「原子力発電」と一致するもの

2020年3月14日、山手線に49年ぶりの新駅「高輪ゲートウェイ駅」が開業します。

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(写真はJR東日本プレスリリースより引用)


これまでに何回か関連ブログ記事を書きましたので、こちらもご覧ください。

東北縦貫線の工事進む
山手線、京浜東北線の線路切替工事
高輪ゲートウェイ駅と再開発


高輪ゲートウェイ駅、14日開業 無人コンビニやAI案内 山手線49年ぶりの新駅、内部公開

JR東日本は9日、山手線の新駅として14日に開業する「高輪ゲートウェイ駅」(東京・港)を報道陣に公開した。品川―田町駅間に開く。首都圏の主要路線である山手線の新駅開業は西日暮里以来、49年ぶり。JR東は「未来の駅」と位置付け、無人コンビニエンスストアを設置するなど、最先端の技術を多用した。無人コンビニはこれまで赤羽駅(東京・北)などで実証実験をしたが、常設の店舗は初めてになる。カメラが商品を自動で認識し、利用者は「Suica(スイカ)」など交通系ICカードを使って簡単に決済できる。
高輪ゲートウェイ駅に設置される無人コンビニ「TOUCH TO GO」
さらに、QRコードで通過できる新型の自動改札機、周辺施設や路線の乗り換えを人工知能(AI)で案内するロボットなども試験導入し、実用性を検証する。
駅舎は有名建築家の隈研吾氏が設計した。東北のスギを多く使ったほか、折り紙をイメージした大屋根が特徴の和を意識したデザインにした。屋根には、光を通すが熱ははじく「膜屋根」を使い、採光性を高めた。吹き抜けで開放的なつくりに仕上げた。
JR東の三輪美恵執行役員は「交通アクセスの良いエリアで、東京と世界をつなぐ玄関口の役割を果たすことを目指したい。東京の魅力を発信し、長く愛される駅になってほしい」と強調した。
高輪ゲートウェイ駅に設置されるQRコードで通過する自動改札機
東京の新たな玄関口として駅周辺の再開発を進める。商業施設やホテル、オフィスなどの一体拠点として2024年に街全体の本格開業を目指す。1日の利用者数は開業当初は2万3千人を想定している。24年には12万3千人に増えると見込んでいる。
(日本経済新聞2020/3/9)


山手線・京浜東北線のの新駅「高輪ゲートウェイ駅」はに関する詳細は、JR東日本のプレスリリースをご覧ください。
高輪ゲートウェイ駅開業 プレスリリース(JR東日本)

駅の新設もそうですが、駅周辺の広大な土地に新しい街が造られていくことも楽しみです。
今後の展開に注目したいともいます。

3月14日の鉄道関連のニュースでは、常磐線の全線運転再開もうれしいニュースです。
常磐線(富岡駅~浪江駅間)の運転再開について (JR東日本)


「あす常磐線全線復旧 9年ぶり 仙台までの鉄路再び」など

■あす常磐線全線復旧 9年ぶり 仙台までの鉄路再び
東日本大震災・東電福島第一原発事故に伴い、不通となっているJR常磐線富岡(富岡町)―浪江(浪江町)駅間の20・8キロが14日、ダイヤ改正に合わせ、およそ9年ぶりに運転を再開し、常磐線は全線復旧を果たす。
いわき―仙台間の鉄路が再びつながるに当たって、品川駅・上野駅―仙台駅間で特急「ひたち」を3往復、富岡駅―浪江駅間で普通列車を11往復運転し、利便性向上を図っていく。浜通りのさらなる活性化が期待される。
常磐線の富岡―浪江駅間には、原発事故による帰還困難区域も含まれていたが、双葉駅(双葉町)周辺は4日、大野駅(大熊町)周辺は5日、夜ノ森駅(富岡町)周辺は10日をもって、避難指示が解除された。駅舎の改修も行われ、双葉駅は新たに橋上駅化されたほか、大野駅や夜ノ森駅も生まれ変わった。
常磐線の全線開通に合わせ、いわき―仙台駅間の特急「ひたち」も、着席サービスが適用され、全車指定席となる。車内で特急券を購入した場合、事前購入と比較して割高となる。
14日からは、JR東日本の交通系ICカード「SUICA(スイカ)」のエリアも拡大する。いわき―浪江駅間が首都圏エリア、小高駅(南相馬市)以北が仙台エリアとなり、これをまたいでは利用できない。また、Jヴィレッジ駅(楢葉町)が常設駅となる。
(いわき民報2020/3/13)

東日本大震災以降分断されていた常磐線がようやく1つにつながり、品川・上野と仙台が結ばれることになります。
本当に待ち望ましいニュースでした。
東京電力福島第一原子力発電所周辺の地域は、まだ帰宅がかなわない場所もありますが、きっと今後の復旧復興に大きな原動力となることでしょう。
いつか常磐線に乗車してみたいと思っています。

今回の人権研修は福島方面、特に東京電力原子力発電所事故の影響が大きく残された地域を巡りました。
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先のブログ記事(1)(2)のような現状を目の当たりにして、思うことは多いのですが、その前に、注意しなければならないこともあります。
福島県全域が、或いは海外からの視点では日本全体が放射能に汚染されてしまっているという先入観は、決して持ってはいけないということです。

今回は「避難指示解除準備区域」(上図の緑の区域)、「居住制限区域」(上図の黄色の区域)を訪れました。
それ以外の区域では、住民の方はごく通常の生活を送られています。
また、「避難指示解除準備区域」では、除染作業が進められており、居住できる環境作りに多くの方々が日々作業を続けています。

1日目に拝登させていただいた富岡町のR寺様では、昨年は除染作業が進んでおらず防護服を着用し、日中の僅かの時間しか滞在できませんでした。
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その時の境内の放射線量は3.48μSv/hという高線量で、雨樋では計測不能になる場所もありました。

本年1月より国は富岡町での除染作業を進め、境内での空間線量は0.5μSv/h程度に下がっています。
今回は午後3時までという制限は掛けられていますが、防護服の着用は必要無くなりました。

もちろん、まだ斑状に線量の高い場所もあるでしょう。
しかし、全体的に線量が下がっていることも事実です。

R寺では、檀信徒の皆さまがまた集える場所とすべく片付けや修復作業を継続的に進めています。
また、数年後を目処に伽藍の復興計画も進捗しています。

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寺院の事例はもとより、今回の研修で各所を回った中で、様々な困難に立ち向かっている方々の姿を目の当たりにしました。
道のりは遠いこともあるかもしれませんが、そのような方々を心より応援していきたいと考えています。

放射能をやみくもに怖がるのではなく、正しい知見の元、正しく怖さに向かい合う姿勢が大切なことであると考えています。

宗務所主催移動人権研修・福島方面2日目を迎えました。

朝食後、原発被害糾弾・飯館村民救済申立団団長で、飯舘村前田行政区長の長谷川氏にご講義をいただきました。

 

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これから実地研修を行なう飯舘村の原子力発電所事故前後から現在に至るまでの経緯と今後の見通しについて、まずは座学を行ないます。
飯舘村は、事故後の避難が遅れたために数日後に降った雨の日によって多くの住民が被曝してしまったということが後になってわかりました。
事故後の放射能拡散の予測と避難などの対応が適切になされなかったことによる人為的な被曝といえます。

ご講演いただいた後、質疑応答、バスに乗って飯舘村に向かいます。
途中、道の駅川俣にて休憩。
放射線量は0.05から0.10の間でした。
名産の揚げたて川俣シャモのメンチカツがとても美味しい!

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飯舘村に入ると、風景が急に変化します。
道路には土砂を積んだトラックが頻繁に往来しています。
この土砂は、表面を漉き取った土地の表面に被せる汚染されていない土砂です。

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土地の除染は、このように表面を数センチ好き取って、土を被せる手法で行われています。
少しでも線量が下がることを目指して作業が絶え間なく続けられています。

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住居の庭先の除染も進められています。

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その結果、道の両側には、漉き取られた汚染土が積み上げられていきます。
汚染度(除去土壌)の保管場所は「仮仮置場」ということになっているのですが、この場所から他の場所に移されるのは何時の事になるのでしょうか。

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飯舘村役場に到着しました。

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村の歌。
「山美わしく 水清らかな・・・・」
そのような光景が戻るのはいつの日になるのでしょうか。

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飯舘村役場前の線量測定ポストは0.44μSv/hを示していました。
手持ちの線量計もほぼ同じ数値となっています。

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その後、長谷川氏に飯舘村各所をご案内いただきました。

除染作業が進むに連れて汚染土は増えていきます。
その処理をどのようにするのか、帰宅可能となったとしても産業をどのように戻すのか。
故郷を離れた人々をどのように戻すのか。
単純に線量を下げればよいというだけの問題ではなく、さらに総合的な視点での解決を目指さなければならない。
解決するべき問題はとても大きいと感じました。

宗務所主催の移動人権研修のために福島方面に行っておりました。

曹洞宗宗門では、昨年、人権啓発ビデオ「原発事故ー人権は守られたか」が作成され、宗務所での研修テーマを東京電力福島第一原子力発電所事故にテーマを絞り学習を進めて来たところであります。
⇒昨年の人権研修はこちら⇒ http://teishoin.net/blog/004931.html

この権啓発ビデオは
・放射能~見えない不安
・3月12日に何が起きていたか~安全神話が崩れる
・分断~引き裂かれた現実
・原発事故~他人事ではない
という、4つのチャプターから構成されており、原子力発電所事故のもたらした現状がまとめられています。

そこで、今年は移動研修として、実地にて学びを深めることを計画いたしました。
教区長、保護師、青少年教化委員、宗務所役職員など約40名での移動研修です。

 

講師として、東京電力福島第一原子力発電所から約7キロ、第二原子力発電所から約3キロの位置にあるR寺ご住職に全行程を同行いただきました。

1日目朝の出発地点は横浜駅西口。
好天に恵まれました。
線量計の数値は0.05μSv/hです。
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(注:ブログ記事中、何回か測定値を掲載いたしますが、あくまで私が手持ちの線量計で測った数値です。基本的に地表1メートル3回の平均を取りましたが、公式なデータではありませんので予めご了承下さい)

