ブレーキペダルとアクセルペダル考

最近、無防備な歩行者に暴走した車が突っ込み、死傷者が出る事故が相次いでいます。
本当に痛ましい事故でありますし、犠牲となられた方々には心より弔意を表します。
事故原因の徹底究明と、このような事故が二度と繰り返されないことを願います。

 

普段私たちが便利に利用している自動車は、一歩間違えれば「凶器」ともなりうるということを肝に銘じて、運転したいものです。

さて、普段から感じている疑問の一つをここに提起してみたいと思います。
それは、自動車のブレーキペダルとアクセルペダルについてです。
今日も、このような事故の報道がありました。



名古屋・守山の喫茶店車衝突:5人けが 「地震かと思った」 /愛知

名古屋市守山区小六町の喫茶店「コメダ珈琲(コーヒー)店守山城下店」で26日、乗用車が外壁に衝突し、店内にいた5人が軽傷を負った事故で、店内には当時、40~50人の客がおり、一時騒然としたという。店内は壊れたテーブルが散乱し、壁の一部が落ちていた。
店内にいた同区の無職、渡辺知さん(77)は「ドドドドーンという音が聞こえて、地震かと思った」と興奮気味に語った。車がぶつかった壁側に座っていた同区の無職、安井正さん(67)は「突然大きな衝撃がきて、天井が落ちてきたのかと思った。すぐにみんなの驚く声があちこちから聞こえてきた」と話していた。
毎日新聞 4月27日(金)11時34分配信



現在主流になっているオートマチック車のペダルはだいたいこのようになっています。

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(写真はウィキペディアより引用)

右がアクセル、その隣がブレーキ。
どちらも右足で操作します。

エンジンのスロットルを開け、出力を上げるためのアクセルペダルと、制動をかけるブレーキペダルが隣接しています。
どちらも踏み込むという動作も一緒です。

 

なぜこのような配置になっているのかというと、恐らくマニュアル車のアクセル-ブレーキ-クラッチの配置をそのまま踏襲したことによるものでしょう。
運転操作に慣れているペダル配置を大きく変更することは、運転者に大きな負担が掛かります。
マニュアル車、オートマ車が混在していた移行時期には特にそうだったのでしょう。

しかし、ほとんどがオートマ車になった今では、このブレーキペダルとアクセルペダルの配置が、逆に問題になっているように思えます。

実際、日本でブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違え事故がどれくらい起こっているかと言うと、2008年一年間で、実に約6,600件の事故が発生し、死傷者は約9,600人にも上っています。
これはかなり深刻な発生数です。

また、操作ミスは、決して高齢者や運転が未熟なドライバーのみが事故を起こすわけではなく、事故発生の割合から言うと、全体の4分の1は10代、20代のドライバーによる事故となってます。
(テータ出典:『JAF Mate』2009年11月号「事故ファイル ブレーキとアクセルの踏み間違え事故)

 

 

ここで、昨年9月6日に発生した全日空の事故を参考に振り返ってみます。
まだ記憶に新しいところですが、那覇空港発羽田行きのエアーニッポン(NH)140便:ボーイング737-700型機が、新島付近の高度約4万1千フィート(FL410)を飛行中、突然機体が急激に左に傾き、30秒間に約6千フィートあまり急降下した後、高度約3万5千フィート(FL350)で、かろうじて姿勢を回復するという事故です。
あわや大惨事となる直前だったこの事故の原因は、トイレに行って戻ってきた機長(64歳:総飛行時間1万6千時間)をコクピットに入れるため、副操縦士(38歳:総飛行時間2,400時間)が中央計器盤)の「ドアの解錠スイッチ」を回したつもりが、このノブのすぐ近くにある「舵の操作スイッチ」を誤って回してしまったためと言われています。

 

TKY201109080431
朝日新聞の解説画像でみると、このような感じです。

確かに近くにあり、操作方法も同じですが、大きさや形が異なります。
総飛行時間2,400時間の副操縦士でも、このようなミスを犯すのです。

 

話を車に戻します。

アクセルとブレーキは、実際に目で見て操作するわけではありません。
非常時、特にパニックを起こしている状態では、アクセルとブレーキを踏み間違えることは、誰にでも可能性があります。
そして、アクセルとブレーキを踏み間違えた場合には、重大な事故を直接招くという事実を踏まえ、ペダルの配置を含めて事故防止の検討を行うべきであると考えます。

もしもマニュアル車からオートマ車への移行というものが無ければ、自動車の操作系は今のものと大きく異なったものになっていたことでしょう。
アクセルを手で、バイクのようなスロットルで操作し、ブレーキのみを足で制動する形になっていたかもしれません。
いずれにせよ、今の車のペダル配置は、改善の余地が大いにあると感じます。

投稿者: kameno 日時: 2012年4月27日 10:32

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