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12日に行われた東京都議選は自民党の歴史的敗北、民主党の大躍進となりました。
もう一つ注目するべきは、政党別得票率が前回の18.00%から13.19%へと大幅にダウンしたにも関わらず全員当選を果たし、議席を1つ増やした政党があること。
言うまでも無く公明党のことですが、その強かな戦略についてはあまり報道されることはありません。
しかし地方選挙、国政選挙の度に注目に値するべき事項であると考えます。
まずは、その最たるデータを見てみましょう。
下の図は今回の東京都議選における政党別得票数と当選議員数の散分布図です。
y切片が0の回帰直線との乖離が、選挙戦略の結果を物語っています。
この政党は、事前調査での支持率は5?6%でした。
東京都議選における政党別得票数は13.2%。
獲得議席数は23議席。
獲得議席割合は実に18.1% となりました。
なぜこのような結果を引き出すことができるのか。
それが出来るとすれば、第一の要因は完璧な票読みによる投票調整です。
投票率の概ねの予測がつけば、当落選のボーダーを読むことができます。
そのボーダーラインギリギリの数を各選挙区に候補者として配分し、投票においてもリアルタイムに票の分析を行い、1つの候補者に偏らないように投票されるように調節しているのかも知れません。
選挙制度の弊害の1つでもあり、逆にそれを存分に活用した選挙戦略は見事としか言いようがありません。
この例ではA党もC党も同じ当選人数となる訳ですから。
(政党名を伏せる必要は無かったですね。A党=民主、B党=自民、C党=公明、D党=共産、足立選挙区の例です)
小選挙区や中選挙区である以上は仕方の無いことではありますが、政党支持団体が強固(特に宗教団体だったり)な場合は特にこういう配分調整を行いやすいということの実例の1つであります。
・宗教法人には宗教的側面と世俗的側面がある
・宗教法人が公益法人たる根拠となる宗教法人法は、宗教法人の世俗的側面だけを取り扱う法律である。
・したがって宗教的側面については、認証庁であっても一切介入できない。
・公益法人制度改革案?原則非課税、設立は準則主義(または要件をはっきりさせた上で認証主義)、残余財産分配不可の3点。
・公益法人制度改革案?公益性判断の要件として、ガバナンスの整備と情報開示の充実を求める。
・ただし、ガバナンスの整備と情報開示が政教分離の原則に反する可能性の整理が必要
⇒2006年に書いた記事より引用
今回の東京都議選に見られるように、公明党はこれからも自民党とはある程度距離を置いてでも議席数維持に重点を置く現実路線を進んでいくことでしょう。
宗教法人法の見直し、特に巨大宗教法人の世俗的側面への課税強化は、C党が議席数を堅実に確保している段階では実施は不可能でしょう。
そして、その議席数確保に貢献しているのは・・・・という無限ループとなりますね。
この東京都議選の結果を受け、政府・与党連絡会議で衆議院が7月21日に解散、衆議院選挙が8月18日公示、8月30日投票となることが決まりました。
衆議院選挙の結果により国政の枠組みは大きく変革する可能性があります。
報道に現れてこない点にこそ核心があることが多々ありますので、その点を注視していきたいところです。
衆議院選挙の結果によりどの党が政権を担うことになるのかは、蓋を開けてみないとわかりません。
日本の将来を考え、国益を損なわない政権運営がなされることを望みます。