中秋の名月の夕べに

今夜の月は中秋の名月です。
中秋の名月は旧暦8月15日の月のことをいいますが、旧暦は朔(新月)を1日としますから、15日はほぼ満月になります。
ほぼ満月という表現にしたのは何故かというと、今年のように中秋の名月が満月ではない年もあるからです。
海上保安庁海洋情報部 月の満欠(朔望)によると、満月は9月27日の午前5時になります。
なぜ中秋の名月が満月でない場合があるのかはこの記事の最後に書きますが、その前に、旧暦はどのように定められているかを見ていきましょう。


日本においては、太陰暦として天保壬寅元暦(天保暦)が明治5年まで使用されていました。
それが、明治5年太政官布告第337号(改暦ノ布告)により、明治5年12月2日の翌日が太陽暦での1873年1月1日とされ、グレゴリオ暦(太陽暦)に移行されました。
しかしながら、その後も中秋の名月など、伝統的に旧暦は使用されています。
ただし、厳密に言えば天保暦と旧暦は若干異なる計算方法が用いられており、天文学に基づいた太陽と月の動きを基礎として朔(新月)の日と二十四節気の日をを決めているため、天保暦とは若干の差があります。

このあたりは お彼岸のトリビア(1) をご参照下さい。

旧暦を定める主な法則は下記のとおりです。


【旧暦の定め方】
1.月・太陽の位置は、現在の天文学に基づき計算する。
2.1日は日本標準時における0時に始まる。
3.朔の瞬間(新月の瞬間)を含む日を、月の始まる日=1日とする。
4.閏月は二十四節気の「中」を含まない暦月に置く。ただし「中」を含まない月が複数該当する場合は次の5.の法則により閏月を定める。
5.冬至は11月、春分は2月、夏至は5月、秋分は8月とする。

※補足
( )内は、天球上における太陽の見かけの通り道(大円)の経度を360度で表わしたもの。春分は0度、秋分は180度となります。
○は二十四節気「節」、●は二十四節気「中」。この「中」が月の名前を決定します。「中」が入らない月に閏月を置きます。

■春
1月○立春(315度)●雨水(330度) 2月○啓蟄(345度)●春分( 0度) 3月○清明( 15度)●穀雨(30度)
■夏
4月○立夏( 45度)●小満( 60度) 5月○芒種( 75度)●夏至( 90度) 6月○小暑(105度)●大暑(120度)
■秋
7月○立秋(135度)●処暑(150度) 8月○白露(165度)●秋分(180度) 9月○寒露(195度)●霜降(210度)
■冬
10月○立冬(225度) ●小雪(240度) 11月○大雪(255度)●冬至(270度) 12月○小寒(285度)●大寒(300度)


この補足のように、二十四節気というのは、旧暦での季節感のずれを修正するための生活の知恵ということがいえます。
つまり、旧暦では平年が約354日、閏年は約385日ですので、最大30日程度ずれが生じてしまいます。
このため、特に農作業に影響が出るため、農作業には○月○日ではなく二十四節気を目安として利用しました。


【参考】
海上保安庁海洋情報部 旧暦のあれこれ


さて、では中秋の名月は旧暦8月15日、つまり朔から14日後であるのに、なぜ満月にならない場合があるのかを考えてみましょう。
新月の定義は、地球から見て太陽と同じ方向を月が通る瞬間、満月は、地球から見て太陽と反対の方向を月が通過する瞬間とします。
(軌道がずれているため、一直線上に並ぶとは限りません。一直線上に並んだ場合はそれぞれ日食、月食となります)

【旧暦の求め方】の3.の法則により、新月の瞬間を含む日が1日ですから、新月の瞬間は午前の場合も午後の場合も当然考えられますね。
さて、新月⇒満月の周期は平均約 14.765 日ですから、もしも仮に新月が午後11時59分だった場合、満月の瞬間は旧暦 16日の午後になります。

moon.jpg

(しかも、これは地球と太陽が円軌道と仮定した場合で、実際は楕円軌道ですからさらに複雑になります)
ということで、中秋の名月は必ずしも満月とはなりませんが、それはそれとして、虫の声に囲まれつつ、ほぼ丸いお月様を眺めながらゆったりとした時を過ごすのはオツなものですね。

撮りたてホヤホヤの中秋の名月の写真です。

20070925-01.jpg 20070925-03.jpg


左 境内のススキ越しに本堂の裏から昇る中秋の名月
右 宵の中秋の名月


【豆知識1】
中秋の名月の日は必ず仏滅になります。⇒理由はこちら

【豆知識2】
中秋の名月は必ず新暦9月になるとは限りません。昨年は【旧暦の求め方】4.の法則により、旧暦7月の次に閏7月が挿入されたため、中秋の名月が新暦10月にずれ込みました。

投稿者: kameno 日時: September 25, 2007 5:57 PM

コメント: 中秋の名月の夕べに

こんにちは、ゆがです。
お月見の日はお月様は満月と決まってるもんだと思ってました。kameno様のログ見て、目からウロコ・・
今、知らなかったらきっと死ぬまで知らないままでした。
いつも楽しく自然のトリビアを書いて下さるので面白いです。

どうりで、あの日スーパーの和菓子コーナーが団子ばっかし置いてるなーと思ったんだ・・

余談ですがチョッピちゃんに似たうさぎ、出来ました。
姪っ子にあげたら喜んでました。。。

投稿者 ゆが | September 26, 2007 11:33 AM

まあ、ほとんど真ん丸のお月様ですしよーく見ないと欠けていることに気づかないですね。
この時期の空はとても澄んでいますし、日没も早くなってきますのでので特に月が美しく見えます。
食欲の秋でもありますし。
お団子をほおばりながら月を眺めるというのは良い日本の伝統行事ですね。
チョッピちゃんのヌイグルミ完成したのですね。
さぞかし喜ばれたことでしょう。

投稿者 kameno | September 26, 2007 5:40 PM

コメントを送る