新しい月に抱かれた古い月のうさぎ

今年も残り一日余りとなりました。
昨日夕方は月齢1.8の月が見られましたので、今日は+1となり、2.8の三日月です。

2つ前の記事で地球照がほんのりと写っている写真をご紹介いたしましたので、今日は地球照にターゲットを絞って月を撮影してみました。


20081230-01.jpg
2008/12/30 17:30 CanonEOS 10D ISO400 f8 4sec Tamron200-400zoom


地球照のことを英語では Old Moon in the New Moon's Arms と表現しています。
直訳すると「新しい月に抱かれた古い月」ですね。

Old Moon in the New Moon's Arms

The Moon in its waxing gibbous Moon phase where the gibbous part is illuminated slightly by Earthshine (reflected sunlit from the Earth). Thus, the bright crescent ("new moon") wraps around and "holds in its arms" the dim gibbous part ("old moon").
(scienceworld.wolfram.com)


 

写真をよーく見ると、餅をついたうさぎが逆さまに薄っすらと見えます。
ということで、今日の記事のタイトルを「新しい月に抱かれた古い月のうさぎ」としてみました。


「新しい月」の部分は、クレーターの影響でギザギザに見えます。
よく、三日月に横顔の輪郭が描かれますが、まさに顔にも見えますね。

moon-02.gifmoon-01.jpg
(左)(c)花王 (右)(c)パラマウント映画

 


「古い月」の部分は、一旦地球に届いた太陽の光が反射し、その反射光により照らし出されたものです。
仄かにやわらかく光るのは、この微かな光によるものだからなのですね。

月から満月状態?の地球を見ると、月の約70?80倍もの明るさで輝いて見えます。
その時の月面では、地球における満月の夜の明かりよりもさらに明るい夜となっているわけです。
それを地球から見たのが地球照です。


西洋では、この「古い月」の部分は、月でも地球でもない「別世界」であるとも考えられていたそうです。
幻想的な夕暮れの三日月は、まるで現実離れしたもののように見えたのかもしれませんね。

月のときはかならず夜にあらず、夜かならずしも暗にあらず。ひとへに人間の小量にかかはることなかれ。日月なきところにも昼夜あるべし、日月は昼夜のためにあらず。日月ともに如如なるがゆえに、一月両月にあらず、千月萬月にあらず。月の自己、たとひ一月両月の見解を保任すといふとも、これは月の見解なり、かならずしも佛道の道取にあらず、佛道の知見にあらず。しかあれば、昨夜たとひ月ありといふとも、今夜の月は昨月にあらず、今夜の月は初中後ともに今夜の月なりと参究すべし。月は月に相嗣するがゆえに、月ありといへども新旧にあらず。

『正法眼蔵』「都機」


今年の夜はあと2回。

大晦日には、夜10時半より除夜の鐘を撞きはじめ、最後の夜を締めくくります。

投稿者: kameno 日時: 2008年12月30日 18:10

コメント: 新しい月に抱かれた古い月のうさぎ

ひゃああ、美しい!

ぎざぎざのところが、本当に鼻に見えます。
花王のマークは単なる擬人化じゃなかったんですね!

副住職に撮ってもらったら、すげー美人に写るかも(笑)。

投稿者 宝船 | 2008年12月30日 22:36

宝船さん
ラングレヌス(直径127km)、ペタビウス(直径188km)といったクレーターや山々が顔の輪郭を作り出しているのでしょう。
双眼鏡などで観察すると、そのあたりがさらによくわかります。
月を眺めながらゆっくりと想いを馳せるのもいいものですね。

投稿者 kameno | 2008年12月31日 09:44

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