自動車は脱石油の時代へ

NY原油、史上初96ドルを突破…金も28年ぶり高値

ニューヨーク商業取引所の原油先物相場が10月31日(日本時間11月1日)、米追加利下げなどを受けて急騰し、史上初めて1バレル=96ドル台をつけた。
国際的な指標であるテキサス産軽質油(WTI)の12月渡し価格は、通常取引後の時間外取引で、一時1バレル=96・24ドルと、前日の通常取引の終値(90・38ドル)から6ドル近く上昇し、史上最高値を更新した。
これに先立つ通常取引でも前日比4・15ドル高の1バレル=94・53ドルで取引を終え、終値の史上最高値を2日ぶりに更新した。
米エネルギー情報局(EIA)が同31日発表した統計で、米国の原油在庫が前週より390万バレル減少し、需給が引き締まるとの観測が広がった。また、米追加利下げを受け、ドルの対ユーロの為替相場が最安値を更新し、ドル建て取引の原油市場への投機資金の流入が加速した。7?9月期の米実質国内総生産(GDP)成長率が3・9%と予想を上回ったことも買い材料となった。中東情勢の緊迫化も背景にある。
(読売新聞)



原油価格が上昇しています。
原油価格の高騰は、物流コストや石油由来の製品の直接的な値上げをもたらし、物価上昇の引き金となります。
ガソリンスタンドでは、今日から一気に値上げをしたところも多く、この近辺ではレギュラーガソリンがリッター当たり150円を超えることも珍しくありません。
車はガソリンや軽油を燃料とするものが殆んどですが、今後は脱石油の動きが加速していくことでしょう。

本年のモーターショーで、これは乗ってみたいと思う車がありました。
それは三菱自動車の電気自動車『i MiEV』です。

mie_bod.gif

現在、電力会社との共同研究や実証走行試験を行っているところで、一回の充電での走行可能距離が160キロを超えることが出来た段階で発売されるという事です。
おそらくあと2年前後で発売になることでしょう。
その頃には、今乗っている車が6回目の車検を迎えます。


『i MiEV』は電気を家庭用コンセントからリチウムイオン電池に取り込むのですが、電気自動車ならではの特徴は

■CO2排出量の軽減
走行中にCO2を全く排出しません。
発電時のCO2排出量を含めても、同クラスのガソリン車のわずか3割です。

■燃費の節約
ガソリン代に比べ、安価な電力を利用するため、同じ距離を走行するための電気代は、昼間電力でも1/3!、夜間電力では1/9!になります。

■キビキビと
低速から高いトルクを発生する小型・高効率モーターによって、力強く加速します。

■静かに
エンジンのような上下振動を伴わない電気モーターによって、極めて静かに走行することができます。

■どこでも充電できる
車載の充電器を使って、ご家庭の100Vあるいは200Vのどちらの電源でも充電できるほか、電力会社等で開発中の急速充電器を使えば短時間で充電できます。

このようなメリットも魅力的ですが、キュートなスタイルが素敵です。


『i MiEV』の発売が待てない方には、鉛バッテリーカーとしてタケオカ自動車工芸の 『REVA-CLASSIC』 とか 『ミリューR』 などが既に発売されています。
特に 『ミリューR』 は棚経とかに便利そうです。


これらの電気自動車は、今後急速に普及していくことでしょう。
一番のデメリットは充電に時間が掛かることですね。
急速充電という方法がありますが、バッテリーの寿命を縮めてしまいます。


ところが、この問題を一気に解決する技術があるのです。
それがキャパシタです。

「5分の充電で800km」新キャパシタ電気自動車

米EEStor社は、従来蓄電量の限られていたキャパシタを変革、容量の飛躍的な増大に成功したと主張している。まずはカナダ企業の電気自動車に搭載されるが、5分の充電で800キロメートルも走行できるという。

この記事の内容がどこまで信頼できるかは不明ですが、とにかくキャパシタは今までの充電池の感覚を覆すほどの画期的な技術です。
まさに、「電気自動車業界のアキレス腱は、エネルギーの貯蔵だった。間違いなく、これによって内燃機関は不要になる」という言葉が重みをもってきます。

私たちの身の回りには充電を要する家電製品が溢れています。
電気コードからの呪縛を解いてくれたのが充電池なのですが、なにせ充電に数時間を要します。
毎日使用するものであればなおさら充電に手間が掛かります。
しかし、キャパシタは化学的に電気を蓄えるのではないため、数秒?数分で充電が完了します。
電気自動車に限らず、あらゆる家電製品の利便性を飛躍的に高めてくれることでしょう。
期待大です。



もう一つ、着目すべき画期的な技術がありました。
それは三洋電機の 車載用全方位モニタシステム です。

これは、車体の四隅に取り付けられたカメラからの画像を処理し、ゆがみを補正し、あたかも上空から自分の車を見下ろしているような映像として合成し、車の死角を無くすというものです。

mitsubishi01.jpg


ミラーや車載カメラは凸レンズであったり広角レンズの画像そのままであったりしました。
それはできるだけ多くの画角を確保するために必要なことですが、その分画像はゆがみ、運転手がゆがんだ画像から状況を判断しなければなりませんでした。
コンピュータにより、このゆがんだ画像を処理し、つなぎ目の気にならない、あたかも自車を数十メートル上空から見下ろしたような直感的に見やすい映像を実現しています。
これは画期的な技術です。

車の運転でミラー越しのバックが苦手な方は多いのではないでしょうか。
駐車場の枠内にきちんと収めて駐車するためには空間認知力が必要とされます。
しかし、この方位モニタシステムを使えば、駐車も楽になるでしょう。
障害物や人がどこに位置しているのかも一目瞭然です。