首都高から常磐自動車道路を通り、北上していきます。
途中、いわき市にて昼食をいただきました。

いわきといえば日本有数の漁港であり、ブランドの魚が水揚げされる場所でありました。
昼食場所で女将さんからお話をいただいたのですが「いわき産でない魚介類をを使っているということ」を説明しなければならないことがとても辛いということばが印象的でした。
試験操業も始まっています。線量計測が的確に行われ、正しいものの見方が根付くことを節にねがいます。


憂楽帳:歩くウニ

福島県沖は黒潮と親潮が出合う「潮目の海」。多くの人々が豊富な海の幸によって生計を立ててきた。いわき市小名浜(おなはま)にある1938年創業のかっぽう「一平」もその一つだ。
一平はウニの生き作り「歩くウニ」で知られる。殻の一部を割って盛りつけると、とげを動かし歩いているように見える。割れ目からスプーンですくえば、口いっぱいに甘みが広がる。
管理も調理法も難しく、完成までに約20年かかった。水温10〜11度に保った水槽に入れ、えさをやり、1日3回水を替える。常連だった佐藤栄佐久知事(当時)が歩くウニと名づけた。
バスが横づけになり、1週間に2000人が訪れたこともある。しかし、東京電力福島第1原発の事故で一変。小名浜ではウニなどの禁漁が続き、他産地のものでは鮮度が落ちて「歩かない」。客足は今も戻らないという。
「このままではいわきが無くなる」とおかみの長谷川雅子さん。「東京で使う電気を原発で作っていたのにねえ」。福島だけが被害を背負う不条理さに怒りがにじむ。
(毎日新聞2013年12月10日)


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港に近い場所の放射線量は0.07から0.20μSv/hでした。

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昼食後、さらに北上を続けます。
沿道には、汚染土を積み上げた光景が見られるようになってきました。

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東京電力福島第二原子力発電所前を通過。
少しづつですが線量が高くなりました。

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常磐線の富岡駅前。
駅舎は津波のために崩壊してしまい、そのままほとんど手つかずの状態です。
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土のある部分にはセイタカアワダチソウが目立ちます。

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富岡駅前の慰霊碑の前で、ちょうど興福寺様のグループと出会いましたので、合同で慰霊法要を営ませていただきました。

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富岡駅の周辺は居住制限がかかっており、宿泊はできません。
避難指示解除準備に向けて除染作業が各所で進められていました。

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染作業は住居周辺を中心に行われています。
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富岡市のR寺さまに到着しました。
寺院境内で説明をいただきました。
東日本大震災からまもなく4年の時間が経過しようとしています。
けれども、堂内はまるで震災直後そのままのようです。

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墓地には、造花が生けられていました。
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この周辺は、午後2時30分になると放送が流され「午後3時までに富岡市から離れるよう」促されます。
午後3時以降は留まってはいけないのです。

 

その後、バスは2日目に訪れる飯舘村の方が多く避難生活をされている伊達市の仮設住宅へ。
最近国道6号線が開通しましたので、通常であれば6号線を北上して伊達市に向うルートが早いのですが、観光バス会社が会社の方針として開通したばかりの6号線を通ることが出来ないということでしたので、一旦湯本JCTまで戻り、磐越東自動車道路、東北自動車道路という大回りのコースを通ることになりました。

伊達市の仮設住宅でも詳細な説明をいただき質疑応答となりました。

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この場所は、他の仮設住宅に比べ、建物の構造、近隣に病院、スーパーが有る、避難前の地区の方が集まって居住しているなど、他の仮設住宅に比べて良い条件が整っているとのことでした。
近くに知った顔があるということがどれだけ心強いのかということです。

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1日目の研修はこの伊達市の仮設住宅で一旦区切り、明日の研修へと続きます。

 

 


■補足
避難指示区域の概念図(政府HPより、平成26年10月1日現在)

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■用語説明の補足

■避難指示解除準備区域(上図の緑の区域)とは
避難指示解除準備区域は、早期帰還を目指す「年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された地域」であり、主要道路における通過交通、住民の一時帰宅(宿泊禁止)は柔軟に認められている。また、一時的な立入りの際には、スクリーニングや線量管理などの防護措置は原則不要となっている。

■居住制限区域(上図の黄色の区域)とは
居住制限区域は、「年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域」であり、帰還に数年以上を要するとみられる区域として計画的避難区域と同様な運用が実施される。この区域では、住民の一時帰宅(宿泊禁止)、通過交通、インフラ復旧など公共目的の立入りは認められている。

■帰還困難区域(上図の赤の区域)とは
帰還困難区域は、「5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、現時点で年間積算線量が50ミリシーベルト超の地域」であり、引き続き避難が継続される。この区域では、住民の一時立入りの際、スクリーニングを確実に実施し個人線量管理や防護装備の着用を徹底することとしている。

東京電力福島第一原子力発電の事故以来、日本のエネルギー政策、特に原子力発電についての政策は重要な課題となっています。
先日の滋賀県知事選挙では、「卒原発」という言葉が報道の中で大きく取り上げられました。


では、ここでいう「卒原発」という言葉はどのような意味なのでしょう。

原発という言葉を飾る「反」「脱」「卒」「減」「縮」・・・・・・
どれも原発を無くす方向性であることは間違いないでしょう。
しかし、どうもはっきりしない感が否めないのは、その原発をゼロにする時期がいつなのかということが明確化されていないからなのです。

用語辞典では次のように掲載されています。



卒原発
読み方:そつげんぱつ

「原発依存のあり方からの脱却」を「卒業」として言い表した表現。2011年に吉村美栄子・山形県知事ならびに嘉田由紀子・滋賀県知事により提唱された。
原子力発電の存在を危険視・問題視し、原発の廃止を目指すべきだという考え方を表す語としては、「脱原発」が一般的である。「卒原発」は、徐々に原発依存度を下げ、最終的には原発に頼らない電力供給を可能にすることを「原発からの卒業」と捉え代替エネルギーの拡大などを推進していくという。
新語時事用語辞典「卒原発」項)



【脱原発】

だつ げんぱつ

安全性や経済性,廃棄物処理など多くの問題を抱える原子力発電にエネルギーの多くを依存する傾向を見直す考え方。
(三省堂 大辞林 「脱原発」項


 

「脱原発」は、原子力発電に依存する傾向を見直す考え方とありますが、その時期についての言及は無いですね。
対して、「卒原発」は「徐々に依存度を下げ」とあります。
ということは、新たな原子力発電施設は作らないが、現在ある原子力施設は稼働しつつ、耐用年数に達する、あるいは代替エネルギーの目安がつき次第適宜依存度を下げていくというニュアンスなのでしょうか。

実際、滋賀県の嘉田元知事は「1400万人の近畿の命の水源を預かる知事として、原発のリスクは将来的にゼロにしたい」と発言しています。
この「卒原発」という言葉は、滋賀県出身の武村元官房長官が創った言葉とされ、その言葉を受けて嘉田元知事自身が記者会見の中で「原発から卒業する『卒原発』を進めたい。『脱』はすぐに原発をやめる意味が強く、後ろ向きなイメージだが、『卒業』は前向きな語感。いつかは原発を卒業したい」と述べています。
とすると、やはり『新語時事用語辞典』の意味が近いといえるでしょう。
ということは、滋賀県の嘉田元知事の掲げる「徐々に原発依存度を下げ、最終的には原発に頼らない電力供給を可能にする」という「卒原発」は、再稼働を認めつつ、徐々に原子力依存を低減して将来的にゼロにする、ということになります。


原発稼働に関する世論調査で「原発政策反対」の姿勢をとっている『朝日新聞』の世論調査を見てみましょう。
以下は、今年1月28日付の朝刊に掲載された世論調査の結果です。


設問「原子力発電を今後、どうしたらよいと思いますか」(択一)
「ただちにゼロにする」15%
「近い将来ゼロにする」62%
「ゼロにはしない」19%


朝日新聞の世論調査でさえ、原子力発電を「ただちにゼロにする」という回答は僅か15%で、半数以上は「近い将来ゼロにする」という回答。「ゼロにはしない」が2割ほどとなっています。
「徐々に原発依存度を下げ、最終的には原発に頼らない電力供給を可能にする」という「卒原発」は、上記結果の「近い将来ゼロにする」、あるいは「ただちにゼロにする」と「近い将来ゼロにする」の間あたりに位置するのかもしれません。

「卒原発」のイメージをグラフで描いてみました。
下図の薄緑の線が、「原発を近い将来ゼロにする」「卒原発」のイメージになるのでしょう。
とすると、現在の状況は「卒原発」とは掛け離れた状況になっているといえます。

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出典:『電気事業連合会資料』(2014/5/23) より。黒線は実績値。

 

いずれにしても、報道で流されている様々な用語が、実際どのような意味なのかをしっかりと捉え認識しておく必要があります。
世論調査では原発について「是」か「非」かというように「1」か「0」かという二者択一の選択肢しかない場合が多いのですが、それではきちんとした民意を汲み取ることが出来ません。

例えば、アンケートの選択肢については、 少なくとも


「原発を事故以前の比率より徐々に増やしていく」
「事故前の水準を維持する」
「徐々に減らし、将来的にゼロにする」→追加設問「その時期」
「再稼働は一切認めず、全て即廃炉とする」

 

として世論調査を行なうべきでしょう。
原発という言葉を飾る用語の定義を明確にした上で論議をしないと、何の意味も持たないことになってしまいます。

 

 

参考として世界の主要国の原発発電所稼働率(利用率)の推移を下図に掲げます。
日本の稼働率がいかに特殊な状況にあるかがわかります。


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出典:『エネルギー白書2014』

原子力発電所再稼働、特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認など、世論を二分するような事象に対する報道には、各メディア独自の世論調査や街頭インタビューがその論拠として提示されます。
しかし、世論調査の結果をそのまま鵜呑みにすることは避けたほうが良いでしょう。
少なくとも、様々な視点から事象を概観するために、メディアごとの調査結果を比較していく必要があります。

今回は、集団的自衛権について世論調査の結果を検証してみましょう。
(※注:当記事では、この問題に対して賛成、反対のどちらの主張をするものではありません)

まずは、次の記事を見てみましょう。


jieiken 割れた世論調査、集団的自衛権の質問に“枕詞”つけた朝日・毎日、回答に影響?


