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静かなる脳 禅ですぐ回復

静かなる脳 禅ですぐ回復

禅の修行者は、修行経験のない人に比べ、瞑想を乱されてもすぐに元に戻る能力を身につけていることが機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)による脳活動の観察でわかった。
米メモリー大のチームが、オンライン科学詩プロスワンに発表した。
チームのジョセッぺパニョニ助教らは、3年以上の修行経験者と修行経験がない人12人ずつに協力してもらい、「呼吸に集中してください」と指示。
ときどきコンピューターの画面にランダムな文字を出し、その中から意味のある言葉を探し出したあと、再び呼吸に集中するように求め、協力者の脳の働きをfMRIで監視した。
その結果、修行経験者の脳活動は未経験者の脳活動に比べ、「言葉探し」で活性化された状態から静かな状態に戻るのが明らかに早かった。
同助教は「注意欠陥・多動性障害(ADHD)や強迫性障害などの治療に役立つ可能性がある」としている。
(朝日新聞2008/9/7朝刊 社会面)


このような記事を目にしました。原文もご紹介いたします。



“Thinking about Not-Thinking”: Neural Correlates of Conceptual Processing during Zen Meditation
Giuseppe Pagnoni1*, Milos Cekic2, Ying Guo3

Abstract
Recent neuroimaging studies have identified a set of brain regions that are metabolically active during wakeful rest and consistently deactivate in a variety the performance of demanding tasks. This “default network” has been functionally linked to the stream of thoughts occurring automatically in the absence of goal-directed activity and which constitutes an aspect of mental behavior specifically addressed by many meditative practices. Zen meditation, in particular, is traditionally associated with a mental state of full awareness but reduced conceptual content, to be attained via a disciplined regulation of attention and bodily posture. Using fMRI and a simplified meditative condition interspersed with a lexical decision task, we investigated the neural correlates of conceptual processing during meditation in regular Zen practitioners and matched control subjects. While behavioral performance did not differ between groups, Zen practitioners displayed a reduced duration of the neural response linked to conceptual processing in regions of the default network, suggesting that meditative training may foster the ability to control the automatic cascade of semantic associations triggered by a stimulus and, by extension, to voluntarily regulate the flow of spontaneous mentation.


曹洞宗宗報最新号(平成20年9月号)には、カリフォルニア人間科学大学院創立者・同大学長・本山博博士が永年に亘って研究されてきたAMI測定器が精神病の測定に転用できないか、報四恩精舎住職 野田大燈師が打診されたとの記事が掲載されております。
AMI測定器開発の出発点は、ヨーガでの「気」の測定が原点だったようですが、ニート・引きこもりの青壮年と向き合ううちからうつや統合失調症の精神化領域における精密な計測機器を探しておられる野田老師に、そのような縁があったという記事です。
結果、野田老師、同伴した精神科医共に実験台となり、躁・うつや、統合失調、社会不安障害に苦しむ一部「若者自立塾」生の治療指針に役立つことが確信できたということです。
今後の展開が楽しみです。

 
以前、このような講演をご紹介いたしました。

禅が脳に効く

坐禅の呼吸と通常の呼吸の違いは、腹筋を使うか否かである。
通常の呼吸は横隔膜を使う。生きているための呼吸であるから、無意識に寝ている時でも呼吸が可能である。
坐禅の呼吸は、意識的に吐く(欠気一息)、これは腹筋を使う意識的な運動である。これによりセロトニン神経は活性化される。

脳波の実験により、坐禅の呼吸から4分から10分後にα波の成分が脳全体に広がるが、単純に眼を閉じたときに発生するα波と、異なるα波であると考えている。伝達の経路が異なるのである。

「心の三原色」
・ドーパミン神経   (快の情動回路)
・ノルアドレナリン神経(脳内の危機管理センター)
・セロトニン神経   (舞い上がりもせず、不安にならず、平常心をもたらす)

セロトニン神経は、ドーパミン神経、ノルアドレナリン神経を、脳内の指揮者として、抑制させるという役割を担っている。

『禅が脳に効く』
東邦大学医学部生理学教授・有田秀穂先生講演録より



禅に科学的にアプローチする試みは以前からされておりましたが、このところいくつか眼に留まった話題についてまとめてみました。

現代社会は複雑な人間関係に悩み、こころの病に苦しむ方々が多くなっています。
静かに世界に広がっている禅ブームはこのような背景も少なからずあるのでしょう。

投稿者: kameno 日時: 2008年9月10日 08:58

コメント: 静かなる脳 禅ですぐ回復

> kameno先生

この、野田老師の一文は、拙僧も興味深く拝見しました。まぁ、あまり脳科学を強調されても、だったら「化学療法で良い」とかなってしまって、坐禅をする意義が無くなってしまうので、我々はどこまでも「成仏行」を強調することを忘れてはならないと思います(宗学者としては、こういわざるを得ません)が、方便としては、非常に有効であると思っています。

投稿者 tenjin95 | 2008年9月10日 19:25

tenjin95さん
脳科学者たちがこのような研究を進めてくださることは大いに歓迎すべきことだと思います。
ただ、私たちは只管に坐禅を行じるだけですね。

投稿者 kameno | 2008年9月10日 20:50

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