日本橋に空は戻るか?

日本橋の空を取り戻せ

真上に首都高が通る日本橋首都高移設、来夏までに計画案
 国土交通省は28日、東京・日本橋の上を走る首都高速道路の移設について、来年夏までに計画案をまとめる方針を決めた。

 国交省や東京都、学識経験者などで構成する「日本橋 みちと景観を考える懇談会」(座長=中村英夫・武蔵工大学長)に、国交省の都市・地域整備局や住宅局、河川局関係者などを新たにメンバーとして加え、街づくりの観点を踏まえ、道路移設の工法や費用負担の割合などを協議する。

 日本橋の上を走る首都高の移設については、小泉首相が有識者らに対し、来年9月までに移設の検討と報告書の提出を求め、「日本橋という昔からの名所の上に高速道路が走っており、景観が良くない。夢を持って日本橋の上を空に向かって広げ、川のたもとで散歩をできるように」と述べていた。

 首都高速道路は、1964年の東京五輪に間に合わせるため突貫工事で作られた。土地買収の手間を省くため、公有地である川の上がルートに選ばれた。
http://www.yomiuri.co.jp/tabi/news/20051231tb04.htm




日本橋の上にかぶさる首都高速、高度経済成長時の象徴ともいえる高架橋によって橋の上から空を見上げることはできません。
これを何とか取り除くことはできないかという論議は、これまで何度かなされてきましたが、小泉首相の一言で、にわかに現実化してきました。

【関連リンク】

日本橋の上に空を 沸く地元「実現へ努力」
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000512280001
小泉首相 「日本橋に青空を」一声発動 コイズミ記念碑?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060106-00000023-maip-soci
日本橋地域のまちづくり
http://www.ktr.mlit.go.jp/toukoku/michikeikan/
美しい景観を創る会・悪い景観100景(このNo.16とNo.23が日本橋)
http://www.utsukushii-keikan.net/10_worst100/worst.html


日本橋は、東京都中央区の日本橋川にかかる橋です。
まずは、地図でその位置を確認してみてください。
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=MapionBB&nl=35/40/50.876&el=139/46/39.675&scl=10000&bid=Mlink

首都高速のこのあたりのルートは、見事に川の上(あるいは川そのものの水を抜いて)計画されたことがよく分かりますね。

さらに日本橋近辺の様子を立体的に表した図がありますのでご紹介します。
http://www.hido.or.jp/nihonbashi/jsp/chika/05.html

日本橋は、江戸時代から文化・商業の中心地であり、さらに五街道全ての起点でもありました。

現在でも、日本橋の中央には日本国道路元標が設置されており、(1)国道1号(終点:大阪府大阪市北区梅田新道) 、(2)国道4号(終点:青森県青森市)、(3)国道6号(終点:宮城県仙台市宮城野区)、(4)国道14号(終点:千葉県千葉市中央区) 、(5)国道15号(終点:神奈川県横浜市神奈川区)、(6)国道17号(終点:新潟県新潟市) 、(7)国道20号(終点:長野県塩尻市) の7路線の起点となっています。

箱根駅伝においても、1999年から箱根駅伝の最後の見せ場として、10区のコースを日本橋経由へ変更しています。
ekiden2005.jpg
これは、昨年、駒澤が4連覇した時に撮影したものですが、正面に見えるのが日本橋川にかかる常盤橋。常盤橋の先を右に折れて直ぐのところが日本橋です。


そのような重要な場所ですから、小泉首相は特にこだわりがあったのでしょう。
歌舞伎など日本の伝統文化や歴史と共に、文化都市・東京のシンボルとして「日本橋に空を!」ということで昨年末、首相の私的な有識者懇談会が発足し、動き出したというのが冒頭の記事です。

しかしながら、一体どのようにして日本橋上空の首都高速を取り除くのでしょうか。
ただ取り除くだけでは、首都高速の機能が根本的に失われてしまいます。
従って、何らかの代替ルートを考えなければなりません。
第1次小泉内閣の時に、東京都心における首都高速道路のあり方委員会が4案を提示していますので、それを見てみましょう。
http://www.mlit.go.jp/road/yuryo/arikata/teigen/teigen.pdf


【第1案】浅い地下案

nihon-1.gif
まあ、これが一番現実的な方法でしょうか。
障害となる地下鉄は銀座線と半蔵門線。
特に、銀座線は日本で最も古い地下鉄の一つですから、浅いところを通っています。
ですから、日本橋川の銀座線の下を通すことは、比較的(あくまでも比較的です)簡単だと思われます。
新たに敷設する路線延長も短くて済みます。


【第2案】別線地下案

nihon-2.gif
これは、かなり大掛かりですね。
そもそも、日本橋川のルートを大きく変えて、靖国通りか外堀通りの地下を通す計画ですが、これは費用的にも、周囲への影響度からも、かなり困難な計画ではないかと思います。


【第3案】一体整備地下案

nihon-3.gif
これは面白い計画ですね。
日本橋川の北側に再開発ビルと一体化した路線計画とするものです。
ビルの基礎部分地下に路線を配置しますので、ビルの耐用年数が来て、建て替えるときも比較的簡単にできそう。


【第4案】一体整備高架案

nihon-4.gif
この案は夢があります。
首都高速は高い位置を通っていますから、既存路線との取り付け区間の工事もスムーズに行えます。
ただし、ネックは万が一事故が発生した時の、防災対策と、ビルが老朽化した際の建て替えをどうするかですね。


それぞれ一長一短があり、また、これ以外の方法もあるかもしれません。
事業そのものをやらないというのも、もちろん選択肢の一つです。

総工費は案にもよりますが、3000億?6500億円とも見積もられています。
日本橋に空を取り戻すことの意義は大きいですが、それにかかる費用も膨大になりますから、よくよく検討して、国民の理解が得られから事業に取り掛かって欲しいものです。

投稿者: kameno 日時: 2006年1月 7日 00:16

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