安倍晋三内閣が集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更を閣議決定した前後に行った全国紙の世論調査結果が出そろい、賛否が真っ二つに割れた。中立にみえる世論調査も、各社の意図で結果が左右される場合があるのだ。
結果が大きく割れたのは回答方法に原因がある。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)合同調査では、集団的自衛権についての設問で、行使容認に相当する「全面的に使えるようにすべきだ」と「必要最小限度で使えるようにすべきだ」の回答肢を用意し、合わせて63・7%が「行使容認」とした。
一方、他社はいずれも「賛成か反対か」という二者択一で回答を求めた。
読売新聞は、前回調査で産経と同様の回答肢で実施、「行使容認」は7割を超えた。今回は朝日新聞などと同様の二者択一方式で行い、「行使反対」が上回る結果になった。
ただ、読売は集団的自衛権の個別事例についての賛否も求め、紛争中の外国から避難する日本人を乗せた米輸送艦を自衛隊が防護できるようにすることには67%が「賛成」と回答した。読売は4日付朝刊で、世論の反応を「事例は理解、総論は慎重」と報じた。

一方、朝日と毎日新聞の質問には「これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきたが」という枕詞(まくらことば)が登場。解釈変更はタブーとの印象を与えかねない。
朝日は「安倍首相が国会の議論や国民の賛成を経て憲法改正をするのではなく、政府の解釈を変えたことを適切だと思うか」とも質問し、「適切だ」は18%にとどまった。
これに対し産経・FNNは、集団的自衛権の行使を「容認」と回答した人のみに限定した上で「必ずしも憲法改正の必要はない」と「当面、解釈変更で対応すればよい」の2種類を用意、足すと70・8%に達した。また、全回答者の中での比率を計算すると、45・1%が解釈変更を容認したことになり、質問の方法でも結果が大きく変わることを示している。
■質問の中に答え答えが含まれている場合がある
上智大の碓井広義教授(メディア論)「回答する人は、大局的に賛成か反対かと聞かれると心情的に答えてしまい、各論に入り卑近な具体例を挙げられると筋道立てて物事を考えるようになる。報道各社も、自分たちが欲しい回答を導き出そうとする傾向があり、質問の中に答えが既に含まれている場合がある。まさに質問が命。結果をすべてうのみにはせず、客観性が担保されているか、ウラを読まないといけない」
産経新聞2014/7/8


集団的自衛権行使容認についての世論調査結果を「産経・FNN」「毎日」「読売」「朝日」各社で比較しています。
メディアごとに調査結果に特徴が出ています。
それぞれのメディアの主張する方向性に近い結果となっていますね。

世論調査の結果を見る際には
(1)調査対象および調査数
(2)対象の抽出方法
(3)設問
(4)統計学的有意度
などを見ていく必要があります。
これらを恣意的に運用することで、<結果として出したい>調査結果を得ることも可能となります。

ここで、統計学的に有意かどうかということは「仮説」と「実際の調査結果」との差が誤差の範囲を超えるということを意味します。
有意水準(結果が有意かどうかを判断する基準)は、予め設定されていなければなりません。

では、このうち、一例として朝日新聞の統計結果例をみてみましょう。.


集団的自衛権、行使容認反対63%に増 朝日新聞調査


安倍政権が集団的自衛権の行使容認に向けた姿勢を強めるなか、朝日新聞社は憲法に関する全国郵送世論調査を行い、有権者の意識を探った。それによると、集団的自衛権について「行使できない立場を維持する」が昨年の調査の56%から63%に増え、「行使できるようにする」の29%を大きく上回った。憲法9条を「変えない方がよい」も増えるなど、平和志向がのきなみ高まっている。
安倍内閣支持層や自民支持層でも「行使できない立場を維持する」が5割強で多数を占めている。
安倍晋三首相は政府による憲法解釈の変更で行使容認に踏み切ろうとしているが、行使容認層でも「憲法を変えなければならない」の56%が「政府の解釈を変更するだけでよい」の40%より多かった。首相に同意する人は回答者全体で12%しかいないことになる。
また行使容認層に、行使できるようにするためには近隣諸国の理解を得ることが必要かと聞いた質問では、「必要だ」が49%、「必要ではない」が46%と見方が割れた。
ただ、朝日新聞社が今回、現地の調査会社を通じて中国と韓国でも面接世論調査を実施すると、日本の集団的自衛権について「行使できない立場を維持する方がよい」と答えた人が中国で95%、韓国でも85%と圧倒的だった。安倍政権が行使容認に踏み切る場合、中韓両政府だけでなく、両国民からも大きな反発を受けることが予想される。
一方、国内では憲法9条を「変えない方がよい」も昨年の52%から64%に増え、「変える方がよい」29%との差を広げた。武器輸出の拡大に反対が71%→77%、非核三原則を「維持すべきだ」も77%→82%。自衛隊の国防軍化に反対も62%→68%と増えた。
これらの項目は昨年3~4月の調査と方法も質問文も同じだが、有権者が1年足らずの間に軍事力強化に対する不安を強めている様子がうかがえる。
改憲の是非についても、今の憲法を「変える必要はない」の50%が「変える必要がある」の44%を上回った。質問文や調査方法が異なり単純に比較できないが、朝日新聞社の調査で改憲反対が多数を占めるのは1986年の調査までで、次に改憲是非を聞いた97年以降は賛成が多かった。 調査は日本と中国で2~3月、韓国で2月に行い、中国調査は主要5都市で実施した。有効回答は日本2045件、中国1千人、韓国1009人。
(朝日新聞2014年4月6日)


見出しのみをみると、「日本国民の63%が集団的自衛権の行使反対」という印象を受けることでしょう。
日本の人口が1億2千万人とした場合、ざっと7千560万人が反対、ということでしょうか。


まず、どのような設問かは不明ですので、そこは仕方がないとして、本文から分かることは
有効回答が 日本国内から2045件、中国国民から1000件、韓国国民から1009件となっています。
集団的自衛権について「行使できない立場を維持する方が良い」と回答した人が中国国民からは95%、韓国国民からは85%という、圧倒的反対が明確に予想される国をわざわざ指定しての調査なのです。

メディアの主張したい主義主張を優先するという好事例です。

参考までに、集団的自衛権行使について、各国政府の見解を白地図に表示してみました。
現在分かっている国(および地域)のみ表示しております。

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図 日本の集団的自衛権行使についての各国政府の見解

 

今回は朝日新聞を事例にしてみましたが、他のメディアでも同じです。
このように世論を二分するような重要な件については、双方の立場の論旨をきちんと同等に扱って、その上で各自の意見を形成するという役割を果たすべきだと考えます。

受け手側が注意する点は、実際にどのような調査が行なわれ、結果がどうなっているのかを逐一検証して判断する必要があります。

冒頭記事でご紹介した上智大の碓井教授の指摘される「回答する人は、大局的に賛成か反対かと聞かれると心情的に答えてしまい、各論に入り卑近な具体例を挙げられると筋道立てて物事を考えるようになる。報道各社も、自分たちが欲しい回答を導き出そうとする傾向があり、質問の中に答えが既に含まれている場合がある。まさに質問が命。結果をすべてうのみにはせず、客観性が担保されているか、ウラを読まないといけない」とうことを常に心しておく必要があります。

特に、テレビ報道の街頭インタビューは、ほんの数人を抽出して、それがあたかも「全体の意見」のような作成のされ方が最近目立ってきました。
街頭インタビューは、統計学的な有意性などは全く無いといえましょう。



いずれにしても、現在、私たちは様々なルートで、様々な視点からのものの見方をすることが出来る様になりました。
情報の出典や信憑性をきちんと咀嚼して一つ一つの事象に対する自分自身の意見をきちんと提示できるようにリテラシー(情報の読み取り方)を身につけておくことが必要でしょう。


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情報の見方・読み方・読み取り方
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東京電力福島第一原発の事故以降、日本ではそれまで3割を超える電力供給を担っていた原子力発電所の可動はゼロとなりました。

反面、隣国である中国では、国家主導の巨大原子力プロジェクトが加速しています。
中国では273基もの原発建設が計画されており、東シナ海沿岸部を中心に各地で建設ラッシュが起きています。
既に稼働中の原子力発電所は19基。
これに加えて建設中が29基、計画中は225基で、これらが完成すると合計273基、2億8138万kWという桁外れの規模になります。
日本と東シナ海を挟んだ隣国の沿岸を中心にそのようなプロジェクトが進行していることを、私たちは注視していく必要があります。


『中国原子力ハンドブック2012:中国が変える世界の原子力』


発行・編集元: 日本テピア株式会社 テピア総合研究所
発行日: 2012/12/12
ページ数: 560ページ(A4版)
価格: 280,000円(税・送料込)

20121212bookpicture


ちょっと高い本ですが、図書館にもあると思いますので目を通しておくと良いと思います。
中国の具体的な原子力プロジェクト(公表されているものに限る)の概要は下図のようになります。

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エネルギー政策は国家の根幹を担う重要な命題です。
化石燃料に頼り、その結果大気汚染に悩まされてきた中国にとって、原子力は魅力的なエネルギー源です。
さらに、現在世界で主流として稼働している軽水炉のみならず、高速炉、高温ガス炉、トリウム溶融塩炉、進行波炉、原子力船への軍事的な開発、軍事利用に至るまで原子力に対してあらゆる研究開発を国家主導で進めています。

水を冷却材として用いる軽水炉に対し、中国では高温ガス炉に着目しています。
このタイプは、何らかの原因で仮に電源供給が止まったとしても、自然に止まって冷え、炉心溶融を起こさないという安全性の高い原発とされています。
この分野で最も研究が進んでいるのは現在は日本(日本原子力研究開発機構の高温工学試験研究炉)とされていますが、数年のうちに(具体的には2017年、山東省に建設中の原子力発電所実証炉が完成した後には)、高温ガス炉の分野で中国に先を越されてしまうことでしょう。

 

世界に目を向けると、新興国では原子力発電所の計画が進行しています。
先進国の電力供給においても、原子力発電所が電力供給のかなりの割合を担っています。

特に隣国の中国で桁違いの原子力発電所建設ラッシュが進行しているということに常に意識を向けていく必要がありましょう。

原油高騰が続く - Kameno's Digital Photo Log

5年前にはレギュラーガソリン価格は100円を切っていたのに・・・・・・

20081222-2

ここのところ、中東・イラクで起こっているイスラム教反政府勢力による内戦、ロシアとウクライナの問題など国際情勢が不安定な状態になっており、原油価格が高騰しています。

原油価格の国際指標となる米国産標準油種(WTI)のチャートはこんな感じで推移しています。
20140626-12

直近の米国産標準油種(WTI)価格は1バレル 106ドルを超え、9カ月ぶりの高水準となりました。
これにより、日本の原油の輸入価格上昇がレギュラーガソリン、重油や軽油に波及しています。
当然に関連の業種(運輸業・漁業・製造業など)燃料や石油を元にしる産業への影響は大きなものとなります。

