修證義(シュショウギ)
第三章（受戒入位-後半）

次には応(マサ)に三聚浄戒(サンジュジョウカイ)を受け奉るべし、第一摂律儀戒(ショウリツギカイ)、第二摂善法戒(ショウゼンボウカイ)、第三摂衆生戒(ショウシュジョウカイ)なり、次には応に十重禁戒を受け奉るべし、第一不殺生戒(フセッショウカイ)、第二不偸盗戒(フチュウトウカイ)、第三不邪婬戒(フジャインカイ)、第四不妄語戒(フモウゴカイ)、第五不コ酒戒(フコシュカイ)、第六不説過戒(フセッカカイ)、第七不自賛毀佗戒(フジサンキタカイ)、第八不慳法財戒(フケンホウザイカイ)、第九不瞋恚戒(フシンイカイ︶、第十不謗三宝戒(フボウサンボウカイ)なり、上来三帰、三聚浄戒、十重禁戒、是れ諸仏の受持したまう所なり。受戒するが如きは、三世の諸仏の所証なる阿耨多羅三藐三菩提金剛不壊の仏果を証するなり、誰(タレ)の智人か欣求(ゴング)せざらん、世尊明らかに一切衆生の為に示しまします、衆生仏戒を受くれば、即ち諸仏の位(クライ)に入(イ)る、位(クライ)大覚(ダイガク)に同じうし已(オワ)る、真(マコト)に是れ諸仏の子(ミコ)なりと。諸仏の常に此中(コノナカ)に住持たる、各各の方面に知覚を遺さず、群生の長(トコシナ)えに此中に使用する、各各の知覚に方面露(アラワ)れず、是(コノ)時十方法界(ジッポウホッカイ)の土地草木牆壁(ショウヘキ)瓦礫(ガリャク)皆仏事を作(ナ)すを以て、其(ソノ)起す所の風水の利益(リヤク)に預る輩(トモガラ)、皆甚妙不可思議の仏化に冥資(ミョウシ)せられて親(チカ)き悟りを顕(アラ)わす、是を無為の功徳とす、是を無作の功徳とす、是れ発菩提心なり。