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第二東京タワーとなる東京スカイツリーの工事が着々と進んでいます。
建設地が墨田区押上駅前地区に決まり、東武鉄道出資するプロジェクトにまとまりました。
名称の「東京スカイツリー」もまだ聞きなれないためか違和感もありますが、きっと次第に慣れ親しんでいくことでしょう。
都心部に林立する高層ビル群に電波が影響を受けないために、高く、高く・・・完成時の高さは634mとなります。
実に東京タワーの2倍近い高さです。
上には上があるもので、やはり建設中のブルジュ・ドバイタワーは818mということですから、東京スカイツリーは世界一とはなりませんが、それでもトロント・CNタワー、シカゴ・スパイアタワーなどを抜いて世界2位の高さです。
(次々に建築構想がありますからこの世界2位も、儚いランキングかもしれません)
2011年12月竣工をめざして着々と工事が進められており、10月23日現在で174メートルとなりました。
一日平均1メートル近く積みあがっていく計算になります。
時空を超えた都市景観、日本の伝統美と近未来的デザインの融合がデザインのコンセプトだそうで、 「五重塔」に見られる「心柱」による耐震構造を現代に生かした構造システムも採用されています。
タワーの断面は円ではなく、地上付近の正三角形から次第に円に近づいていくために、見る角度によって景観の変化が見られます。
たしかにぐるりと廻ってみると場所によって雰囲気が違って見えます。
上の3枚目の写真に設計図を合成し、完成時の光景を作成してみました。
やはり高いですね?
ここからは東京タワー。
東京スカイツリーの出現によって東京タワーの魅力がなくなるかというと、そうは思いません。
どことなく温かみを感じ、東京タワーが想い出の場所場所に出て来る者としては、東京タワーは特別な存在です。
東京タワーの展望台に、東京タワー設計者・内藤多仲氏の自筆の構想書、構造計算メモが展示してありました。
内藤氏は26歳の若さで早稲田大学理工学部教授に就任、「耐震構造理論」の神様的な存在でした。
感涙ものです。
曹洞宗大本山總持寺の大祖堂の構造計算も内藤氏により為されています。
東京タワーが昭和戦後を代表する建築物だとしたら、東京スカイツリーは平成を代表する建築物になるでしょう。
スカイツリー建築の光景を眼にすることができることは幸いです。
これからも東京タワー、東京スカイツリーとともに想い出が刻まれていくことでしょう。
東京タワーが建設された時代はいわゆる「三種の神器」であるテレビ、冷蔵庫、洗濯機が普及し始めた時代です。
高度経済成長期を迎え、次第に便利な時代になり、物は豊かになり欲しいものも手に入るようになりました。
けれども経済の成長は私たちに幸せをもたらしたのでしょうか。
殺人、格差社会、虐待、自殺、戦争・・・・
昔のほうが「豊か」だったと感じることも多いとしたら、本当の幸せってなんなのでしょう。
平成の時代が過ぎ、何十年後先に、「東京スカイツリー」建設の時代を振返ったときにはどのような感覚を持つのでしょうか。
その時の楽しみにしたいと思います。
■関連ブログ記事
50th Anniv.the TOKYO TOWER
■関連リンク
東京スカイツリー公式サイト
東京にはもうクリスマスツリーがと思い、174mとはこりゃでっかいクリスマスツリーだな、さすが都会のやることは違うなあ(え?)と思いましたが、こりゃまた。
高けりゃいいというものでもありませんが、内藤氏の構造計算書などみると、なんだか人間くさいドラマのにおいがして、建設事業というものに、違った味わいを感じます。
投稿者 蓮 | 2009年10月24日 12:14
蓮さん
そういえば、もうデパートにはクリスマスグッズが並び始めていますね。気が早いものです。
東京スカイツリーも、クリスマスシーズンにはそのようなライトアップが為されるのでしょう。
建築物っていうのは、大いに設計者の考えが盛り込まれます。
現代の建築物はコンピュータで構造計算の大部分がなされますけれども、基本コンセプトはやはり人の手によります。
さまざまな建物、構造物を見る際に、その中にどのような設計者の考えが盛り込まれているのかを感じることは一つの醍醐味でもありますね。
投稿者 kameno | 2009年10月25日 12:14
小さな話ですが、私もかって現職時代には鉄塔の強度計算をしたことがあります。最高のもので高さ50メートルの自立式アングル鉄塔(頂部に直径3.2メートルのパラボラアンテナ三面搭載型)です。今から丁度三十年前のことですが、当時は磁気カード式の卓上電子計算器(YHP製モデル97)で強度計算をしました。
以来大型台風の強風にも耐え、地震にも耐え、今も無事に建ってデーターの送受を続けているようです。職員数が足りないため、私一人でデザインから、強度計算、設計、仕様書作成、積算、工事監督まで担当しました。
規模は小さいものですが、懐かしく思い出しています。
それに、先日の「般若心経」の記事には感服しています。美しい読経の声を聞き、仏像を眺めながら「般若心経」を暗唱させていただいております。
眞にありがとうございます。
kameno師さまには、いつも感謝しています。
投稿者 zazen256 | 2009年10月26日 04:20
zazen256さん
街中で何気なく見かける一つひとつの構造物にこのような思いが込められているということを改めて感じました。
何十年も風雪に耐えてなお稼動している鉄塔、頼もしいですね。まさにプロジェクトXですね。
般若心経は同じ経文を様々に人々が共有しているということは尊いことだと思います。
アメリカではグレゴリオ聖歌のメロディーに乗せられて唱えられているそうです。
投稿者 kameno | 2009年10月26日 08:23