冒頭の米国産標準油種(WTI)チャートと併せて、円ードルの為替チャートも併記してみました。
ガソリン価格の高等は円高の影響という印象はありますが、5年ほどの中期で観ても、決してそんなことはないということがわかります。
リーマン・ショック直前(2008年)までは、1ドル120円程度で推移しており、この時期、米国産標準油種(WTI)価格は1バレル 140ドルを超えていました。

 

このように、わずか5年間だけを取ってみても、原油価格や為替レートの変動が激しくなっています。
したがって、化石燃料だけというように、一つの原料に頼る社会構造は非常に脆弱な側面を持つということを心しておかなければなりません。

原油の高騰傾向は今後暫く続くと考えられます。

 

 

さて、東日本大震災をきっかけに、日本のエネルギー供給構造が一変しました。
一例として、電力がどのようなエネルギーにより供給されているのかを改めて考えてみます。

 

20140626-13

震災前は、石炭・LNG・石油等の化石燃料による発電は約60%でした。
震災直後の2012年は化石燃料が92%。
現在は原子力発電はゼロとなっていますから、化石燃料による発電が94%程度となっています。

 

すなわち、日本経済全体が「国際情勢による原油価格の影響を」まともに受ける形となっています。

 

高度経済成長期、日本の火力発電は化石燃料を活用してきました。
しかし、国際的には、1975年の第3回国際エネルギー機関閣僚理事会において「石炭利用拡大に関するIEA宣言」による「石油火力発電所の新設禁止」が採決され、それがスタンダードになっています。

近年懸念される 原油価格の高騰により、火力発電コストは上昇しており、電力料金もさらに高騰傾向にあります。
原子力発電所の可動がゼロとなっている今は、その影響が顕著になっています。

少なくとも、現在の日本の経済が、原油価格の影響をまともに受ける状況にあることを認識しておき、今後の貿易収支の推移にも着目する必要があるでしょう。

 


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2011年3月11日の東日本大震災発生から、今日(2013年12月4日)でちょうど1000日目を迎えました。

今年の冬は、これまでにない特別な冬となります。
なぜならば、原子力による発電が完全に無くなる冬を迎えるからです。

日本の電力エネルギーの源となる、電源別発電電力量構成比の推移を見てみます。
出典は電気事業連合会のデータです。

 

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東日本大震災発生以前はおおむね30%の発電電力を賄っていた原子力発電は、昨冬は2012年大飯原子力発電所が稼動していましたが、今年は大飯も点検のため停止しているために原子力発電の構成比が0%となります。

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原子力発電所設備利用率は2012年は3.9%に激減。
大飯の停止により、2013年、原子力発電所設備利用率はついに0%となりました。

 

その減少分を賄っているのが火力発電所。
実に全体の90%を火力発電所に頼っていることになります。

火力発電所の増設と、現在の設備のフル稼働により、この冬の電力需給はなんとか賄える見通しとのことですが、個々の家庭や事業所においてはこれまで同様に節電の実践が必要となりましょう。

毎日の予想最大電力と使用状況のリアルタイム速報が電力会社のサイトより公表されています。

20131204-04

このようなサイトを活用して、必要なときに節電行動を進めるというメリハリをつけることも必要でしょう。
逆に、電力需給に余裕があるときには、無理な節電を行なう必用はありません。

 

また、利用者(契約者別)それぞれに過去2年間の電力使用料の推移をグラフ化してくれるサービスがあります。
それが「でんき家計簿」です。

ちなみに貞昌院のでんき家計簿のデータがこちら。

20131204-01

貞昌院では、おおむね一年間を通して前年同月よりも節電を進めることができました。
同様の契約容量の他の顧客に比べても、かなり使用量が少なく済んでいることが判ります。

 

原子力発電がゼロになったこの冬、でんき予報と、でんき家計簿を有効に活用して、適切な節電行動を進めていきましょう。

台風30号南アジアに爪痕 - Kameno's Digital Photo Log

比台風死者、1万人超か=レイテ島、家屋多数破壊―1町で300人犠牲・サマール島

フィリピン中部レイテ島の警察当局者は10日、猛烈な台風30号による死者は同島で約1万人に上る恐れがあることを明らかにした。AFP通信が報じた。レイテ島に隣接するサマール島でも南西部の町バセイだけで300人の死亡が確認され、島全体では2000人が行方不明。連絡が取れない地域も多く、犠牲者数は大幅に増える恐れが大きい。
フィリピン赤十字は9日、レイテ島とサマール島で1200人以上が死亡したとの見通しを示している。米太平洋軍が救援活動に乗り出すなど、国際社会の支援も本格化し始めた。
在フィリピン日本大使館によれば、レイテ島には約100人の日本人がおり、安否確認を急いでいる。一方、AFP通信は台風30号が接近中のベトナムでも、60万人以上が避難したと伝えた。
ロイター通信によると、警察当局者は、台風により発生した高波にのまれて多数の犠牲者が出たとの見方を示した。高波は家屋の高さほどに達したという。同当局者は、レイテ島で台風が通過した地域の70~80%の建物が破壊されたと述べた。
(【マニラ時事】2013/11/1016時2分)


フィリピンを横断した台風30号がレイテ島とサマール島を中心に甚大な被害をもたらしたようです。
あまりの被害の大きさにまだ全容を掴みきれておらず、死者が1万人を超えるという報道もあります。
自然の力の大きさの前には人類の力など到底及ばないことを実感します。
被害を受けられたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。

ここ数年、地球温暖化に伴う海水温上昇の影響により大きな台風が多数発生するようになりました。
特に今年は台風の当たり年ともいえ、台風26号による伊豆大島などの被害が記憶に新しいところです。
今後は巨大台風が当たり前のようにやってくるようになるのでしょうか。心配です。

 

ここのところ、原子力発電所が停止している分を石油やLNGなどによる火力発電所の稼動により賄っている状況が続いていますが、数年前まであれほど騒がれていた地球温暖化に対する提言を唱えるものはほとんど姿を消してしまいました。
一かゼロということではなく、長期的かつ総体的に考えて、どのように行動するべきかを感情的にならずに判断することが求められるのではないでしょうか。

 

話は変わりますが、神奈川県第二宗務所主催の檀信徒研修旅行が11日から15日の行程で予定されています。
行き先は「ラオス」です。
直行便が無いので、ベトナム・ハノイ経由でラオス入りするのですが,ちょうど台風30号が通過した直後にハノイ到着となりそうです。

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旅行に影響が無いことを祈ります。

宗務所主催人権擁護推進委員会が開催されました。

第一部として、曹洞宗人権啓発ビデオ「原発事故ー人権は守られたか」を参加者全員で視聴しました。

このビデオは
・放射能~見えない不安
・3月12日に何が起きていたか~安全神話が崩れる
・分断~引き裂かれた現実
・原発事故~他人事ではない

の4チャプターにより構成されています。
曹洞宗では原子力発電については賛成でも反対でもない中立の立場から、「起きた事象」を客観的に提示し、それを元に学びを深めていきます。

その後、グループに別れ分散会。
座長、記録、発表者を決めて熱い論議が交わされました。

全体会議で、各班発表の後、ビデオ製作委員より総括をいただき、第二部に移ります。

第二部では、特派布教師・人権啓発相談員 福島県 長秀院住職 渡辺祥文老師により講義をいただきました。
演題は「東京電力福島第一原子力発電事故 - 人権は守られたか?」です。

原発事故と放射能の被曝という人権侵害・差別について、実体験を元にお話いただきました。
・福島市の被曝実態(外部被曝と内部被曝・そして差別事象、風評被害)
・人権侵害
・新たな被曝者差別
・著しい風評被害
・責任の所在
・課題
・被災者のあり方
・低放射線量被曝の不安
・分断される絆
・宗門として放射能汚染に対し指弾啓発しなければならない
・今あるべき方向性を示す

などなど、現場の声を生々しく伝えていただきました。
今後、私たちに何が出来るのかが問われています。


■このブログでも、震災発生直後から東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する記事を多数書いてきました。
そのうちの一部を改めて列記します。


原子力発電所炉心溶融か(2011/3/12の記事)
福島原発2号機が爆発(2011/3/15の記事)
被曝から身を守るために(2011/3/23の記事)
ゆでガエルにならないために(2011/3/25の記事)
負の遺産となった福島第1原子力発電所(2011/4/3の記事)
原発周辺警戒区域を(2011/4/21の記事)
やるせない風評被害の現実(2011/4/23の記事)
放射性物質蓄積量データ公表(2011/5/7の記事)

実務担当者会議 - Kameno's Digital Photo Log

この時期、曹洞宗の行政機関である宗務庁と宗務所の連絡会議である「実務担当者会議」が2日間の日程で開催されます。


全国に1万5千ある曹洞宗寺院は、20か寺程度の「教区」、都道府県単位の「宗務所」、中央行政機関である「宗務庁」それぞれの行政機関を通して事務的な処理が行われています。
事務処理の実際については、毎年変更事項もあり、また各行事の連絡調整のために、一年に一度全国から宗務所の実務担当者が集まって、このような「実務担当者会議」が開かれるわけです。

昨年の様子はこちら

今年は3月6-7日の日程で開催されました。

20130306-01

事務のカテゴリーごとに、担当部長、担当課長による説明と質疑が行なわれていきます。

今年の全国梅花奉詠大会は、宮城県仙台市で開催されます。
神奈川県第二宗務所からも、予定人数を大幅に上回る約170名の参加申込みがありました。
マスコットキャラクターの「ばいかまさむね」くんが、スクリーン上でご挨拶をしています。
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そのほか、宗制変更に基づく事務処理実務の変更点や、今後の要望事項などをもとに日程が進んでいきました。

人権擁護推進本部からは、本年度の宗侶向け人権学習の素材となるビデオの上映が行なわれました。
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本年のテーマは、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴うさまざまな問題を浮き彫りにしています。
チャプターが4つに分けられていて、それぞれのテーマごとに考えていく内容です。
まもなく全国寺院に配布される予定です。

 

