安心して悩むことが出来る社会づくり

40代自殺の増加幅最大=20?30代は過去最悪?12年連続3万人超・警察庁

警察庁は13日、昨年自殺した3万2845人の年齢や動機などをまとめ、発表した。年代別では働き盛りの40代の増加幅が最大で、前年より291人増えた。動機は「うつ病」が最も多かったが、生活苦や失業による自殺者も目立った。自殺者数は前年を596人上回り、1998年以降、12年連続で3万人を超えた。
人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺率では、30代が26.2、20代が24.1で、いずれも前年に続き最悪。40代は32.1で過去4番目の高さだった。
(時事通信 2010/5/13)



日本では自死(自殺)者が12年連続で年間3万人を数えます。
僧侶はこのような状況の中で何が出来るのでしょうか。

一つの方向性を打ち出し、自死相談に取組む僧侶の会代表として活動されている藤澤師の講演を聴講する機を得ました。

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講演の中で、藤澤師は苦しい、辛い、悲しい等を共感できる「安心して悩むことが出来る社会づくり」が必要であると指摘されました。
自殺対策に取り組む僧侶の会では、自死に関する相談を手紙で受け付け、僧侶が一つひとつ丁寧に返信する『自死の問い・お坊さんとの往復書簡』を行っています。
2年間の活動の中で寄せられた手紙は、実に1500通を数えるそうです。

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手紙という手段が、携帯電話やメールという手軽なツールが当たり前となっている現代においてこそ有効であるということを改めて感じました。
テキストを手際よく作成してワンクリックで送信・・・直ぐに相手に届くメールと異なり、手紙を出したり返事が返ってくるまでの時間に相談者が一度思い留まり、ゆっくりと考える時間を持つことができます。
この、ゆっくりと待つことが大事なのです。
そして、手紙を手書きに徹することにより、人の手のぬくもりという温かさが添えられます。



「自死(自殺)」という亡くなり方をする人が
この時代、この日本社会に年間3万人以上もいます。
仏教では生死一如といって、
“生”と“死”が別々であるとは考えません。
「自死(自殺)」の問題は「生き方」の問題です。
“生死”を問い続ける僧侶として、
この事態をどうにかしたい――。
私たちは自殺対策に取り組む僧侶有志の集まりです

自殺対策に取り組む僧侶の会 公式サイトより引用)



私は昨年よりテレフォン相談の相談員を勤めさせていただいています。
こちらはリアルタイムの声をとおしたコミュニケーションです。
今回の研修で、電話相談と手紙による相談の特徴を改めて確認することができ、今後の活動に活かすことができる中身の濃い研修となりました。

自死(自殺)問題への取組みの実際については、現在編集にかかわっている仏教ライフ紙(仏教情報センター会報)第95号の特集としてまとめています。
6月までには会員の皆さまにお届けできると思います。



講演会場周辺は江戸情緒に溢れた趣のある街並みです。
ぶらりと「ちぃ散歩」風に歩くと楽しいですね。

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沖の暗いのに白帆が見ゆる、あれは紀ノ国ミカン船・・・
  紀伊国屋文左衛門ゆかりの富岡八幡宮境内には深川めし屋の老舗があり、気の短い江戸っ子のために考案された深川めしを堪能して帰途につきました。

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投稿者: kameno 日時: 2010年5月13日 00:46

コメント: 安心して悩むことが出来る社会づくり

この問題も含めて、現実的な対応策と同時に、教育面からのプログラム作りにも息長く取り組む必要があると思うのです。
 子ども時代の体験学習が精神力の強さとか問題解決能力にも影響すると思うのです。
 何時の時代にも教育が最重要課題であることは当然のことですのに、そのことが表にも裏にも現れてこないのは何故なのでしょうか? すべての問題は教育にあると思うのです。

投稿者 zazen256 | 2010年5月13日 04:15

zazen256様
教育の問題は、抜本的な取組みとして重要ですね。
何十年も先の社会を見据えた環境づくりももちろん必要だと思います。即効性がないからといって切り捨ててしまうわけにはいきません。

