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さまざまな不祥事が取りざたされている社会保険庁ですが、ここまで酷いとは。
これはごく最近知人に届いた年金特別一時金に関する通知書です。
特別一時金とは、国民年金から受けられる年金のうち、障害年金等の受給権者であって、昭和61年4月1日前に年金に任意加入した人または法定免除された保険料を追納した人について、保険料の納付期間に応じて特別一時金が支給される制度です。
特別一時金の受給権利者は、「生きているご本人」対象になるわけですが、そのことを前提に通知書をご覧下さい。
通知書の名前の欄を見てまず驚かされることは、 死亡者氏名として ○○○○ (←生きている方の名前が記載されている) となっていること。
ありえません。
先に述べたとおり、この通知書は、「生存している」受給者本人に通知されるべきものなのです。
さらに問題なのは、この通知書を、社会保険庁の職員が、一通一通宛名を手書きしている点。
つまり、右の通知書の「死亡者氏名」と同じ名前を、職員が「自ら確認した上で」左の封筒に「手書きで名前を」書いている ということです。
仮に、コンピュータのミスで「死亡一時金」の通知文を雛形として使ってしまったとしても、この宛名を書く時点で、「死亡者の名前を宛名として記入する」という異常なことをしているということに気づかない神経を疑います。
そこには、受給者に対する思いやりも配慮もなにも無いのでしょう。
ただ、機械的な処理をこなすだけ、人間的な温かさはそこには微塵も感じることができません。
この通知を受取られた方は、「私は殺されてしまった気がする」と、大いに気落ちしておりました。
社会保険庁の職員の方には猛反をしていただきたいところです。
社会保険庁の体質について、明星大学の原優治先生は、公的経営学の観点から次のように分析しています。
1.正式な職員の場合、身分保障されている公務員であることに甘えていること。もちろん民間でいう市場による処罰としての倒産もないことが挙げられる。2.資格や身分が異なり出身母体も様々な成員が幾重にも混成されていて反目しあったり、コミュニケーションがとりづらくなる傾向があること。
3.甘いぬるま湯的組織体質のなかで、相互に切磋?磨することをやめてしまい、逆に相互にもたれあうという旧来の日本的特性が色濃く出てしまったこと。
4.ノンキャリア組にとっては、仕事自体を企画したり本質的に調整する仕事もなく、およそ自己実現をかけるような探求や自己成長の機会もなく単調なIT 的作業が仕事の殆んどを占めモラール(morale:やる気)を低下させてしまっていること。
5.既に述べたように僅か3%に満たないキャリア組が企画や本質的なものに関係する調整の仕事を独占しており、コンピュータ入力や窓口業務などの実務はノンキャリア組が担当しており、さらに悪いことにキャリア組とノンキャリア組は入庁以来業務連絡上必須なコミュニケーションをほとんど欠落させたまま棲み分けを続けてきてしまっていること。そのうえ、キャリア組は2?3年で転勤をしていくため、どうしても実務に疎くなり、見過ごすことのできない本質的に重要な不具合なことに気付いても棲み分け上の縄張りを敢えて越えてノンキャリア組の部下へ注意を喚起するようなことは遠慮してきたという事実がある。それは公務員の評価においては民間に比べて減点主義的傾向が強く、注意喚起や指示徹底などでもめ事やいざこざをおこさないことを身上とする文化・風土が定着していることによる。
6.したがって、公的経営学的視点から見て、トップマネジメント側に属するキャリア組の経営管理する権限と責任の放棄がうかがわれる。
7.公的経営管理をする側の無気力、無責任をよいことにして安逸をむさぼったノンキャリア組を中心とする一般職員の責任は大きい。さらに、倒産がないことと手厚い身分保障をよいことにして安逸をむさぼる組合員を支援したり放置してきた自治労などの労働組合指導者の責任も問われなければならない。
(『明星大学経済学研究紀要』Vol.39 No.2より引用)
そういえば、このような配慮にかける事例は直近にもあり、大々的に報道もされました。
失敗を生かすことのできない組織なのですね。
木更津市「後期高齢者医療」封筒黒枠やめます木更津市が発送した、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に基づく保険料通知書の封筒デザインに市民の苦情が相次いだ問題で、市は10日、黒枠を撤廃し、封筒全体を青色に改める方針を明らかにした。木更津市議会一般質問で、市側が答弁した。
問題となった封筒は、紙の色が白く、対象者の名前を太い黒枠で囲んだデザイン。4月15日の保険料徴収開始日を前に、市が75歳以上の市民約8100人に発送したが、直後から「訃報(ふほう)を連想させる」「遺影のようで不愉快」などの苦情が20件ほど寄せられていた。市では、市民税通知書も青色の封筒で送付しているが、お年寄りが判別しやすいよう、保険料通知書はそれとは違った濃い青色を使用するとしている。
市側はこの日、答弁で「印刷発注の際に配慮が欠けていた。改めて深くおわびする」と陳謝した。
(2008年6月11日 読売新聞)
そのお詫びがこちら。
(まあ、ホームページ上でのお詫びなので、対象となる75歳以上の方がどれくらい目にするかはわかりませんが)
2008年04月24日 :「後期高齢者医療仮徴収額決定通知書」の封筒についてのお詫び(保険年金課)市から送付しました「後期高齢者医療仮徴収額決定通知書」につきまして、封筒のあて先欄の印刷が配慮に欠けた部分があり、お受け取りになられた皆様に不快な思いをお掛けしましたことに、深くお詫び申し上げます。今後、このようなことが無いよう万全を期してまいります。
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