即心会研修-佛光山寺

神奈川県東部の僧侶研修組織、即心会恒例の半日移動研修が開催されました。
今年は、日本に根付く様々な宗教施設を拝登させていただきました。

これまでも何度か別件で様々な寺院などを訪問、拝登させていただいておりますが、毎回感じることは、日本で暮らすそれぞれの国の方々の心の拠り所とコミュニティーの中核としての重要な役割を担っているということです。

逆に考えると、世界各地に広がる日本の仏教寺院が果たしてきた役割も同様でなのでしょう。
そこには現代日本の伝統仏教寺院にも学ぶべき事柄がたくさん詰まっています。


移動研修の最初の訪問地は東京佛光山寺です。

佛光山寺とはゆめ観音アジアフェスティバルにおいて交流があります。
「東京佛光山寺」のパンフレットには、「大船観音での世界平和祈安法要に台湾仏教の代表として参加」とご紹介いただいています。




東京佛光山寺(Tokyo Bukkozanji)は、台湾・高雄に本山を置く臨済宗「佛光山寺」(Fo Guang Shan)の日本における別院の第1号です。華僑と日本の皆様の交流の場として、また国際仏教の新拠点としてお役に立てることを願っております。
2007年5月18日に完成した、地上4階、地下2階(敷地460?・建物560?)の本施設には、本堂(如来殿)、法話室、喫茶室、応接室、多目的室(ボーイスカウト板橋第16団活動拠点)、食堂、ロッカー室、身障者用トイレ、駐車場などを備え、また国際佛光会東京協会の事務室も当寺院内にあります。
本寺院内の施設の一部は一般の方々のご利用も可能です。また、東京佛光山寺を1時間で見学体験できるコースも新設致しましたのでお気軽にお問い合わせください。東京佛光山寺の僧侶は、中国語・台湾語はもちろんのこと、日本語や英語でも対応可能です。


公式サイトより引用




日本を除くアジア各国では旧暦でにより寺院行持を行うことが多く、研修旅行の開催日が、旧暦で春節の年が明けて初めての満月の日、「元宵節」となったため、さまざまな特別法要が行われておりました。
そのような法要に参加させていただくことも研修の目的の一つであります。

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法要に随喜。
この日は旧暦正月15日ということで、「八十八佛洪名寶懺」経を読経いたしました。
略布薩にあたる法要です。

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中国寺院での法要においては両班の東、西が交互にお拝をしていきます。
そういえば、霊隠寺で行われていた法要も同様のお拝をしておりました。


法堂の脇に飾られている牛たち。
これはおみくじとなっていて、中に運勢が書かれています。
(参列者は一つづつ持ち帰ります)

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法要後、佛光山寺の概要と活動について説明をいただきました。
それにしても規模が桁違いです。
特に、台湾・高雄に本山では、全国全世界から集まる信者さんが快適にお参りできる宿泊施設群や1000人規模まで対応できるホール、1000人が一度に坐することができる大坐禅堂など・・・・



佛光山は、日本国内においては東京佛光山寺をはじめ、佛光山本栖寺、大阪佛光山寺、名古屋佛光山寺、福岡佛光山寺、群馬佛光山寺(2010年完成予定)、その他関連道場(布教所)など、全国各地に複数の寺院・施設を擁しています。
当寺の本山である台湾の佛光山寺は、約40年前に星雲大師によって開かれました。星雲大師の法脈伝承は中国江蘇省南京の東北にある、南北朝時代より由緒ある古寺の「棲霞山」が源になっています。星雲大師はここで志開上人のもと出家し、臨済宗第四十八代として衣鉢を継ぎました。星雲大師は1949年春、台湾に渡り、宜蘭雷音寺にて念仏会、弘法団等を作り、後の弘法事業の基礎を築きました。1967年に佛光山寺を開山し、仏教の弘法及び教育、文化、慈善等の諸事業に全力を尽くしてきています。

創建40余年、今では佛光山寺は台湾総本山のほかに全世界各地に200余りの別院を擁しています。とりわけアメリカの西来寺、オーストラリアの南天寺、南アフリカの南華寺等は、当地最大の中国寺院と称えられています。また、1992年5月、星雲大師がアメリカで設立した「国際佛光会」(信徒団体)は現在、世界各地で620余りの分会を擁するまでに成長しています。
(公式サイトより)


台湾には元来得られた利益は社会に還元しようという精神が根付いているということも大きな原動力となっているようです。資産は内部留保せず、積極的に社会貢献のために「使っていこう」とする基本姿勢があるため、台湾内部に留まらず世界中に下記のような様々な活動を展開しています。
そこには開山・星雲大師が掲げる「人間仏教」の理念を実践し「世間是即ち浄土」の実現に邁進するという理念が生かされています。
それが社会的に認知され、自然に浄財が集まる土壌を生み出すという好循環となっている事例だと感じます。


活動の一部としては

編蔵編纂(大蔵経の編集)
佛光テレビ局
佛光美術館
「人間福報」新聞社
佛光文化出版社
国際学術会議
国際交流会議
仏教音楽の普及促進
教育による人材の育成(叢林学院、西来大学、南華大学など)
慈善による社会への奉仕(雲水病院など)


それぞれの活動の規模が日本の常識では考えられないほど大きいことに驚かされます。

詳細はここをクリック



点心飯台。
心の込められた中華精進料理が並びます。
私たちだけでなく、佛光山寺を訪れる一般信者たちにも平等に振舞われる料理です。

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台湾式のお唱えと、日本での食事作法のお唱えを両方行い戴きました。

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法師の皆さん、役員の皆さん、信者の皆さんと点心(昼食)飯台を交えながらさまざま話をさせていただきました。
その中で、台湾において尼僧の割合が高い理由、逆に日本において殆ど居ない理由について、以前このブログ記事台湾仏教を担う尼僧たち でもとりあげ考えたことを含めてざっくばらんに意見交換が出来ました。
そもそも台湾と日本の寺院制度が全く異なることが挙げられます。
日本では、一寺の住職が交代することは殆どありませんが、佛光山寺では「別院」という形で寺院を展開しているため、それぞれの寺院住職、職員は本山辞令によりほぼ数年おきに交代するシステムとなっています。(全世界に200を越える公式寺院がある)
現在の東京佛光山寺の住職もアメリカでの赴任を経て東京に来ているとのことです。そのメリットとして、何年も同じ場所に居ると向上心が失われてしまう弊害があり、それを防ぐことができるということでした。

・日本では、住職が結婚することが多く、長男が継承していくケースが多いため女性が尼僧となるとしても、その活躍の場所が限られている
・また、日本では女性の出家=配偶者に先立たれた(未亡人)あるいは悩みを抱えた上での出家というイメージが根強い
・台湾では逆に自分の可能性を発揮する場として、高学歴の女性こそが出家する傾向にある
などなど。

日本のシステムにも良い面悪い面があります。
その中で、良い面は積極的に取り入れていく必要はあるでしょう。いずれにしましても私たちが考えていかなければならない問題はたくさんあるようです。


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仏教の持つ潜在的可能性とパワーを見出すことができた寺院でした。

(以下続く)


追記
佛光山寺の会報にこの拝登が紹介されました。

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「佛光世紀」 2009年3月号


■関連ブログ記事
大船からひろがる平和のリレーメッセージ
台湾仏教を担う尼僧たち

投稿者: kameno 日時: 2009年2月 9日 23:53

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