表にも裏にも表れていないというのは一寸残念ですね。
私たちの努力不足の点があれば反省します。
仏教関連の取組みとしては、全国青少年教化協議会の活動
http://www.zenseikyo.or.jp/japa/activity.html
などもあります。
また、宗門では「人々のこころに向き合うために」のような取組みもあります。
http://www.sotozen-net.or.jp/gaku/soken/f_kenkyu.html
これらをもとに個別寺院、僧侶がどのように活動を広げていくことができるかがキーとなると思います。

投稿者 kameno | 2010年5月13日 12:09

はじめまして。来週 永平寺へ行くのでいろいろ調べていたらこちらのページに行き当たりました。法戦式に参列します。大本山とはいえ、いささか遠いので、最初で最後かも?と思い、気合をいれて観音経を写経して納めてこようと決心して、つい先ほど4日がかりで出来上がったところです。高校の倫理社会の授業で世界の宗教を習って以来、仏教ってちょっといいかも、と思いつづけています。でも周りは、仏教=お葬式=死 と連想するらしく、隠れ仏教徒してます。なんか気軽にほとけさまの話ができそうなサイトがみつかってうれしいです。またおじゃまします。

投稿者 湘南ねえさん | 2010年5月13日 22:37

いつも舌足らずな文章で真に申し訳ございません。
 私が憂えるのは政治の場から教育を重要視するという雰囲気のようなものが滲み出てこないことです。それは戦後教育から始まって、高度成長期の頃から深刻化し、未だに忘れられているような気がしています。でも何時かは必ず、今、努力されている方々の思いが社会全体に広がって、政治の場からも教育を重要視する政策が出されてくるようになると期待しています。
 大きな社会の流れのなかで、やはり仏教の教えは大切だと信じています。

投稿者 zazen256 | 2010年5月14日 03:59

大変ご無沙汰しております。

今回の記事を拝見し、とても心励まされた次第です。

>また、宗門では「人々のこころに向き合うために」のような取組みもあります。

まだまだ手探り状態ではありますが、ご意見等ございましたら宜しくアドバイス願いますm(__)m

投稿者 叢林@Net | 2010年5月14日 11:59

湘南ねえさん様
来週永平寺の法戦式へ参列されるのですね、修行僧たちも制中五則、いよいよクライマックスを迎えます。
仏教=お葬式=死という先入観は残念ですね。そもそもお経も死者ではなく生きているものへの「教え」なのですから。
これからも先入観を払拭できるように記事を書いていきます。これからもどうぞお気軽にご訪問ください。

zazen256様
教育重視の政策は有権者側からも強く求めていかなければなりませんね。即効性のある政策ばかりではなく、何十年後を見据えたものでなければなりません。
仏教の教えから学ぶことも多いはずです。

叢林@Net様
「人々のこころに向き合うために」は活用させていただきます。僧侶のみならず多くの方に読んで欲しいものですね。

投稿者 kameno | 2010年5月14日 12:55

いやぁ?素晴らしいブログです。(^_^)v

若い人(私より)が素晴らしいのは嬉しいものです。

小生のブログは「在俗」に流れすぎていまして、当にミーハーでお恥ずかしい。

今回の研修は学ぶべきこと、多くありましたが、学んだことを血肉化することの難しさも事例研修をする中で感じました。

意識して対応するうちは、まだまだなのでしょうね。

今月25日が当山の施餓鬼会で卒塔婆書きで追われています。
当日の布教師は、なんと日蓮宗の方(センター事務局長)です。
何年か前は曹洞宗の方(センター前理事長)をお呼びして、話してもらいました。

これから、このブログを度々訪問して学ばせていただきます。

投稿者 小川亮昌 | 2010年5月14日 22:05

小川様
先日はおせわになりました。
東京では5月に施餓鬼会を行なうところが多いのですね。
それにしても他宗派より布教師をお招きするのは素晴らしいですね。
今後ともよろしくお願いいたします。合掌

投稿者 kameno | 2010年5月15日 10:11

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