うまい話は転がっていない

平成電電民事再生法適用&個人情報垂流し という記事を書いたのも記憶に新しい中、今度は近未來通信の問題です。

ついに警視庁の捜索が入りました。


近未来通信、詐欺容疑で捜索=IP電話投資で虚偽説明?被害400億円か・警視庁

 インターネットを利用したIP電話会社「近未来通信」(東京都中央区、石井優社長)が投資家から事業資金を集めながら事実上閉鎖状態となっている問題で、警視庁捜査2課は4日、虚偽の説明で金をだまし取った疑いが強まったとして、詐欺容疑で、同社本社などを一斉に捜索した。
 被害額は約400億円に上るとみられ、最新の通信システムをめぐる投資話は刑事事件に発展する見通しとなった。捜索は全国約20カ所に及び、同課は今後、押収資料の分析や関係者の事情聴取を進め、実態解明を進める。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061204-00000030-jij-soci



しかし、こういう高額配当を謳った投資詐欺は相変わらず無くならないんですね。
騙す方も騙す方ですが、私たちも甘い話は無いということを心しておかなければなりません。
特に、今回はIP電話に知識の乏しい層をターゲットにした悪質な手口です。
有名人によるTVCMを流し投資者を集め、さも動いているように見せかけているサーバーを遠めに見学させて安心させたようですが、それにしても実質動いていたサーバーが全国で数台だけだったというのは凄い。
まさに絵に描いたような自転車操業です。

会社のサイトはまだアクセスできるようですから、『自称』どんな会社なのかを見て行きましょう。
近未来通信
http://www.kinmirai.co.jp/index.html




会社概要

近未來通信は、ユーザーの視点を重視した「通話料金」を目指してIP電話事業に参入し、2006年で設立9年を迎える通信会社です。
国内のみならず、海外各地にも電話中継局を開局することで、世界230ヵ国へ通話できる国内・国際IP電話サービスを実現。
また、主力商品である通話プリペイドカード「グローバルカード」シリーズは日本国内の外国人の皆様から支持されるロングセラー商品となっています。
地域社会への貢献を目的としたスポーツ振興にも力を入れており、2006年には社団法人日本女子プロゴルフ協会(LPGA)公認の女子ゴルフトーナメント「近未來通信クイーンズオープン」を主催しました。


売上高
245億円(2006年度実績 7月決算期)

kinmirai.gif


右肩上がりの売上高、このほとんどが通信事業による売り上げでなく、投資家から集めた投資金であると思うとぞっとします。


中継局オーナーシステム

新しい通信ビジネスの新局設置費用を負担していただくことにより、その中継局から生まれた利益を継続的に配分する、事業パートナーを募集します。
オーナーの利益は、所有の中継局を経由したユーザーからの発信料と着信料です。
パソコン・通信の知識や営業活動などは全く必要ありません。



最後の行の部分は、まあそうでしょう。
逆に、ちょっとでも知識があるのであれば、このような投資話に乗らないのではないでしょうか。

ただし、オーナーの利益は、「所有の中継局を経由したユーザーからの発信料と着信料」ではなく、「投資家からの投資金」だったわけですね。


■加盟金 210万円。 (税抜き価格200万円、消費税10万円) ※その他 サーバー等、設備資金が必要です。

IP電話とは、音声をデジタル信号に変換し、インターネットをインフラとして利用することで
通話コストを大幅に削減した電話サービスです。

当社はこれまでにない格安の国内・国際IP電話サービスを展開するとともに、事業の
基盤となる中継局の設置費用を負担していただいたオーナに、その中継局から生まれた
利益を継続的に還元する「中継局オーナーシステム」を確立しました。
オーナーの収益は所有中継局を経由したユーザーの通話料の一部です。
通信の知識、営業活動は必要ありません。



そうですか・・・・・


エリアエージェント代理店募集

■加盟金 210万円 (税抜き価格200万円、消費税10万円)
※その他 サーバー等、設備資金が必要です。


加盟金105万円 (税抜き価格100万円、消費税5万円)

電話一本で即開業できます!

エリアエージェントの業務はユーザーの獲得、中継局オーナーへの事業説明及び開拓となります。
研修を通じて丁寧に指導し、通信のプロを育てますので専門知識なども不要。ノルマもありません。
開業が決定すれば本部がサポートいたします。名刺やパンフレット、営業キットなども用意されていますので、自宅で電話一本あれば、すぐにスタートできます。
初期費用は加盟金105万円のみ。

<業務>
ユーザーの開拓営業、中継局オーナーの開拓、代理店開拓、 及びサポート業務

●中継局オーナー開拓マージン
●開拓中継局の稼動継続マージン
●プリペイドカードの卸小売益



しかし、警視庁の捜索が入り、事実上閉鎖状態となっている今日の段階でも、こんなアナウンスをしているんですね。


中継局オーナー、代理店、および関係者の皆様へ
http://www.kinmirai.co.jp/061125.html

この度はマスコミによる様々な報道でご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます。本社にご来社された中継局オーナーの方に対し、本社でのオーナー様への対応の形式と、現在およびこれからの状況をお伝えさせていただきます。

■本社の営業は継続していきます。
■通信サービスも通常に営業しております。
■マスコミには対応しております。
■オーナー様に対し精一杯の対応をさせていただいております。

投稿者: kameno 日時: 2006年12月 4日 23:55

コメント: うまい話は転がっていない

私はこの話、最初から胡散臭いと思っていました。私も自分で固定電話に加入していますが、携帯電話やメールを利用する機会が多いので、固定電話の利用料は殆ど基本料金だけです。IP電話は警察や消防にかける事が出来ないし、同じプロバイダー以外の人と話をする場合はしっかり料金がかかるし・・・堂考えても利用する人は少ないように感じました。

投稿者 ikuo | 2006年12月 6日 19:59

IP電話は安定性に不安は残るものの、それほど悪いものではないと思います。
ただ、専門外の人に分かりにくいものを投資対象とし、しかもその実態がないという悪質さに問題があるようです。

投稿者 kameno | 2006年12月 7日 12:44

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