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水滴は、落下するとどのような形になるのでしょうか。
雨粒はどのような形でしょうか。
こんな形でしょうか。
(c)Daikin
平成4年に行われた埼玉県狭山市の小学生を対象に実施されたアンケート調査結果をみてみましょう。
「雨粒はどんな形?」
・・・・面白い結果でしたのでグラフを作成してみました。
やはり、雨粒のイメージは涙形が多いですね。
高学年になるほど涙形の割合が増えています。
これは目の残像として線に見えること、絵に描く時に線として描くよう指導しているなどの理由が考えられます。
リンク先に、どうしてそのような形だと思うのかという理由が記載されています。一つひとつの理由がとても面白いです。
氷は水に浮く の記事で書きましたとおり、水の水素結合が水の特異性をもたらし、強い表面張力を生み出します。
結果として、雨粒が丸くなるだろうということは、学年が進み、知識が増えてくるとある程度予測できます。
先のアンケート調査でも小学校の高学年になるに従って球や涙形という答えが増えていることにも見られます。
歴史を振り返ると、雨粒がどのような形になっているのかをいかに実証するかということは大きな課題でした。
雨粒の落下する様子を初めて写真撮影したのは北海道大学の孫野長治博士。
1951年のことでした。
これにより、ようやく落下する雨粒は下に潰れたまんじゅう形であることが確認されました。
意外に浅い歴史ですね。
なぜまんじゅうの形なのかを考えてみましょう。
小さい雨粒の状態では表面張力によって、球の形をしているのですが、落下しながら水滴同士がくっつきあい、径が大きくなるにつれて空気の抵抗を余計に受けて下の部分が平らにゆがんでくるからです。
そして水滴があまりに大きくなると割れてしまいます。
この様子が初めて撮影されたのは先にご紹介したとおり1951年ですが、今ではとても簡単にこの様子を観察することが出来ます。
しかも、それほど大掛かりな装置を使う必要もありません。
その実験装置は、その名も有頂天一号(うちょうてんいちごう)と風洞明王(ふうどうみょうおう)!
⇒防災科学技術研究所水・土砂防災研究部のPDF
下から風を送ることにより、空中に浮かぶ水滴の姿をじっくりと眺めることが出来ます。
さて、この水滴たちが水面に落ちるときには音が発生します。
水滴の粒形、速度、テンポによって音は変わります。
貞昌院の蹲に落ちる水滴の奏でる音を録音してみました。自然の湧き水です。
(途中、猫の声が入ります)
なお、この水滴の音を追求したものが水琴窟。
心地よい音は、江戸時代の茶人、小堀遠州が考案した洞水門から改良されてきた日本独自の装置により醸し出されます。
まさに水滴を知りつくしたエキスパートが受け継いできた伝統ですね。