このようにできるだけ運転者の負担を減らし安全性を高めることは必要です。
普及が進み、少しでも事故が減少することを願って止みません。

投稿者: kameno 日時: 2007年11月 2日 00:35

コメント: 自動車は脱石油の時代へ

> kameno先生

> 『ミリューR』

これですけれども、研究所の近くにあるマンションに停まっていて、いつも気になっていました。なんだか、事故とか起こしたら、どこまでも転がっていきそうなフォルムで、ビビリな拙僧には手が出ませんが、今回モーター・ショーを見に行った知り合いの話に依りますと、今後は自動車は「軽量化」などによって、燃費の削減を目指すということです。

となりますと、かつての零戦のような感じになりそうだということですね。結局、日本の工業はそこに回帰するのかな?なんて感慨深く感じた拙僧でした。

投稿者 tenjin95 | 2007年11月 2日 10:03

tenjin95さん
ミリューR、有るところには有るんですね!

東京モーターショーでは、超小型の車が何種類か出されました。
自動車は環境に悪く、交通事故の主犯というように、悪い方向のイメージが強くなっていますが、それに対しいかに親しみやすい印象を与えるかということに主眼を置いているように感じます。
対人、対自転車にとってはこういう方向性は歓迎すべきだと思います。やわらか戦車のような癒し系ともいえる車は見ているだけで和みます。
走行性能もかなり高いので、かつての原付自動車のように周りの自動車に迷惑を掛けることは少ないようです。
ただ、スピードはそれだけ出るわけですから、軽くなったからといって安全性が損なわれてしまっては本末転倒ですね。
とりあえず、危険箇所からは走行性能を生かして「全力退避!」って感じでしょうか。

投稿者 kameno | 2007年11月 2日 13:15

化石燃料(エネルギ?)から天然エネルギ?への転化検討を もっと積極的に行なわないと、根本的な地球温暖化対策に結び付かないと思います。原子力エネルギ?の活用について、今一歩信頼性が欠けている今日、太陽光、風力、波力等の自然エネルギ?による電力への転化活用が進めば、街頭での充電機を増やして、自動車へ搭載する蓄電装置の軽量化が可能になると思います。現在の自動車設計に当り、車の安全性を保つ為に車両の軽量化に大変な苦労をしています。重量の嵩む蓄電装置を軽量化し、充電待機時間を少なくする為にも、街頭での充電装置を確保する事が大切と思います。路面電車も路上の架線が無くなり、停留所毎の充電が出来る様になると、設備固定費も減り、路線延長が長くなると思います。電力確保の為には 先ずは、自然エネルギ?を如何に電力への転化を行い、消費電力容量の確保を如何にして行なうか課題だと思います。

投稿者 茅野眞一 | 2007年11月 4日 14:34

茅野さん
コメントありがとうございます。
原油の枯渇が環境問題を解決するという学者もおりますし、原油高が天然エネルギーへの転換を促進する原動力になることでしょう。
今後車の安全性と軽量化という相反する命題をどのように克服していくことができるかという点も注目です。

投稿者 kameno | 2007年11月 4日 18:03

原油高は、石油使用量の倹約よりは、益々原油枯渇へ向けて拍車をかけると思います。かって、イランへ出張した際に「原油価格が10$台では、原油汲み出しも場所も限られているが、30$台になれば更に深層部までの開発が可能になる」と言われていました。又、現在の様に原油高騰の時代を迎えれば、カナダにあるオイルシェルの活用も可能になりますし、北海油田の開発・活用も更に活発になると思います。ロシアのシベリヤ奥地での油田開発も可能になりました。(輸送費用を掛けられるのです。)益々、地球上の石油資源は枯渇の方向へ向けて進んでいく事と思います。
枯渇してしまっては、おしまいです。
一方で、最も深刻な問題は小麦や玉蜀黍等の食料をバイオエタノ?ルへの転化だと思います。折角の食料をエネルギ?化する事は地球上で食糧難に困っている人達にとっても悲しい事です。これら天然資源を全て輸入に頼っている我が国にとっても価格の高騰は大変な事です。先ずは、電力の源を天然エネルギ?へ転換を促進し、地球上の天然資源を私達の末裔の台まで出来る限り、末永く残して皆で大切に活用していく事を考える時代が来たと言えると思います。その際に矢張り、自動車開発に際しては常にそれらの事を念頭において行ないたいものです。

投稿者 茅野眞一 | 2007年11月 7日 14:19

茅野さん
日本が深刻なのは原油も資源も食料も自給率が極端に低いことにありますね。
資源が枯渇し食料が不足すると経済に直接影響が出ることは目に見えています。
国境を越えた資源や食料の奪い合いはますます激しくなっていくことでしょう。完全に枯渇化するまで資源を消費し尽くすまで気づかないほど人類は愚かなのでしょうか。

投稿者 kameno | 2007年11月 7日 20:18

私は、人類にとって大切な食料や原油を含めた資源を投資の対象とした投資ファンドの人達の行為に憤りを感じます。現在の原油価格は、真の価格ではありません。投資ファンドの人達により高騰した価格です。この高騰した価格の為に、地球上の人達が大変に迷惑をしている事に対して、何とか投資ファンドの人達によって操作されないエネルギ?を確保したいと思っています。まさか、天然エネルギ?までは投資の対象とは出来ないと思います。

投稿者 茅野眞一 | 2007年11月 9日 00:56

茅野さん
そうですね。
投機により作り上げられた価格に私たちが振り回されているという構図がよくわかります。
資源関連のファンドが多いということもこの事実を物語っています。

投稿者 kameno | 2007年11月 9日 08:04

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