ソメイヨシノはクローンなるが故に

ソメイヨシノは、緑の若葉が出る前に、木全体を覆うようにみごとな淡いピンク色の花をつけます。
オオシマザクラとエドヒガンザクラの交配によって生まれたものが、このソメイヨシノです。
日本の国花でもありますね。

ソメイヨシノと言うけれど… 名は吉野実は江戸っ子
http://www.asahi.com/kansai/densetsu/OSK200503040025.html


このように、ソメイヨシノは交配された植物ですので、いわゆるクローンといえます。
つまり、実をつけることはあっても、その実からは芽が出てきません。
一代限りの樹なのですね。

したがって現在桜の名所に見事な花を咲かせるソメイヨシノは、一本の原木から、挿木や接木によって増やされたもの(いわゆるクローン)です。

このことは、遺伝子が全く同じ樹が各地に植えてあるということでもあり、その一斉に咲く咲き方、散り方、ソメイヨシノであれば全国まったく同一であるわけですね。
花見は元来、梅などを鑑賞するものだったそうですが、桜にその座を奪われる事になった主因は、このソメイヨシノ独特の咲き方にあると思うのです。

数十年前には、ソメイヨシノの植樹がかなり盛んに行われました。
その結果、桜の名所が全国に誕生したのですが、このソメイヨシノはクローンがゆえに、その寿命の短さが懸念されています。

通常のヤマザクラなどは、何百年何千年もの寿命がありますが、ソメイヨシノは60年程度しか寿命が無いといわれています。
これが本当だとすると、あと何十年かすると、桜の名所の光景が一変してしまう可能性もあります。

つまり、桜の名所を維持していくためには、定期的に若木を植樹して、次の世代(といっても同じ遺伝子のクローンですが)を育てていく必要があるのかもしれません。

貞昌院の裏山は、嘗て桜の名所でありましたが、戦時中に一旦畑になり、その後杉が植林されています。
近年、数百本単位で様々な種類の桜を植樹していますが、桜山を後世に残すという意味では、却って良かったのかもしれません。

全国の桜の名所が、いつまでもその光景を残してくれますように。


【おすすめの関連図書】
桜が創った「日本」―ソメイヨシノ起源への旅  佐藤 俊樹 (著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004309360/intermezzo-22/249-7049994-3834760

日本のサクラが死んでゆく ソメイヨシノの寿命に挑む男たち 平塚晶人(著)
http://www.rakuten.co.jp/net-poo/449640/603744/

【関連トピックス】
貞昌院花いっぱい運動
http://teishoin.net/blog/000061.html

貞昌院本堂脇のソメイヨシノ。
毎年にみごとな花を見せてくれます。
20050720.jpg

投稿者: kameno 日時: 2005年7月20日 07:26

コメント: ソメイヨシノはクローンなるが故に

なるほど…そうだったんですね。一代限り…日本三大桜等、いずれもヨメイヨシノが入ってないわけですね。あと何十年かすると桜の風景が一変するだなんて寂しい限りです。今年は桜を追い続けた10日間でしたが、おかげでもっともっと桜のことを勉強してみたいと思いました。有難うございました。

投稿者 さゅ♪ | 2008年4月 8日 17:39

ソメイヨシノ開花の時期になると、街並みや山の光景が一気に華やかになります。
桜の存在感ってこんなにも大きなものだったのかと改めて感じさせれますね。
桜を追い続けた10日間、美しい光景を充分に堪能されたのではないでしょうか。写真を拝見させていただき、そのことがよく伝わってきます。

投稿者 kameno | 2008年4月 9日 09:11

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