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「日本は一国家、一言語、一民族といっていい。北海道にはアイヌ民族がおりますが、今はまったく同化されておりますから」
「小さな国土に、1億2600万人のレベルの高い単一民族できちんとしまっている国。日本が世界に冠たるもの」
「日本国籍を持つ方々で差別を受けている少数民族はいない」・・・・・等々・・・・
どれも国会議員や閣僚による発言です。
日本は決して単一民族国家はありませんし、民族差別の無い国でもありません。
なぜそのような発言が繰り返されるのでしょうか。
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宗務所主催の人権研修では、首都圏アイヌとして活動されている島田あけみさんを講師としてお招きし、改めてこの問題について考えてみました。
テーマとなった「私のエッソコソイ人生」の「エッソコソイ」とは、負けるもんか!というアイヌ語です。
アイヌには、神様を崇め、先祖を大切にする風習が受け継がれています。
カムイノミ
・火の神様 (アペフチカムイ) を通してカムイに祈りを届ける儀式
・アペフチカムイは煙とともに祈りを他のカムイに届ける
・アペフチカムイはアイヌにとって一番身近なカムイ。おばあさんの格好
をしていて、いろりのなかに住んでいると言われる。
アイヌの葬儀とカソマンテ
・アイヌは死期を悟ることができる。自分の死期を自覚したときに、それまで住んでいたチセ(家)の隣りにポンチセ(小さな家)を建て、ひとりで生活をしながら死を迎える準備をする。
・亡くなると、カムイの国に行き、そこで生活する。そのために、住んでいたポンチセと生活用具一式をカムイの国へ持って行く。
・葬儀においては、ポンチセも生活用具一式ごと燃やし、それがカムイの国に送り届けることを意味する。
(写真は2005年に行われた島田さんのおばあちゃんの葬儀)
チャルパ(先祖供養)
・ふつうはカムイノミに続いて行われる。
・先祖に捧げる供物(イ)を地面に広げて置く(→散らばらせる、チャルパ)ことからイチャルパと呼ばれる。
・供物は先祖の世界に到着することには何十倍、何百倍にも増えていると言われる。
アイヌに受け継がれる伝統、思想、風習について詳細に解説いただきました。
チャルパの思想は、施食会のこころと通じるものがありますね、
しかし、そのような伝統も、開拓民の流入により危機にさらされます。
島田さんは、子供のころの体験として、その頃はアイヌの伝統は残っていたが、親の世代は子供たちに受けつがせようとはしなかったといいます。
その理由は、アイヌ文化を受けつがせることによって子供たちが差別されることを怖れたということです。
結果として、子供たちは親の態度からアイヌという言葉を口にしてはいけないと思うようになり、伝統文化、風習は衰退していってしまうのです。
マイノリティ問題は、日本においても大きな問題となっています。
宗務所では、秋に北海道での実地研修を予定しています。
今回の事前学習を踏まえさらに深めていきたいと考えています。