« 「広島原爆の火」の採火式を行います | 最新記事 | あーすフェスタかながわに出展します »
6月12日、中国四川省で発生した大地震により、犠牲者は四川省で1万2000人を超え、2万6000人以上が負傷しています。被害状況は、情報が入るにつれ甚大な被害の概要が少しづつ見えてきました。
交通・通信の寸断や、引続き発生している余震、激しい雨により、被害の拡大や二次災害も懸念されております。
犠牲となられた方には心より哀悼の意を表し、被害に遭われた方には心よりお見舞い申しあげます。
ここで、気になる報道があります。
四川大地震:「校舎ばかり手抜きでは」質問に当局否定中国・四川大地震で相次いだ校舎の倒壊について、13日に北京で行われた民政省の記者会見で中国紙記者が「報道で倒壊した政府庁舎を見ることはない。校舎などの安全対策を強化するのか」と質問。当局側が「倒壊したのは校舎だけではない」と釈明し、手抜き工事で被害が拡大したのではないかとの疑いを否定する一幕があった。
中国では、地方政府が競って豪華な庁舎を建設する一方、学校など住民に身近な施設については業者と役人の癒着で建設費を低く抑える「豆腐渣(とうふさ)(おから)工程」が社会問題化している。
今回の大地震では、四川省都江堰市で中学校が倒壊し、50人余りが死亡したほか、約900人が生き埋めになっていた。同省綿竹市や北川県、重慶市梁平県でも校舎が倒壊し、犠牲者が出ている。
特に甚大な被害をうけた建物が公共の建物、特に学校の校舎が多いというものです。
新聞紙面には、生き埋めになったこどもたちの姿が目立ちます。
授業中の地震であれば、その中にいる生徒児童への被害が大きくなるのは当然であります。
今回の地震は、阪神大震災と比較して、約10倍のエネルギーを持ち、しかも直下型地震でありました。
しかも、建物の倒壊による被害が目立ち、しかも決して古くは無い中高層の建物が完全に倒壊しているようです。
これが、構造設計が不十分で、手抜き工事であるのではないかという指摘に繋がるわけですが、未来の国を背負う子どもたちを守る校舎が手抜き工事では、眼も当てられません。
では、日本ではどうなのかというと、文部科学省による小中学校の耐震化改修状況調査結果(平成19年4月1日現在)を見てみると、耐震性がないにもかかわらず未改修の施設は実に45,041棟(全体の34.8%)を占め、耐震診断がされていない建物も含めると53,636棟(全体の41.4%)にのぼることがわかりました
耐震化の推進を妨げている第一の要因は、近年の財政状況の悪化の中で学校施設の整備計画が繰り延べられていることです。
次に主な要因にあげられるのが、将来的に統廃合の計画が存在する場合です。少子化等の影響は、従来より見られた過疎地域だけでなく都市部においても見られ、小・中学校の統廃合が大きな課題となってきています。学校の耐震補強工事は、工事内容にもよりますが、1校あたり1億円以上要する場合などもあることから、統廃合によって近い将来使用されなくなる可能性が多少なりともある場合は、地方自治体が耐震補強の実施校を選定する際に慎重な対応が必要となります。
(小中学校の耐震化改修状況調査結果より引用)
現実問題として、小・中学校の建物は、ベビーブームの時代に多く建てられ、建築後30年以上経過したものが多く、建物自身の寿命を迎えるものも少なくありません。
しかしながら、予算の削減もあり、このような状況の中で立替が難しくなっているのです。
さらに、少子化の進行で、学校の統廃合問題があり、制度的な問題も建替えが進まない一因となっています。
しかし、校舎は冒頭で述べたように、未来の国を背負って立つ子どもたちを守る重要な建物です。
しかも、震災のような時には、倒壊せずに災害時の拠点となるべき重要な施設です。
ここで、一つ、提言をさせていただきます。
校舎の建替えをする際には、鉄筋コンクリートではなく、「国産の材木による木造校舎」を積極的に導入して欲しいと言うことです。
校舎がほとんど鉄筋コンクリートとなった理由は、建築基準法によることが大きかったのですが、近年、木造建築物の耐震性や防火性が科学的に立証され、さらに建築基準法一部改正により、校舎のような建築物も木造で建築可能となりました。
建築基準に従って正しく設計、施工されさえすれば、木造校舎は鉄筋コンクリート校舎と変わらない耐震性・防火性を持ちます。
また、木造校舎は、メンテナンスをしっかりすることで、寿命は長くなります。
木造建築は、鉄筋コンクリートのような強固な建物ではなく、木のもつ柔軟性が地震エネルギーを吸収する構造になっています。万一倒壊した際にも被害は鉄筋コンクリートよりもずっと少なくてすみます。
さらに、木造校舎は、夏は涼しく冬は暖かく、温もりもあります。
怪我や病気、学級崩壊も少なくなるという報告もあります。
何よりも、国内の木材を使うために、林業が復興され、国有林が活用できるという利点があります。
国会では、改正道路財源特例法が衆議院本会議で再可決・成立したところでありますが、一般財源化後のガソリン税の使途についても、どこに予算を配分するべきなのか、国民の立場に立って慎重審議して欲しいものです。
私が通った山形県西村山郡河北町立西里小・中学校は素晴らしい木造校舎でありました。アーリーアメリカン調とでも言うべき外観と、なによりも正面玄関を中心に両翼を広げたような、広々とした雰囲気のある学校でした。
長ーい木の廊下を雑巾掛けしたりするのは子供には大変だったけれど、今思えばそれもいい教育になったと思います。永平寺や總持寺もそうですが、修理して長く使っていくことのできるのは木造建築なんですよね。林業などの産業の再興という点からも、いまいちど木造建築が学校などの公共施設に使われることを、私も望みます。
投稿者 りんしょう | 2008年5月15日 20:47
りんしょう様
素晴らしい校舎に通っておられたのですね。
使えば使うほど味が出る、そういう建物は大切にしたいものです。
日本の最近の建物は短い寿命を前提としたものが多いのが残念ですね。
投稿者 kameno | 2008年5月16日 00:13