアです。
GPSとは、全地球測位システムの略ではなく、Game Programming Seminar の頭文字をとったものです。

このアルゴリズムは、C++ (gcc 4.3), Linuxで作成されており、実行や改変が自由にできるライセンスで配布されていますので、誰でも自由にこのソースコードを利用することができます。

 


さて、前置きはともかく、せっかくオープンソースとしてアルゴリズムが公開されていますので、その実力とやらを見せてもらいましょう。

Windows環境であれば、こちらからWindows 32-bit インストーラー (プログラム・データ同梱) をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを実行すると、c:\program Files の中に gpsshogi フォルダがで出来ていると思います。
このフォルダの中のsmpフォルダ内にアルゴリズム(エンジン)が入っています。
このフォルダが出来ていることを確認して、一度パソコンを再起動。

次に、棋譜表示ソフトをダウンロードします。
将棋所などが利用しやすいでしょう。
将棋所をダウンロードして解凍するとデスクトップに shogidokoro フォルダが出来ますので、この中のファイルshogidokoro をダブルクリックして実行します。

 gpsshpgi

メニューバーの対局>エンジン管理で、先ほどの c:\program Files > gpsshogi > smp のアルゴリズムを選択します。

あとは、いざ対局!
パソコン788台も持っていないので、メインのデスクトップパソコン(Core2Duo E8400)にて実行。

 

対局中、読み筋とか形勢をリアルタイムに表示していくところが憎たらしいですね。

 

・・・・・・・・対局結果は・・・・・><・・・

 

まあ、今日のところはこの辺で勘弁してあげましょう。

投稿者: kameno 日時: 2012年5月 7日 12:37

コメント: 見せてもらおうか、GPS将棋の実力とやらを

亀野老師も将棋がお好きとは存じませんでした。お強いのでしょうね。
FBで友達申請してもよろしいでしょうか?

投稿者 林昌院 | 2012年5月 9日 05:36

林昌院さま
将棋はかじった程度ですので、とてもとても・・・
GPS将棋にもボロ負けでした。
FBでもよろしくお願い申し上げます。
合掌

投稿者 kameno | 2012年5月 9日 12:38

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