思い返せば、一昨年の実務担当者会議終了の日が3月11日でした。
その日に発生した東日本大震災は、多くの方々の日常を一変させることとなりました。

三陸沖・茨城・長野を震源とする地震が多発

まもなく震災発生から2年。
亡くなられたかたにとっては、3回忌を迎えます。

まだまだ復旧復興が進まない現状や、放射性物質の影響によってふるさとに帰ることすら困難となっている方々がたくさんいらっしゃるということを忘れてはならないとつくづく感じます。

 


■追記

この春、浪江町の現状を記録するGoogleの新しい試みがスタートしました。

公開は数ヵ月後ということです。


先日貞昌院で開催された「ふるさと福島を語る会」では、避難を余儀なくされ、ふるさとに帰ることが困難になった方々の話をたくさん伺いました。
その際に、警察・自衛隊の方々が撮影された「ふるさとの現状」の映像を、参加者一同食い入るようにご覧になっていたことが印象に残っています。
東京電力福島第一原子力発電所周辺地区の今の様子を記録することは、故郷を離れて暮らしていらっしゃる多くの住民の方にとってはふるさとの様子を知ることができ、そして災害の記憶を継承し震災の記憶の風化を防ぐための大切な試みだと感じます。

子どもの頃の未来の夢 - Kameno's Digital Photo Log

本棚を整理している中で、子どもの頃に夢中になって読んでいた図鑑が出てきました。

20130110-05

『プログラム式 こどもカラー図鑑』(講談社・昭和45年10月20日発行)

私が小学校に入学した時に買ってもらった図鑑で、
1.どうぶつ・とり
2.こん虫
3.うお と かい
4.しょくぶつ
5.大むかしのいきもの
6.うちゅう・きしょう・ちきゅう
7.えねるぎー・えれくとろにくす
8.さんすう
9.こくご・えいご
10.しゃかい
11.こうつう と のりもの
12.ずが・こうさく・おんがく・たいいく・かてい
13.ひと の からだ
というような構成になっています。
この時代、かなり売れた図鑑のようですので、今の30-40歳代の方であれば読んだことのある方も多いのではないでしょうか。

何回も繰り返し読んでいたので、ボロボロになってしまっている巻もあります。
久しぶりにページを開いてみると、当時の記憶が鮮明に蘇ってきたりします。

どんな内容だったのか、いくつかご紹介します。

「日本の乗用車」
当時はこのような車が街中を走っていました。
ちなみにkameno家ではパブリカでした。

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みらいの自動車も掲載されています。
20130110-07


これからの乗用車は、買い物をするときに使う車、長きょりどらいぶ用の車、れじゃー用の車というように、使うもくてきによって、ひとりで2、3台所有するのがふつうになります。
高速道路がどんどんつくられ、車にはれーだーがつけられ、すぴーどやぶれーきは、むせんによってじどうてきにそうさされるようになります。
また、とらっくやばすは大型になり、2両いじょうれんけつしてはしるようになります。

既に実現している部分と、これからの部分がありますね。
車間を判断して自動的にスピードをコントロールしたり衝突防止のブレーキが掛けられたりということは、最近ようやく実用化され始めました。
バスが2両連結になる、というのは、これからも日本の道路事情では難しそうです。
それにしても断言形の文体はとても潔いものですね。

長きょりどらいぶ用の乗用車
(1)車の後方を写すてれび
(2)このればーを、一定のすぴーどのめもりに合せておくと、車はそのすぴーどで走りつづけます。
(3)車のま下を写すてれび
(4)わずかな力で、せいかくに進路が決められるはんどる
(5)れーだ

この車のえんじんには、がすたーびんが使われています。
がそりんえんじんとちがい、ゆうがいなはい気がすを出すことなく、ひじょうに高速で走ることができます。
また、車体も軽いきんぞくでつくられ、高速でも安定がよいように、飛行機の尾よくに似たものがついています。

うーん・・・
未来の車に求める「夢」は、もっと大きくても良かったかも。
(1)は、まあバックモニター、(2)はクルーズコントロール、(4)はパワーステアリングとして、(3)の真下を写す意味って何だったんだろう・・・・

このほか、みらいの飛行機、みらいの船などが「かくねんりょう飛行機」「原子力商船」(近いしょうらいに、けいざいてきな原子力商船がつくられる時代が来るにちがいありません)などというように図解されています。



これ↓は、当時画期的だった、駅の「自動改札機」。
20130110-08 
なんと、改札機直前でお金を投入して切符を買うことによってゲートが開く仕組みになっています。
この写真に写っている路線図から判断すると、東急・自由が丘駅の自動改札機ですね。
これではラッシュアワーの乗客を効率的にさばくことは出来なかったに違いありません。

1966年には、鑽孔式(穴開け式)の光学読み取り式による自動改札機が開発され、近畿日本鉄道南大阪線の大阪阿部野橋駅や東京急行電鉄東横線の元住吉駅で試験が行われた。しかし、両社とも本格採用に至らなかった。
同方式の実用的な自動改札機が導入されたのは1967年のことである。京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)千里線の北千里駅で立石電機(現・オムロン)が開発した定期券専用自動改札機で本格的に採用された。しかし、全駅に導入されたわけではなく、また定期券専用であったため導入駅でも普通乗車券用に磁気バーコード式やその他の乗車券用に有人改札との併用であった。
(ウィキペディア「自動改札機」項)

とあるように、さまざまな自動改札機が試行されたものの本格採用に至らなかったものも多かったようです。

 

「みらいの鉄道」としては

20130110-10
(1)しゃりんしじ型・・・りにあもーたーを使って、時速400kmで走ります
(2)空気ふじょう型・・・しゃりんを使わず、空気をふきつけて、空中に浮き上がって走ります。りにあもーたーを使います。
(3)じきふじょう型・・・空気の代わりに車体と地上の両方にじしゃくをつけて、そのはんぱつ力で浮き上がってはしります。
(4)ちゅーぶ型・・・・・地下に埋められたちゅーぶの中をしんくうしして、地球の重力を加速力に使い、時速600kmをだします。

(1)は都営地下鉄大江戸線で実現した、といって良いのでしょうか。ただしスピードはこの5分の1程度ですが。
(2)実現のきざしすらありません
(3)技術的には可能なのでしょうけれど、運用にはあと10年以上かかりそうです。
(4)実用化する日が来るのでしょうか。夢は大きく持ってもよいですね。


「アナログ型コンピュータ」
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回路を組んで、電流の大小で計算結果を判断するというコンピュータです。
このような時代もあったのです。

「テレビ電話」
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いつか、このような電話が家庭に普及する時代がくることを夢に描いていましたが、想像よりずっと早く実現・普及が進んでいきました。



高度経済成長を支えるエネルギーとしては、原子力にかなり重点を置いています。
また、子ども向けの図鑑であるにも関わらず原子爆弾、水素爆弾の仕組みや構造なども図解されています。

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建設中の東京電力福島第一原子力発電所や、高速増殖炉も紹介されています。
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この図鑑が発行されてから40年以上の年月が経過しました。
子どもの頃、夢に描いた未来の世界と、実際にどのようになっているのかを比較すると、とても感慨深いものがあります。

同じように、今の子どもたちの描く未来は、子どもたちが大人になったときにどのように実現されていくのでしょうか。

発達した低気圧のもたらす北風により、境内のイチョウは一気に散ってしまいました。
9割方散っている感じです。

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境内は黄色い落葉で埋め尽くされています。
掃き掃除をすると、パンパンに詰まったビニール袋が次々と生まれていきます。

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今日一日でこのような量となりました。

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このうち、可能な限りは裏山に運んで土に戻すようにしていますが、それでもかなりの量を「事業ごみ」として出さなければなりません。
「事業ごみ」は、ゴミ工場に運ばれて、焼却処理されることになります。
なんという勿体無いことなのでしょう。


実は、この「事業ごみ」として扱われている落葉をエネルギー資源として有効利用する技術が、実用化間近となっています。
そればかりではなく、

・落ち葉など植物系廃棄物の有効利用
・里山の復活
・過疎地の雇用創出
・エネルギー資源の産出
・炭酸ガス排出量の抑制
・原子力発電依存率の低減
・放射性物質の除染
・日本のエネルギー需給率の向上


などを一気に解決することができる技術です。
CO2排出削減と減原発の両立も可能になります。

そのような夢のような技術が、岐阜のベンチャー企業、コンティグ・アイによる産学共同研究から生み出されました。


「汚染廃棄物のうち木質系廃棄物および草本系廃棄物の減容化・除染とバイオエタノール生産による再資源化技術の実証」
事業の概要
バイオエタノール生産技術を用い、木質系および草本系の汚染廃棄物(剪定枝・稲わら・雑草・落ち葉等)に付着あるいは吸着・蓄積した放射性物質の除染・回収・減容化とともに副生物として再資源化(バイオエタノール、バイオマス発電原料等)を図る技術の実証を行う。

実施内容
1.汚染廃棄物の内、草本系廃棄物(稲わら・雑草・落ち葉等)を用いた減容化・除染・回収・再資源化試験
2.汚染廃棄物の内、木質系廃棄物(剪定枝)を用いた減容化・除染・回収・再資源化試験

 

既に実用化されているバイオ燃料は、サトウキビなど、植物の「糖」を発酵させてエタノールを製造しますが、糖を含んでいない雑草や落葉のセルロースからバイオ燃料を製造するためには、セルロースを一旦分解して糖に変えてから発酵させる必要があります。
そのため、これまでの手法では巨大なプラントを必要とし、効率的な生産が出来ませんでした。

しかし、コンティグ・アイの技術は、特別な酵素を用いることでプラントをコンパクト化することが可能となり、コストも大幅に削減されました。

20121206-01
コンティグ・アイのホームページより引用)


NHKの報道によると、すでに1リットルあたりの生産コストは50円程度(エタノールの採算ラインは1リットルあたり100円)だということです。
この事業が継続的に採算ベースに乗るのであれば急速に普及が進んでいくことでしょう。


巨大なプラントも不要なので、日本各地に生産施設を設置することが可能となります。
国土の大半を森林や田畑に覆われている日本においては、バイオエネルギー資源が無尽蔵にあるのですから。

さらに、そればかりではありません。
福島県飯館村で行われた環境省の平成23年度実証実験によると放射性物質の減容量化と除染の効果が実証されました。
生産されたバイオ燃料からは放射性物質は検出限度以下となっています。

20121206-06
環境省の飯館村実証実験報告より)


国の予算は、このような分野に手厚く分配して欲しいものです。
願わくは、一刻も早くセルロースからのバイオ燃料生産技術と除染技術が確立されんことを。
日本はこの分野で世界を牽引していくことができる力を十分に備えていると思います。


