日全食西来東漸

7月22日の皆既日食まで一か月を切りました。

皆既日食自体は、地球上のどこかで1年に1回程度見ることができる現象ですが、同じ場所で見ることができることは数十年?100年程度に一度しかありません。

日本の陸地での皆既日食は、1963年7月21日(北海道東部)以来実に46年ぶり。
今年の次は、26年後の2035年9月2日(北陸?関東北部)となります。

日本で見ることができる久し振りの日食ですので、ニュースでも盛んに取り上げられていますね。

 


ところで、今年の日食が観測できる場所を詳細に見ると、とても興味深い偶然が重なっていることがわかります。

まず、NASAの画像を。
薄いグレーの大きな円が部分日食の観測できる範囲、そして濃いグレーのほんの小さな円が皆既日食の観測できる地点です。
SE2009Jul22T.gif
(c)NASA

皆既日食が観測できるエリア(皆既日食帯)を さらに詳細にGoogleMapに落としたものがこちら です。

20090628-02.jpg
※青い線の間が皆既日食帯。ここで皆既日食を見ることができます。

 


もし私が何処で皆既日食を見たいかと問われたら、迷わずブッダガヤと答えるでしょう。

ブログ記事のタイトルのとおり、今回の日食のルートは仏教の伝来ルートにかなり一致しているということがわかります。
それが興味深い偶然ということです。


日食はお釈迦様が悟りを開かれたブッダガヤ付近では、日の出とともに日食が始まります。
段々と欠けていってやがてダイヤモンドリング⇒皆既日食となるはずです。


ブッダガヤ【皆既日食】
北緯 24.6951° 東経 84.9908°
日食継続時間 2分55.5秒
2009/07/21 23:59:32.4 日食の始まり
2009/07/22 00:54:33.6 皆既の始まり
2009/07/22 00:57:29.2 皆既の終わり
2009/07/22 01:58:56.9 日食の終わり
(Indian Standard Time=UTC+5:30)

どのようなイメージになるのか、20年前にインドを旅した時に撮った写真と、Stella Theater のシミュレーション画像を合成し、作成してみました。

20090628-01.jpg


天気が良ければ東の空にこのように見えるはずです。


お釈迦様は2500年前に明けの明星を見上げて悟りを開かれたといわれます。
ブッダガヤで暁天坐禅をして、明け方に東側を流れる尼蓮禅川からスジャータ村の上方に見える皆既日食現象を眺める・・・

いいですね? 


霊鷲山【皆既日食】
北緯 25.0246° 東経 85.4256°
日食継続時間 3分24.5秒
2009/07/21 23:59:39.6 日食の始まり
2009/07/22 00:54:38.0 皆既の始まり
2009/07/22 00:58:02.6 皆既の終わり
2009/07/22 01:59:29.5 日食の終わり
(Indian Standard Time=UTC+5:30)


さて、皆既日食の見える場所は、ここから東へ漸み、数時間後には菩提達磨大和尚が渡った少林寺の直ぐ南を通ります。
残念ながら少林寺では皆既日食とはなりませんが、きっと達磨大師が通ったルートと皆既日食帯はかなり重なっている筈です。


少林寺【部分日食 90.9%】
北緯 34.5131°東経 112.9631°
2009/07/22 00:16:17.4 日食の始まり
2009/07/22 01:25:44.0 最大食分
2009/07/22 02:42:08.6 日食の終わり
(Chinese Standard Time=UTC+8:00)

そして、日食帯は禅の流れと同様にさらに東に漸み、道元禅師が修行された天童寺へ到達します。
天童寺でも皆既日食を見ることが出来ます。



阿育王寺【皆既日食】
北緯 29.853°東経 121.7447°
日食継続時間 4分23.2秒
2009/07/22 00:23:23.9 日食の始まり
2009/07/22 01:37:47.7 皆既の始まり
2009/07/22 01:42:10.9 皆既の終わり
2009/07/22 03:03:13.0 日食の終わり


天童寺【皆既日食】
北緯 29.8063°東経 121.7907°
日食継続時間 4分10.2秒
2009/07/22 00:23:27.0 日食の始まり
2009/07/22 01:38:00.0 皆既の始まり
2009/07/22 01:42:10.2 皆既の終わり
2009/07/22 03:03:21.3 日食の終わり
(Chinese Standard Time=UTC+8:00)


日食帯は道元禅師の渡られた海路を通り、奄美列島へ。

禅宗の教えが伝わった2500年の歴史を僅か数時間で東漸する日食となるわけです。


今回の日食は、禅の源流に思いを馳せながら横浜において部分日食を観測してみようと思います。

貞昌院(横浜市港南区上永谷)では次のとおりです

貞昌院【部分日食 75.8% 】
北緯 35.4028° 東経 139.5704°
2009/07/22 00:55:07.4 食の始まり
2009/07/22 02:12:51.9 最大食分
2009/07/22 03:30:36.0 食の終わり
(Japan Standard Time=UTC+9:00)


2時間余りの天文ショーとなります。

天気が良くなりますように。

投稿者: kameno 日時: 2009年6月28日 01:05

コメント: 日全食西来東漸

>ブッダガヤで暁天坐禅をして・・・

なるほど、良いですね?。明けの明星がよりはっきりと見ることができるかもしれませんね。

投稿者 うさじい | 2009年6月28日 08:20

うさじい様
この日、ブッダガヤでは皆既日食の太陽・月の上方、真東の上空に金星(明けの明星)と火星が明るく輝く筈です。
きっと、どなたかがこの素晴らしい光景を届けてくださることでしょう。

投稿者 kameno | 2009年6月28日 10:54

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