今日はお彼岸の中日です

うつそみの 人にあるわれや 明日よりは 二上山を 弟世(いろせ)とわが見む


原文: 宇都曽見乃 人尓有吾哉 従明日者 二上山乎 弟世登吾将見
(大伯皇女 巻2-165)

 
これは大伯皇女が、亡き弟、大津皇子に思いを馳せて詠んだ歌です。
明日からは、あの二上山を弟と思って眺ることにしよう・・・・大伯皇女の思いがひしひしと伝わってきます。

古来から、お彼岸の真西に沈む夕日の向こうはに西方浄土があるという信仰が生じたことも自然のことであったのでしょう。

舞台となった二上山に沈む本日の夕日をカシミールで作成してみました。

20100321-01.jpg

お彼岸の中日には、大和高田市から見ると、ちょうど二上山雄岳、雌岳の間に落日します。
この美しい光景は、万葉の時代から現代まで変わることなく「うつそみ」(此の世)と彼岸の世界を結ぶ光景として捉えられてきました。

五木寛之さんは、二上山を「生の世界と死の世界をわける結界」と表現しました。
「二上山のかなたに沈む夕日をながめれば、きっと理屈でない浄土がわかるだろう」『親鸞』(五木寛之著)

信仰は理屈ではありません。


彼岸(ひがん)は、、現世=比岸(しがん)に対し、向こう岸という意味です。
苦悩と煩悩から離れ、寂静の世界である彼岸は、西方浄土(西方のはるか彼方)にあると考えられました。
このことから、太陽が真西に沈む春分と秋分の日には、現世と極楽浄土が最も近くなるとされたと考えられます。


お彼岸はご先祖様のいらっしゃる世界と交流ができる期間とされ、先祖供養する習わしとして定着しました。

曹洞宗では極楽浄土という考えは用いませんが、お彼岸にお墓参りをする習慣は、この思想に基づいているといえます。


今日はお彼岸の中日。
お墓参りをされるかたも多いと思います。
日本に伝わるお彼岸の伝統を感じながら、ご先祖様、亡き方に思いを馳せながらお参りいただければと存じます。




春分の日の今日、教区2か寺の彼岸会法要に随喜させていただきました。
その帰路、舞岡公園でダイヤモンド富士を眺めることができました。(ジャストタイミング!)


昼間は吹き荒れた強風のため黄砂で空が霞んでおりましたが、夕方には嘘のように晴れ上がり、富士山のシルエットがクッキリと写しだされました。


20100321-03.jpg
2010/3/21 17:41 横浜薬科大図書館棟(旧ドリームランド・エンパイアホテル)が見えます

20100321-04.jpg
2010/3/21 17:43  ほんの一寸山頂より右に沈んでいますね。


20100321-02.jpg

投稿者: kameno 日時: 2010年3月21日 07:55

コメント: 今日はお彼岸の中日です

kameno様

 二上山の夕日の彼方には極楽浄土があると言う。一度ご縁を頂きたいものです。
ダイヤモンド富士のご縁もいいですね。
五木寛之さんの語りで当山の天神様の春季大祭が来週の土曜日テレビで上映されます。
神仏のお陰で3月の沢山の行事も無事に終えれました。
次男もお陰さまで志望校合格!境内の紅梅が満開です。

投稿者 ゼラニウム | 2010年3月27日 13:44

ゼラニウム様

>二上山の夕日の彼方には極楽浄土があると言う。一度ご縁を頂きたいものです。

二上山に沈む夕日は、場所を変えて奈良盆地の何処かで見ることができるはずですが、彼岸の夕日はまた特別なものでしょうね。
春季大祭お疲れ様でした。広くテレビで紹介されるのですね、楽しみですね。
また、志望校合格オメデトウございます。天神様のご利益もありますでしょうけど、一番は本人の努力が実ったということでしょう。

投稿者 kameno | 2010年3月27日 14:58

コメントを送る