貞昌院の落葉も、バイオ燃料生産プラントへ引き取って(買い取って)戴ける時代が来ることを楽しみにしてます。

 


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いのちの循環システム
バイオ燃料の功罪

アイヌの聖地・二風谷 - Kameno's Digital Photo Log

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プ(高床式倉庫)、チセ(伝統的家屋)、ポンチセ(小さい家)が並ぶアイヌの伝統的集落。

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しかし、その聖地が、二風谷ダムの建設により、ダム湖の底に沈んでしまいました。
沙流郡平取町を流れる一級河川・沙流(さる)川 本流中流部に位置する二風谷(ニ・ウシ・ペッ=木の多い川)は、チプサンケと呼ばれるサケ捕獲のための舟下ろし儀式を始めとして当地はアイヌ文化が伝承される重要な土地であり、アイヌ民族にとって「聖地」とされてきました。

その場所に、二風谷ダムが北海道経済の浮揚策として、また、苫小牧東部の工業団地への工業用水を確保するために計画されました。
しかし、工業団地は分譲予定地の7割が手付かずの状態となり、ダムの目的は発電と洪水対策に変更されています。

二風谷ダム建設とダム訴訟の経緯はこちらに詳しく書かれていますので、リンクを張っておきます。
二風谷ダム – Wikipedia

結果として、二風谷ダムの完成と流域の護岸整備に伴って、ある程度の洪水対策が出来るようになりました。
アイヌ民族の営みは、現在はダムの近くにある「二風谷アイヌ文化博物館」「萱野茂二風谷アイヌ資料館」に保存展示されてはいますが、かつての多くの鮭が遡上する豊かな川の情景も、アイヌ民族の営みも今では見られません。
代償として失われたものは計り知れません。
 


アイヌ民族は自然を神と崇め、自然界と共存共生し慎ましく生きて来ました。魚、野獣、山菜のどれひとつとってみても必要以上には決してとらず、他の生きもののために残し、また来年のために置いておくのです。そのような自然界の巡りをアイヌ民族はよく知っていました。平和なアイヌモシリは、和人の侵略と開拓によってどんどん荒らされていき、アイヌ民族は一方的に生活圏の全てを奪われてしまいました。
(中略)
現在世界中で行われている自然破壊の様をアイヌである私はひどく憂慮しています。巷で「自然保護」が叫ばれていますが、アイヌ語の中に「自然保護」という言葉はありません。自然、つまり海でも山でも、川でも鳥や獣に至るまで、もしも□があったなら「人間其よ、自然保護などという大それた言葉を慎しめ。我々自然は保護される事を望むのではなしに、人間であるあなた達がぜいたくをしない限りにおいて、紙にする木材でも、薪でも、家を建てる材料でも供給できることになっているのだ」と自然の神々はおっしゃるでありましょう。
自然は常に巡っており、生きもの同士がその摂理の中でそれぞれの生命を全うするはずが、人間共の勝手なエゴや欲望によって、虫達の家や着物を剥ぎ取り、鳥や動物達の住み家までも奪い去っています。これもまた、侵略です。
ゴルフ場しかり、リゾートしかり、ムダ遣いが原因の森林伐採しかり・・・、例を挙げればキリがない程どれもこれもです。日本は浪費し過ぎです。天に向かって「面のひっぱがし」です。いずれそれらが、自分たちの顔に降りかかってくるのです。消費、浪費の大国のまま良き未来を迎える事はありません。
今や、大昔の暮らしに戻る事はできません。ほんの少し数十年昔の姿を思い出し、ほんの少し戻ればよいのです。夜の明るさも我慢をして、慎ましやかに生活しようと思ったならば、資本家に対して原子力発電所などというウェンカムィ=化け物を作る口実は、与えなかったでありましょう。86年、スウェーデンのヨックモックを訪ねた時、チェルノブイリの事故による、それは恐ろしい話を聞き、そして、いつ私共の身に降りかかってくるやも知れません。人類はぜいたくし過ぎ、もっと明るく、もっと速く、もっと便利に、もっと多くを求め過ぎました。
全ての生きものの生存を可能とする、地球環境の保護こそが、人類が生きていく条件であり、人間が人間らしく生きていける山を、川を、畑を、村を、町を、子々孫々に至るまで残さなければならない、と私は考えています。
(萱野茂「夜明けへの道」『人間家族』 特別号より)

二風谷ダムを見学した後、湖畔にある「二風谷アイヌ文化博物館」を訪ねました。

ここには、「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」として、国重要有形民俗文化財に指定されている計1,121点(内202手点は萱野茂二風谷アイヌ資料に所蔵)の所蔵展示品が集められています。
です。

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狩る、採る、耕す、編む、縫う、装う、彫る、祈る、弔う、歌う、踊る、語る…

大自然の中に生き、人間としての誇りを尊ぶ、アイヌ民族の智慧が詰まっています。
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引き続いて、「萱野茂二風谷アイヌ資料館」を訪問しました。
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これらの収集に尽力を果たしたのは自らがアイヌの血を継ぐ伝承者、萱野茂氏でした。
萱野氏は、長年アイヌの生活文化や言語などの保存、伝承、研究活動に尽力してきました。著作や映像資料製作も多く、また2001年には論文「アイヌ民族における神送りの研究~沙流川流域を中心に~」により博士号を取得し、長年の活動の功績が評価され北海道文化賞、北海道功労賞平取町名誉町民賞を受賞しています。
国政にも参加し、参議院議員の任期中には「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9/1997年可決)」の制定に尽力されました。

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収集された物には、所有者、収集年、製作法解説、実測図、写真が付随しており、このことが国重要有形民俗文化財に指定される理由になりました。


昭和28年の秋ごろから、アイヌ民具の蒐集をつづけていくうち、アイヌ文化全般を見直そうという自然な気持ちがわたしの心の中に生まれてきました。アイヌ研究者に閉ざしていた心を少しずつ内側から開いていき、研究に対しても協力するようになりました。
ちょうどそのころだったと思うのですが、二谷国松さん(アイヌ名、ニスッレックル。明治21年生まれ)、二谷一太郎さん(同ウパレッテ。明治25年生まれ)、それにわたしの父、貝沢清太郎(同アレッアイヌ。明治26年生まれ)の3人が集まって話をしていました。
この3人は、二風谷ではアイヌ語を上手にしゃべれる最後の人たちでした。
3人が話していたのは次のようなことでした。「3人のうちで、一番先に死んだ者が最も幸せだ。あとの2人がアイヌの儀式とアイヌの言葉で、ちゃんとイヨイタッコテ(引導渡し)をしてくれるから、その人は確実にアイヌの神の国へ帰って行ける。先に死ねたほうが幸せだ」
聞いていて、わたしはとても悲しかった。「先に死んだほうが幸せだ」。わたしは何度もこの言葉を心の中で繰り返しました。この言葉の意味は、民族の文化や言葉を根こそぎ奪われた者でなければ、おそらく理解することは絶対に不可能でしょう。人間は年をとると、死ぬということにあまり恐れをいだかなくなるといいます。しかし、死んだときには、自分が納得できるやり方で、野辺の送りをしてもらいたいと願う気持ちには変わりがありません。その納得できる葬式をしてもらいたい、ただそれだけのために早く死にたいと願うほど、わたしたちアイヌ民族にとってアイヌ文化、アイヌ語は大切なものなのです。
そして、その3人のうち、“最も幸せ”になったのは、わたしの父でした。
(『アイヌの碑』萱野茂著 朝日文庫)

残念なことですが、アイヌ語は近いうちに消滅してしまうことが懸念されている消滅危機言語の一つに指定(ユネスコにより消滅の危機にある言語として、最高ランクの「極めて深刻」の区分に指定)されています。
言葉とともに、生きた文化、伝統が消えていってしまうということは悲しいことです。

曹洞宗では、グリーンプラン、省エネルギーへの活動を推進しており、その具体的行動指針のひとつとして「もったいないシール」をつくりました。
プリントアウトして、各家庭など身近な場所に掲示することで、節電や節水の意識を高めることができます。

「もったいないシール」ができました(曹洞宗のページヘリンクしています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この「もったいない」という精神を世界中に紹介したのが、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんです。
2005年の来日の際に一番感銘を受けたのが「もったいない」という日本語でした。
3R(Reduce、Reuse、Recycle)をたった一言で表せるだけでなく、かけがえのない資源に対するRespectが込められている言葉だとして、マータイさんは世界共通語「MOTTAINAI」として広めることを提唱しました。
地球環境に負担をかけないライフスタイルを広め、持続可能な循環型社会の構築を目指す言葉として世界に広がっています。

 

さて、この「もったいない」の具体的実践行動について、福島県の「もったいない50の実践」が実に良いので、ここに紹介します。
次に掲げる福島県の「もったいない50の実践」は、循環型社会の形成に向けて、「もったいない」の意識を呼び起こし、県民一人ひとりが自発的な行動を起こす動機付けとして例示するものです。
曹洞宗の「もったいないシール」を次の「もったいない50の実践」と組み合わせることで、より具体的な行動として深化させることができると考えます。


「もったいない50の実践」


1 水道を出しっぱなしにしないようにしましょう。
2 油や生ごみは排水に流さないようにしましょう。
3 洗剤は適量を使用しましょう。
4 お風呂の水は洗濯などに利用しましょう。
5 台所では水切りネットを使用しましょう。
6 米のとぎ汁は、庭木や花壇にまいて肥料として利用しましょう。

自然
7 身近なところに花や木を植えましょう。
8 行楽でのごみは持ち帰りましょう。

電気・燃料
9 使わない部屋の照明は消しましょう。
10 休み時間の照明は消しましょう。
11 コンセントを抜き待機電力を減らしましょう。
12 見ていないテレビは消しましょう。
13 夏のクールビズ、冬のウォームビズに努めましょう。
14 冷暖房機器は適正な温度に設定しましょう。

自動車
15 近い場所には車でなく、徒歩や自転車で行きましょう。
16 燃費のよい車に乗りましょう。
17 マイカー移動でなく公共交通機関を利用しましょう。
18 アイドリングストップに努めましょう。
19 車の相乗りに努めましょう。
20 車の定期的な点検・整備を行いましょう。

