パンデミックが現実的に

昨年秋に 新型インフルエンザへの寺院の対策 について考えて来ましたが、もしかすると パンデミック が現実的になるかもしれません。


メキシコやアメリカ合衆国を中心に流行している A/H1N1型 豚インフルエンザはカナダやスペインでも人への感染が見つかりさらに諸国に流行する兆しがあります。
豚インフルエンザによるものと思われる死亡者は100人を超えています。


より大きな地図で 2009 Swine Flu (H1N1) Outbreak Map を表示


世界保健機関(World Health Organisation)により緊急委員会(The Emergency Committee)の第2回会合が開催され、次の決定事項が発表されました。


豚インフルエンザの世界的流行警戒水準をフェーズ「3」から「4」に引き上げる。

※この決定はウイルスにより、人から人へどの程度感染するかという疫学データにより行われた。警戒水準が「4」に引き上げられたことは、世界的な流行が必然ということを意味しているわけではなく、今後の動向により警戒水準が変化していく可能性を併せ持っている。

※豚インフルエンザ大発生の封じ込めは現実的でなく、それよりはむしろ流行の軽減対策に重点が置かれるべきである。

※国境を封鎖する、あるいは海外旅行を制限するものでは無いが、発症の兆候を示す人には慎重に医学的な観察を継続することが求められる。

※警戒水準が引き上げられたとことにより、WHOはA/H1N1ウイルスに対して有効なワクチンを開発することを推進していくとともに、これまでの季節ごとに発生するインフルエンザ・ワクチンの生産も継続して行うことを求める。

原文:WHOのサイトへ


AFP_01.jpg
(図はAFPより
 
このように、ついに発生の封じ込めがほぼ不可能な段階となりました。
感染の広がりを出来る限り軽減するために、各国がさらに連携して監視体制を強める必要がありましょう。
麻生太郎首相は「国家の危機管理上の重要課題」として全閣僚の緊急対策会議を開催しました。

私たちに求められるのは冷静な行動でしょう。
正確な知識をもち予防につとめることはもちろん、発症の兆候を示す人は自分勝手な判断を行わず、医療機関に相談することが大切です。




個人での感染予防でできることは何ですか?

ブタインフルエンザ予防に効くワクチンは現在ありません。インフルエンザのような呼吸器症状を起こす病原体の広がりを予防する日常の行動があります。健康を維持するために以下の日常の予防方法をとって下さい:

咳またはくしゃみをするときは鼻や口をティッシュで覆ってください。使用したティッシュはゴミ箱に入れてください。
特に咳またはくしゃみの後では、石鹸と水を使用し手を頻繁に洗ってください。アルコールを成分に含んだ手指消毒薬も効果的です。
眼・鼻・口に触るのを避けて下さい。病原体はこの経路でひろがります。
病気のヒトとの密接な接触は避けましょう。
もしインフルエンザにかかったような症状がある場合は、CDCは他人を感染させないために、職場または学校に行かず他人との接触をできるだけ少なくすることを推奨します。

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万が一発症したときにどうすればよいですか?

もしあなたが、ブタインフルエンザ症例が見つかっている地域に住んでいてインフルエンザに似た症状(発熱、体の痛み、鼻水、のどの痛み、吐き気、嘔吐、下痢)があり、特にもしあなたが自身の症状について心配をするならば、かかりつけの医療機関に連絡をしてもよいもしれません。あなたのかかりつけの医療機関はインフルエンザの検査または治療が必要かどうか決めるでしょう。
もし、あなたがかかっている場合、あなたは家にとどまる方が良く、他人にあなたの病気を広めないために他人との接触をできるだけ避けるべきです。
もし、あなたの具合が悪くなり、次のような危険な症状のいずれかがある場合は、救急医療機関を受診してください。

子供の場合、緊急の医学的監視が必要な「危険信号」には次のようなものがあります:
呼吸が速い、または息がしにくい
皮膚の色が青白い
水分をあまり摂れない
起きないまたは他人と関わりたがらない
子供がイライラして抱っこをされたがらない
インフルエンザのような症状が改善したが、再び症状が現れ、熱と咳が悪化した場合
発疹を伴う熱

大人の場合、緊急の医学的監視が必要な「危険信号」には次のようなものがあります:
呼吸困難または息切れ
胸またはお腹の痛みまたは圧迫感
突然のめまい
精神錯乱
重度または持続的な嘔吐

(出典:Infectious Disease Surveillance Center



さらに、多くの人に接する可能性のある100職種の公務員にワクチン優先接種するという政府試案もあり、公務員だけでなく民間の職種に従事する人も自主的な対策を各自取っていくことも大切でしょう。

日本では大型連休が始まったばかりです。今後の動向に常にアンテナを張っておくことは大切なことでしょう。



追記:
WHOは29日、新型インフルエンザへの警戒レベルをこれまでの「フェーズ4」から「フェーズ5」に引き上げたと発表しました。
メキシコ以外でも新型インフルエンザの感染による死者が出たほか、欧州諸国やニュージーランドなどに感染が広がり、世界的な大流行(パンデミック)の一歩手前の状態を意味する警戒レベルとなりました。

投稿者: kameno 日時: 2009年4月28日 09:27

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