« 坐禅会の朝 | 最新記事 | 公園遊びサポート »
一般社団法人 仏教情報センター(私は常務執行理事を勤めさせていただいています)のご縁で、将来の葬祭業を担う「葬祭マネジメント学科」のある専門学校で講義を担当して来ました。
「仏教と葬儀」
仏教情報センターの各宗派僧侶が、毎月順番に講義を担当していきます。
今年11月は、私が曹洞宗に関する講義を改良衣+絡子という威儀で2コマ行いました。
-----------------------------------
内容は、
1.自己紹介
2.各宗派の教義の基本と死後感、本尊、荘厳、法具の配置など(概論)
3.曹洞宗の特徴
4.曹洞宗(貞昌院)の葬儀の考え方と構成
5.戒名、法名、法号等の意味
6.葬祭事業者として働く方へのお願い
7.これからの葬祭事業に思うこと
8.質疑応答
葬祭業に携わることを考えている学生さんたちも、仏教に関する基礎的な事項もまだ知らなかったり、なじみが無かったりするようです。
しかし、実は普段の生活の中に浸透していることや、それらがどのような由縁を持つのかを逐一お話することで、理解を深めていただいたようです。
後半の未来の葬祭業を担う方にお願い、これからの葬祭事業に思うことについては、
■葬祭事業者として働く方へのお願い
(1)人の最大の出来事(生老病死)として、故人と喪家に対して心を込めて対応して欲しい。
(2)宗教性(各宗派の教義、地域の風習)への理解と、司祭者(導師)とともに、厳粛な葬儀執行をお願いしたい。宗教性の中心に入り込むことは避ける。
(3)正しい情報の提供とアドバイス。
喪家が菩提寺を持っているかの確認を確実に行い、早期に菩提寺に連絡を行って欲しい。
近年、寺院を持たない、葬儀だけを執行する僧侶があり、その後の法事や埋葬の面倒を見ないということによるトラブルが多くある。
葬儀の意味を捉え、むやみに簡略化しない。
(4)信頼のおける関係業種との絆を大切にして欲しい。寺院、住職との普段からの意思疎通など。
■これからの葬祭事業に思うこと
従来の死に臨んでの告別披露、弔問外交、格式の誇示などのような葬儀の形態は消滅しつつある。
また、かつて近所、講中で世話役を中心に行ってきた葬儀、葬列などもほとんど見られなくなった。
合理的に、かつスリムに経費を削減した質素な形式の葬儀が増えていくであろう。
通夜無しの一日葬、炉前のみ、戒名無し、無宗教、散骨など、時代の変遷により様々な選択肢が増え、加速化される中で、生前に関ってきた家族、親族、職場、地域社会との縁を簡単に省略化してよいものかどうかも考えなければならない。
「みたま」としての「いのち」の意味と、遺された者へのグリーフケアをどのようにするべきなのか。それを考えた時に、真の安らぎを求める道について、関係する業種に従事する人は真摯にとりくんでいく必要があろう。
ということを中心に、急速に進展する少子高齢化、核家族化、縦横の繋がりの減少により、葬祭業を取り巻く環境は大きな転換期を迎えていること、その中でどのように対応していくことが必要なのかをお話させていただきました。
葬祭業を営んでいく中で、ルーチンワークに陥ることの無いよう、ご遺族にとっては、一生の中での大きな事象であるということを常に心に据えておくことが大切です。そのことを忘れないように、ということで講義を締めました。
後ほど戴いた学生さんたちの講義感想文にはびっしりと文字が埋まっていました。
講義の合間にはさんだ年回法要の意味、享年の数え方などのトリビア的ないくつかの説明と、坊主丸儲けの誤解などの小ネタも興味を持っていただけたようでした。
感想文はすべて拝読させていただきました。
これから資格取得に向けてがんばってください。