金沢文庫の仏像 運慶作 大威徳明王坐像

特別展 『金沢文庫の仏像』
特別公開 運慶作 大威徳明王坐像
に行って来ました。


48年ぶり「運慶の技」 金沢文庫の大威徳明王坐像

神奈川県立金沢文庫(横浜市金沢区)は20日、称名寺子院光明院(同)で平成10年12月に発見された大威徳明王坐像(だいいとくみょうおうざぞう)が、鎌倉時代を代表する仏師、運慶の作品であることが分かったと発表した。運慶の真作の発見は48年ぶりで6件目。
 坐像は発見後、像内に納入品があることが分かり、解体修理時に納入品を摘出。納入品は来歴を示す文書で、鎌倉幕府の源頼家、実朝両将軍の養育係が運慶に作らせたとの記述があった。運慶研究の第一人者、水野敬三郎・東京芸大名誉教授などを招き今月開かれた学術指導会で運慶の作との見解に達した。
 作品は現状で高さ21・1センチ。当初は六手・六足で水牛に乗る姿だったが、手足はほとんど失われ、水牛座もなくなっている。上品で端正な面貌(めんぼう)や太造りで引き締まった胴体に運慶の作風がよく表れているという。

仏師・運慶最晩年の真作、金沢文庫で19日から一般公開

鎌倉時代の仏師・運慶の真作と48年ぶりに確認された大威徳明王(だいいとくみょうおう)座像が18日、神奈川県立金沢文庫(横浜市金沢区)で専門家らに初公開された。19日からの特別展で一般公開される。
座像は称名寺光明院の所蔵。これまで運慶の真作と確定した仏像は、国宝の奈良・東大寺南大門の金剛力士立像など5件のみ。このうち、1212年に造られた奈良・興福寺北円堂の弥勒(みろく)仏座像などが最晩年のものとされていた。
今回の座像は、納入文書に鎌倉時代初期の1216年に造られたと書かれており、運慶最晩年作の記録を塗り替えた。一般公開は、6月10日まで。





これはかなり大きなニュースになりました。
なぜなら、運慶作といわれる像はたくさんありますが、それを信頼できる文書などで真作であると確認されているものは、僅かしかないからです。

それをWikiペディアなどの資料+新しい報道などを基に年代別に並べると

(1)奈良・円成寺 大日如来坐像(国宝) - 安元2年(1176年)
(2)奈良・興福寺 仏頭(国重文) - 文治2年(1186)
(3)静岡・願成就院 阿弥陀如来坐像、不動明王及び二童子立像、毘沙門天立像(重要文化財) - 文治2年(1186)
(4)神奈川・浄楽寺 阿弥陀三尊像、不動明王立像、毘沙門天立像(重要文化財) - 文治5年(1189年)
(5)奈良・東大寺南大門 金剛力士立像(国宝) - 建仁3年(1203年)。運慶が中心となり、快慶、定覚、湛慶ら一門の仏師を率いて制作。
(6)奈良・興福寺北円堂 弥勒仏坐像(国宝) - 建暦2年(1212年)。運慶の指導のもと源慶らが制作。
(7)奈良・興福寺北円堂 無著菩薩・世親菩薩立像(国宝) - 建暦2年(1212年)。運慶の指導のもと運助、運賀らが制作。

そして、今回発見された最晩年の作品
(8)神奈川・称名寺 の大威徳明王像 - 建保4年(1216年)
となります。


大威徳明王坐像の内部から見つかった納入文書によって、運慶作であることが確認できたのです。

称名寺光明院所蔵の大威徳明王坐像は、江戸時代には弘法大師作とされ、画家狩野探幽もスケッチしたことが知られる霊宝でした。本像は平成10年に再発見され、慎重な調査を経て、昨年度に解体修理したところ納入文書が発見されました。そして、その文書には本像が建保4年(1216)11月に、源頼家・実朝の養育係で源氏一門でも重きをなした甲斐源氏加賀美氏出身の「大弐殿」が、「法印運慶」に作らせたものであるという、驚くべき内容が書かれていました。本展覧会は、この新発見の運慶作・大威徳明王坐像と像内納入品を初公開いたします。
 また、称名寺は鎌倉時代中期の創建以来、阿弥陀堂、金堂、講堂など数多くの堂宇が建立され、そこには鎌倉時代の中・後期を中心とする仏像が多数祀られました。この称名寺の仏像群を保管する金沢文庫は、中世彫刻の宝庫とも言えます。
(金沢文庫のサイトより)
運慶作の仏像から仏舎利を発見(金沢文庫のサイト)
大威徳明王坐像の内部から見つかった文書(神奈川県提供)についての詳細


金沢文庫駅から金沢文庫へは名刹・称名寺を通って行くことができます。
称名寺は、金沢北条氏の菩提寺であり、北条実時が母の供養のために建立した寺院です。
庭園が実に美しいですね。

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浄土思想に基づき設計された庭は、浄土曼荼羅を具現化したものとされています。
訪れた日は曇天のためか、たくさんのツバメが低い位置を飛び交っていました。
時間の流れがゆったりしているようです。

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境内奥のトンネルを抜けると、その先が金沢文庫です。
やはり北条実時によりが創設され、収集された膨大な蔵書が保存されています。
北条氏滅亡後は称名寺により管理され、書物ばかりでなく、仏像などの宝物も収蔵されていますが、今回の特別展・金沢文庫の仏像でも、その中の仏像が十数点展示されています。

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最近は、上野で開催されていた 仏像・一木にこめられた祈り特別展のなどのように、仏像を美術館や博物館で展示されるということが多くなっているような気がします。
そういう展示の場面で常々感じる違和感は、その仏像に対して手を合わせる方が殆んどいないということです。
せっかく有難い仏様に向き合っているのにです。
仏像は、手を合わせられる対象、信仰の対象であるがゆえに仏像なのであって、決して単なる芸術作品ではないと思います。
そのあたりが、私の感じた違和感の理由だったのかもしれません。
金沢文庫では称名寺に隣接していることもあるからでしょうか、手を合わせる方が多数いらっしゃいました。

大威徳明王座像は、小さいながらも、迫力ある仏像として輝きを増しているように感じました。

連休中には、是非、神奈川県立金沢文庫へ足を運ばれます事をおすすめいたします。

特別展
金沢文庫の仏像
特別公開 運慶作 大威徳明王坐像
平成19年4月19日(木)?6月10日(日)の詳細はこちらです

神奈川県立金沢文庫へは京浜急行「金沢文庫」駅下車、徒歩12分です。

投稿者: kameno 日時: 2007年4月29日 01:09

コメント: 金沢文庫の仏像 運慶作 大威徳明王坐像

こんにちは!お邪魔します。
力のこもったいい作品でした。
私、絵をかいていますので、ついそんな見方をしてしまいます。
でも仏様の前に立ったとき思わず手を合わせてしまう事があります。
思わず自然にそうしてしまいます。
満たされたような気持ちになります。
訪れたのが連休前だったせいか、会場も静かで穏やかでよかったです。

投稿者 gaspa | 2007年4月29日 09:50

gaspaさん、こんにちは!
絵を描かれていらっしゃる方の視点で見ると、また別の視点で見ることができるのでしょうね。
運慶によるの気迫のこもった力強い仏像は、信仰心を呼び起こす何かがそこにあるのでしょうか。
私が訪れたときもやはり、連休前でしたから人手はそれほど多くなく、ゆっくりと拝観することができました。
良い時間を過ごさせていただいたと感じています。

投稿者 kameno | 2007年4月29日 11:25

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