法律上の誕生日は誕生日の一日前

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享年と行年=いのちの長さの数え方

で、享年と数え年の歳の数え方について考えてみました。

享年(行年)は、
【誕生日の十月十日前の日から、死を迎えるまでの年を数えたもの】

数え年は、
【生まれた年を1歳とし、以後、正月元旦毎に1歳ずつ加えて数える】


ということが概略なのですが、詳細はこちらをご覧下さい。

ところで、法律上、この年齢の規定について調べると、さまざまな面白いことが見えてきます。


民法 第3条 私権の享有は、出生に始まる。 


のように、基本的には法律上の誕生は、出生(=生きている胎児が母体から全部外に出たとき)時に始まるわけですが、もっと細かく見ていくと、実は法律上の誕生日というのは、誕生日当日ではないのです。

つまり、例えば1月1日生まれの人が、法律上1歳になるのは、1月1日ということではないのです。

民法 第6章 期間の計算(期間の計算の通則) 第138条 期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。 (暦による期間の計算) 第143条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。 2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。


私たちは、普通、誕生の日に誕生日を祝います。
1月1日生まれの人は、1月1日に誕生日を祝いますね。
ところが法律上では、12月31日の一番最後の瞬間に年齢が加算されるわけです。

ところが、民法の付属法である年齢計算ニ関スル法律によると、年齢は出生の日よりこれを起算し(民法第3条下線部)、暦に従って年数又は月数によって計算する(民法143条1項下線部)こととなり、毎年、誕生日の前日の午後12時をもってその年齢は満了するから、その瞬間に1歳歳をとることになります。

この条文は、たいしたこと無いように思えますが、実は日常生活の様々な場面で影響が出ます。

その端的な例が、就学の際のいわゆる「就学の早生まれ」とか、「選挙権の有無」とか、「年金受給資格」などです。


学校教育法
第22条 保護者(子女に対して親権を行う者、親権を行う者のないときは、未成年後見人をいう。以下同じ)は、子女の満6才に達した日の翌日以降における最初の学年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子女が、満12歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部の課程を修了しないときは、満15歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間において当該教育を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。


この規定中の満6歳になるのがいつなのかということで、就学が一年ずれてしまうのです。

前述のように、4月1日生まれの子どもは、法律上は3月31日をもって満6歳ということになり、「早生まれ」として就学が一年早まってしまいます。

判りやすくいうと、法律上の誕生日は、日常感覚でいう誕生日の前日ということですね。

1日生れの人は、法律上の誕生月が一ヶ月前になってしまうため、年金の満年齢計算も、一ヶ月のずれが生じます。
年金を、19歳11ヶ月から支払い義務が生じますし、その分年金受給が一ヶ月早まります。


選挙の例を見ると、投票日に丁度20歳の誕生日を迎える国民は、もちろん選挙権があるわけですが、投票日の翌日に誕生日を迎える人も選挙権を有するのです。

ちょっと、頭の隅においておくと何かと便利かもしれません。


法律上の誕生日は、日常感覚でいう誕生日の一日前となる

投稿者: kameno 日時: 2007年4月21日 08:42

コメント: 法律上の誕生日は誕生日の一日前

そっか、これが原因だったのね。
なぜに4月1日と2日で学年が分かれるのか、
謎だったんですよ。
きっと4月1日はエイプリルフールだからだろう
とか、わけわからんことを考えたりしてました(^^;。

同じクラスに4月1日生まれと2日生まれがいると、
小学生だと明らかに身体の成長の度合いがちがってた
のを思い出します。

投稿者 宝船 | 2007年4月22日 20:43

宝船さん
そうなんですよ。
ですから、法律上、お酒を飲んで良いのも20歳の誕生日ではなく、その前日で良いわけですね。
しかし、この一年の学年の差はホント大きいですな。
それと、話は若干違いますけれど、子どもの通っている小学校では、毎年3月末には学年4クラスになるか3クラスになるか直前までわからず大騒ぎになります。
最終的に一学年何人になるか、クラス定員のボーダーのぎりぎりにあるものですから、毎年年度末の恒例のドタバタです。

投稿者 kameno | 2007年4月23日 08:28

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