衣服
21 古着をリフォームして使いましょう。
22 不要になった衣服は譲り合いましょう。
23 衣類を生地にしてリサイクルしましょう。


24 紙は両面を使用し無駄に使わないようにしましょう。
25 紙はリサイクルしましょう。

ごみ
26 できるだけごみを出さないように努めましょう。
27 ごみの分別は徹底的に行いましょう。
28 生ごみを堆肥化してリサイクルしましょう。
29 ごみのポイ捨てはやめましょう。

食品
30 料理は食べられる量だけ作りましょう。
31 食べ残しをしないようにしましょう。
32 料理方法を工夫して、材料を無駄なく使い切りましょう。
33 ばら売りや量り売りを利用しましょう。

食器等
34 使い捨てのコップ、皿はなるべく使わないようにしましょう。
35 できるだけ「マイはし」を使いましょう。

容器包装
36 過剰包装を断りましょう。
37 飲み物はペットボトルより水筒を利用しましょう。
38 マイバッグ(買い物袋)を持参して、レジ袋を断りましょう。
39 リターナル瓶を利用しましょう。

買い物
40 フリーマーケットを活用しましょう。
41 洗剤やシャンプーなどは詰め替え品を買いましょう。
42 エコマーク等の環境にやさしい商品を買いましょう。
43 買い物は必要なものだけ買いましょう。

製造・販売
44 分別・リサイクルしやすい製品づくりに心がけましょう。
45 過剰包装はやめましょう。

全般
46 捨てる前にもう一度考えましょう。
47 壊れたものは、できるだけ修理して使いましょう。
48 手作りを楽しみながらリサイクルしましょう。
49 できる限り地元でできたものを利用しましょう。
50 先人の知恵や技を学びましょう。



このように素晴らしい地球共通語「もったいない」も、使い方を履き違えると、とんでもないことになります。

 


海水注入「もったいない」=東電本社、廃炉恐れ-吉田所長は反論・福島原発事故


東京電力福島第1原発事故直後の昨年3月13日、危機的状況にあった2号機原子炉を冷却するため海水注入を準備していた同原発の吉田昌郎所長(当時)に対し、本社側が「材料が腐っちゃったりしてもったいない」などと指摘していたことが8日、東電が公開したテレビ会議の映像で分かった。
圧力容器などが海水の塩分で腐食し、廃炉になるのを恐れたとみられる。東電は6月に公表した社内調査の最終報告で「本店対策本部を含め、事故収束に向けた対応をしていた」として、海水注入をためらったとの見方を否定していた。
映像によると、13日夜、東電本社で復旧計画の策定を担当する復旧班の人物から「海水からいきなりやるふうに聞こえていて」と疑問の声が上がった。肩書や名前は明らかにされていないが、この人物は「こちらの勝手な考えだと、いきなり海水っていうのはそのまま材料が腐っちゃったりしてもったいないので、なるべく粘って真水を待つという選択肢もあると理解していいでしょうか」と尋ねた。
これに対し、吉田所長は「今から真水というのはないんです。時間が遅れます、また」と強調。「真水でやっといた方が、塩にやられないから後で使えるということでしょ」と問い返した。
さらに吉田所長は「今みたいに(冷却水の)供給量が圧倒的に多量必要な時に、真水にこだわっているとえらい大変なんですよ。海水でいかざるを得ないと考えている」と断言した。
復旧班の人物は「現段階のことは了解しました」と了承したが、この後も復旧班から「いかにももったいないなという感じがするんですけどもね」と苦笑交じりの声が漏れた。
(時事通信 2012/08/08-17:40)


緊急事態における対応で、「材料が腐っちゃったりしてもったいない」という東京電力本社の海水注入を躊躇する発言です。
その後に起こりうる事象に思いを巡らすことができなかったのでしょう。
東京電力福島第一原子力発電所の水素爆発が「起こらなかった」場合と「起こってしまった」場合では、日本を揺るがすほどの膨大な損失を生み出し、天と地もの隔たりとして現れます。


「もったいない」の一言では言い表せないほど重いことです。
事故直後の対応についての検証は充分過ぎるほど徹底的に行なう必要があるでしょう。



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原子力発電所炉心溶融か (2011年3月12日のブログ記事)
過ちや失敗を繰返さないために

東京電力の検針通知が投函されていました。
貞昌院では、毎月27日頃に検針が行なわれています。

結果は 2012年7月の電力使用量(=以下、買入電力量と表記) 536kWh(昨年同月  403kwh)となり、昨年同月よりも買入電力量が多くなりました。
その理由は、今月モニターとしてプリウスPHVの試乗をしており、毎晩満充電を行なっていたこと(これで概ね40kwh程の増)、それと本堂・客殿の冷房使用が昨年よりも若干増えたことによるものが主な原因です。

2008年から2012年までの、「貞昌院買入電力量」と「余剰電力量」の推移をグラフにしてみました。
20120730-01 20120730-02

過去5年間のデータとして見ると、7月の電力消費量 536kWh は決して突出した値ではなく、むしろ東日本大震災2011年の値が極端に低かったことがわかります。
計画停電、極限までの節電、そして、幸いな事にそれほど暑い夏ではなかったことにより、2011年の買入電力量は3月から7月にかけてかなり低い値となっています。

猛暑が続く中での昨年以上の節電は、やはりかなり難しいといえます。

 

貞昌院には、5.544kwの太陽光発電設備が設置、稼働しており、一日の電力需給の推移はおおむね下の図のようになります。

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太陽光発電パネルは、太陽が出ている間の発電となりますので、夜間は当然発電していません。
図のオレンジ色の部分が、東京電力⇒貞昌院に流れる電力の量となります。
朝太陽が昇り、太陽光発電の発電量が増えて貞昌院で消費している電力よりも発電量が上回ると、貞昌院⇒東京電力 という電気の流れになり、それが水色、余剰電力量の部分となります。
冒頭の2つの棒グラフは、貞昌院における毎日の電力需給曲線「貞昌院買入電力量」(オレンジ色の部分)と「余剰電力量」(水色の部分)を毎月分積算した電力量ということです。


■ポイント
貞昌院で消費する電力量  = 買入電力量(オレンジ部分)+自給自足電力量(黄色部分)
太陽光発電パネルの生み出す電力量 = 余剰電力量(水色部分)+自給自足電力量(黄色部分)


貞昌院の一日の電力需給の曲線、これを貞昌院と同様に東京電力管内の各企業、各家庭について積算したものが「東京電力管内の総需要量」ということになります。
火力発電所、水力発電所、原子力発電所などの発電設備はこの総需要量を賄うだけの設備を計画しなければなりません。
この需要曲線は、夏場は昼過ぎにピークがやってきますので、その最大需要電力量に合わせた発電所計画がなされているわけです。

従って、このピークを如何に下げるかが、とても大きな意味を持ちます。
太陽光発電は、ピーク時に発電量が最大となり、余剰電力が発生した場合にはそれを送り出すこともできるわけですから、ピークカットに大きな貢献をすることができるという特徴があります。
このように、時間帯ごとの電力需要の差を少なくすることを負荷平準化と言います。
電気は先ほど述べたように、必ずピークの需要にあわせて設備を建設しなければなないため、需要曲線が上下することは、発電設備の利用率に影響し、コストの上昇にも繋がります。
電力需要曲線を平準化させることにより、電力供給事業者は余計な発電所の建設を抑えられるとともに、電力不足が懸念される際にも、大規模な停電や、計画停電の実施を避ける手段ともなります。


ただし、良いことばかりではなく、現状ではやはり電力を創りだす際の発電単価が火力発電所、水力発電所、原子力発電所などに比べて高いことは否めず、政策的に補助金を出しています。
貞昌院でも、余剰電力は倍額買取制度によって1kwh当たり48円で買い取ってもらっていますし、今年七月から始まったばかりの全額買取制度でも太陽光発電の場合は、向こう20年間に亘って1kwh当たり42円で買取ることが保証されています。
この補助金は、結局は電力消費者の負担増につながりますので、今後の課題は如何にこの発電単価を下げるかということになるでしょう。
個人的には、20年間に亘って1kwh当たり42円で買取るという全額買取の単価は、大盤振る舞いもいいところだと感じます。

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20120714-03

さて、ここで、今日のブログ記事のタイトルである太陽光発電と電気自動車(PHVを含む)について考えてみます。
電気自動車のEV走行のためには、燃料に代わって電気を使うために、相当量の電力量を消費することになります。
電気自動車の普及が進むと、充電のために使用される電力量は無視できなくなるでしょう。
20120714-02

さきほどのピークシフトの観点からすると、電気自動車の充電は、可能な限り夜間に行うべきといえます。
プリウスPHV10days(2) において、外出先での充電ステーションの整備が進んでいない現状から「自宅での充電が前提」と書きましたが、仮に充電ステーションの整備が進んだとしても、可能な限り昼間の充電は避け、夜間の充電を基本とするべきといえます。

さらに、太陽光発電などの新エネルギーによる発電設備を設置している場合には、「太陽光発電による電力を直接電気自動車の充電に利用しています」というのは聞こえは良いですが、発電による電力を直接充電に使うことは特に避けるべきと考えます。
その第一の理由は、余剰電力・全額買取による売電単価は相当高いため、コストの面で相当負担が大きくなるということ。
例えば、貞昌院の場合、1kwh当たり48円という余剰単価ですから、プリウスPHVをこの電力単価で充電した場合には、HV走行によるコストよりもかなり高くなってしまいます。

第二の理由は、需要がピークを迎える前後の時間帯における太陽光発電の余剰電力は、社会に還元したほうが良いということです。

プリウスPHVの場合には、電池の残容量がゼロになってもHV走行が可能ですので、昼間に充電しなくても支障はありません。
試乗期間で感じたことは、むしろ急速充電に対応していないプリウスPHVは、外出先での充電は現実的ではないということでした。
急速充電機能を敢えて付けなかったプリウスPHVは、現状に合致した車なのだということをつくづくと感じます。

しかし、リーフやアイミーブは、ガソリンスタンドにあたる外出先での急速充電器が前提となります。
リーフに搭載されるバッテリーの容量は24kwh。これを30分程度で80%充電させるわけですから、充電に使用される電力はプリウスPHVの比ではないほど大きな電流が流れます。
まだまだ普及が進んでいない電気自動車ですが、その数が増えてきた場合、ピーク時の電力需要をさらに高めてしまう可能性もあります。
電力需要ピーク時の充電を制限する何らかの施策が必要になるでしょう。

■ポイント
太陽光発電による電力を直接電気自動車の充電に利用することは好ましくない
電気自動車の普及が進んだ場合、夏の電力需要ピーク時に急速充電する電気自動車が増加し、社会的な問題になりかねない。
やはり、電気自動車の充電は夜間が基本となるべき


数年後には問題となるような事案は、問題になる前に対策を具体化しておくべきでしょう。


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プリウスPHV10days(5) - Kameno's Digital Photo Log

第3日― HEMSとスマートハウス

プリウスPHV10daysモニターに選ばれてから、というより、予てから行ってみたい場所がありました。
それは「スマートハウス」の展示場です。

スマートハウスとは、情報通信網を使い、エネルギーの創出・消費が制御された建物のことをいいます。
昨年から本格的に販売が開始されたばかりで、まだ耳に馴染みませんが、これまでの省エネルギー・創エネルギーに優れた「エコ住宅」をさらに高次元に進化させたものと言えます。
スマートというのは、「スリム」「痩せた」という意味に捉えられがちですが、本来の意味は「賢い」という意味です。

スマートハウスは主要建築メーカーから発売され始めていますが、せっかくなのでトヨタのスマートハウスの展示場を訪問することにしました。
検索すると、三浦半島・佐島なぎさの丘にあるようです。

プリウスPHVは、丁度万充電状態。
EVモードにて横浜横須賀道路を南に向けて走ります。
25km程走ったところでEV走行可能距離が0となり、そこからはハイブリッドモードにて運転。


到着!
佐島なぎさの丘は、京浜急行が新しく開発している住宅地で、入居が始まったばかりです。
その中で、トヨタホームの住宅が並ぶ一角にスマートハウスがありました。
スマートハウスについては、こちらもご参照ください


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どうです?まるでプリウスPHVが、初めから展示場で用意されていたかのようでは無いですか?
やはり、スマートハウスにはPHVが似合いますね。
もちろん、200Vの充電装置も備え付けられています。

※ただし、このプリウスPHVがHEMSに登録されていないので、実際は通電されておりません。
※充電出来なかった><。


このスマートハウスの屋上には太陽光発電パネルが設置されています。
玄関を入ると、正面には太陽光発電と東京電力側からのメーターとブレーカー、そして分電盤が目に入ります。
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この建物は、佐島の海を望む絶好の場所にありました。
日当たりもバッチリです。

ダイニングキッチンに備えられている装置。
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中央に見える画面がHEMSです。
HEMSはホームエネルギーマネジメントシステムの略です。
スマートハウスの中核技術となるもので、建物内のエネルギー機器や電気製品、PHV車などをネットワーク化し、エネルギーの需給が最適化されるよう管理するシステムです。
ちなみに左端はIpad、下にはスマートフォンが接続されています。

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(左)このように各部屋の電力使用状況がリアルタイムで把握できます。
(右)乗って行ったプリウスが登録していないため、連携していませんが、HEMSによってどのように充電するかが管理されています。


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丁寧な説明をいただいたトヨタホームのHさんには本当にお世話になりました!

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さて、将来の日本エネルギー供給について考えるときに、確実に再生可能エネルギーの割合を高めていくことが求められます。
しかし、再生可能エネルギーによる発電設備は、電力会社の火力発電、原子力発電、水力発電などと異なり、小さな発電システムが分散して存在します。
そして再生可能エネルギーのうち、太陽光発電や風力発電のような、自然エネルギーにより発電する電力は、発電量が一定せず、時々刻々と変化してしまう特徴があります。 
よって、この安定しない電力を、電力網に還元するときに、いかに平準化するかということが大きな課題となるわけです。

それらをいかに効率的に管理し、周波数や電圧を一定に保ち高品位な電力を供給することができるのか、それが再生エネルギーの割合を高めるカギとなります。
そのためのシステム作りが早急に求められているのです。


そこで、HEMSのような建物毎にエネルギー管理を行うシステムを連携させることにより、再生可能エネルギーを電力系統として問題なく扱えるようにするようコントロールする技術構想が進められています。
いわゆるスマートグリッド電力網です。

太陽光発電、燃料電池、蓄電池、PHV、電気自動車、様々な家電製品をHEMSにより最適化し、さらにHEMS同士の連携によってスマートグリッドを形成していく。
このようにスマートグリッドへの第一歩がスマートハウスと言っても過言ではないでしょう。
そして、プリウスPHVの特性を最大限に活かすことが出来るのも、スマートハウスなのだと感じます。

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佐島では夏祭りが行なわれており、丁度なぎさの丘案内所前にもお神輿がやってきました。

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帰りの行程は三浦半島西海岸を北上していきます。
海風が爽やかで実に心地良い。
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海岸沿いには関東大震災、元禄大震災の津波の位置を示している建物もありました。
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穏やかに見える海は、豊かな恵みをもたらしてくれますし、時には人間の手の及ばないほどの被害をもたらします。
そのことを常に忘れてはならないでしょう。

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本日の全行程約70km、平均燃費は34.5kmでした。
(4人乗車)


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電力需給と節電効果 - Kameno's Digital Photo Log

まもなく梅雨明け。
梅雨が開けると本格的な夏を迎えます。
東日本大震災以降、電力需給が逼迫し、昨年は関東地方を中心に計画停電が行なわれました。

2011年を中心に、一時間分の電力需要のデータが東京電力から公表されています。
そのデータをもとに、2010年、2011年、2012年の電力需要(東京電力管内でどれだけの電力が消費されているか)をグラフにしてみました。
(データ量が膨大なため、私の非力なパソコンでは処理に時間を要しました><)

まずは、こちらを御覧ください。

20120704-04

図をクリックすると拡大します。
電力需要の大まかな流れとしては、電力消費のピークが夏場にくることがわかります。
グラフを細かく見ていくと、1日毎に、深夜から早朝にかけて下振れし、昼間にピークを迎える変動を繰り返しています。
青(2010年)、赤(2011年)、青(2012年)の幅をもった線に見えるのは、一日の需要最小値と最大値の幅ということになります。

電力会社は、夏場の最大需要時間にあわせて発電所を計画します。
東日本大震災の前、2010年には、6000万KWの最大需要がありましたので、これを賄うだけの発電設備が稼働していました。

赤(2011年)グラフに着目すると、3月11日以降、前年(青)よりも電力需要がかなり低下しています。
災害による工場の操業停止、計画停電、企業や家庭が取り組んだ節電の結果によるものです。
また、それほど暑い夏ではなかったことも幸いし、電力需要のピークが5000万KWを少し上回る程度で済んでいます。

さて、今年はどうでしょうか。
東日本大震災以降初めて迎えた冬(2012年の緑グラフ1月1日~3月31日)は、2010年、2011年に比べて低い値で推移しています。
これは、節電効果によるものが大と考えられます。

3月の部分を取り出して拡大したグラフがこちらです。

20120704-05

第1図のごちゃごちゃした部分がよりはっきりして、一日の電力需要の変化がよくわかります。

さて、問題はこれからです。
梅雨が開けた後、本格的な夏を迎える7月半ばから8月が正念場です。

下のグラフは7月1日から7月31日までの部分を拡大したものです。
東京電力のデータは一日前まで出されていますので、今年のデータは7月5日分までを盛り込みました。

 

20120704-06

2010年には、7月23日の午後2時ぐらいに電力需要のピークを迎えています。
グラフを見て分かるとおり、この昼前後数時間の間にグーンと電力需要が高まり、2時前後にピークを迎え、夕方に向けてグーンと下がっていきます。

夏場のこの時間帯の節電が重要であることがよくわかります。
今年は、赤い線と緑の線がほぼ同一のカーブを描いていますので、昨年並みの需要動向のまま推移しているようです。
節電行動が定着している証拠です。

ただ、昨年は稼働していた原子力発電所は、次々と停止し、現在は東京電力エリアでは、原子力発電所の稼働がゼロとなっています。
より一層の節電行動が求められます。


○夏の節電は、7月~8月の平日の午前9時から午後8時の節電につとめる。
○その時間帯のうち、午後1時から午後4時の節電が特に重要。
○それ以外の時間帯は無理に節電する必要はない。

とにかく、電力需要の状況をリアルタイムに把握して、効率良い節電行動を無理なく行うことが大切でしょう。

 

具体的な節電行動として、政府のポータルサイトに判りやすい取り組み事例が紹介されています。
節電.go.jp〈政府の節電ポータルサイト〉

貞昌院の電気電力計の検診日は毎月27日に行なわれ、検針票が投函されます。
24年6月分(5月29日~6月26日)の使用量のお知らせは次のとおりでした。
使用量は444kWh。
(庫裏と本堂、客殿を合わせた貞昌院全体の使用量です)

20120626-08

なお、赤線で示したように、昨年同月の使用量が参考値として記載されています。
昨年は東日本大震災直後ということもあり、計画停電と徹底的な節電を行った結果、370kWhでした。
今年も節電を心がけてはいますが、昨年の水準を維持することは難しいと感じています。
74kWh増えてしまいました。

この傾向は貞昌院だけでは無いような気がします。
(是非、皆様も電力会社からの検針票に着目してみてください)


街中には昨年よりも明らかに光が溢れています。
止められていたエスカレーターやエレベーターも、平常通り動いています。
昨年同時期よりも原子力発電所の稼働率が極端に低下してる中、これからの本格的な夏に向けて、考えなければならないことはたくさんありそうです。

貞昌院の太陽光発電による余剰電力は、昨年よりも多い結果が出ました。
20120626-09

太陽光発電の余剰電力は、太陽が高い位置にある時間帯に生じます。
すなわち、日本中の消費電力がピークを迎える時間帯に電力を生み出しているということを意味します。

消費電力のピークカット、ピークシフトに太陽光発電が大きく寄与しています。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

毎月の使用電力のお知らせを集めることが面倒でも、電力会社では過去2年間ほどの電力使用量を表やグラフにまとめてくれるサービスを提供しています。
このようなシステムを利用することもおすすめします。

 

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このグラフは、貞昌院の電力使用量の推移を表示したものです。
棒グラフの上に、前(=震災前)、●(=震災の月)、後(=震災後)を記しました。

同月の比較で、6月~2月は、震災前ー震災後の比較となっている月は、使用量を削減できていることがわかります。

3~5月は、同月の部分が震災後、および、その一年後の月ということになりますので、使用量が昨年同月よりも使用量が増えてしまっています。

このことからも、震災直後に行った徹底的な節電を維持することが難しいということが良くわかります。
皆さんのところはいかがでしょうか?

 


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