円覚寺舎利殿と宝物風入展示

日本に国宝建築物はどれくらいあるのでしょうか。

調べてみると、2006年8月現在、国宝の建築物は、神社32件、寺院152件、城郭8件、住宅14件、近代以前その他3件の、計209件となっています。

ちなみに、国宝建築物は『昭和二十六年文化財保護委員会告示第二号(国宝及び重要文化財指定基準並びに特別史跡名勝天然記念物及び史跡名勝天然記念物指定基準)』により次のような基準で指定されています。

建造物の部

重要文化財
建築物、土木構造物及びその他の工作物のうち、次の各号の一に該当し、かつ、各時代又は類型の典型となるもの
(一) 意匠的に優秀なもの
(二) 技術的に優秀なもの
(三) 歴史的価値の高いもの
(四) 学術的価値の高いもの
(五) 流派的又は地方的特色において顕著なもの

国宝
重要文化財のうち極めて優秀で、かつ、文化史的意義の特に深いもの

ということで、国宝は「特に文化史的・学術的価値の高いものとして文部科学大臣が指定した重要文化財」といえます。

では、関東地方に、国宝の建築物はどれだけあるのでしょうか。

意外や意外・・・・

■栃木
・東照宮 本殿・石の間及び拝殿、正面及び背面唐門、東西透塀、陽明門、東西廻廊
・輪王寺 大猷院霊廟
■東京
・正福寺 地蔵堂
■神奈川
・円覚寺 舎利殿

ということで、関東地方では、僅か4箇所。
神奈川県には、『円覚寺 舎利殿』ただ一つだけなのです。


【円覚寺沿革】
1282年(弘安5年)、鎌倉時代後半北条時宗が中国より無学祖元禅師を招いて創建されました。時宗公は18歳で執権職につき、不安な武家政治の中で心の支えとして、無学祖元禅師を師として深く禅宗に帰依されていました。時宗公は禅を弘めたいという願いと蒙古襲来による殉死者を(敵味方区別なく、冤親平等に)弔うために円覚寺建立を発願されました。


【舎利殿(国宝)】
神奈川県唯一の国宝建造物で、境内の奥に位置する塔頭(たっちゅう)正続院の中にある。「塔頭」とは禅寺などで、歴代住持の墓塔を守るために作られた付属寺院のことを指し、正続院は開山無学祖元を祀る、重要な塔頭である。舎利殿は入母屋造、柿(こけら)葺き。一見2階建てに見えるが一重裳階(もこし)付きである。堂内中央には源実朝が宋から請来したと伝える仏舎利(釈尊の遺骨)を安置した厨子があり、その左右には地蔵菩薩像と観音菩薩像が立つ。この建物は、組物(屋根の出を支える構造材)を密に配した形式(「詰組」という)、軒裏の垂木(たるき)を平行でなく扇形に配する形式(扇垂木という)、柱・梁などの形状、花頭窓(上部がアーチ状にカーブした窓)や桟唐戸(さんからど、縦横に桟をはめた扉)の使用など、細部は典型的な禅宗様になる。元から円覚寺にあったものではなく鎌倉市西御門にあった尼寺太平寺(廃寺)の仏殿を移築したもので、15世紀の建築と推定されている。和歌山・善福院釈迦堂(国宝)や山口・功山寺仏殿(国宝)などと共に鎌倉時代後期の禅宗様建築を代表するものとして、評価は高い。通常は非公開で、正月3が日と11月3日前後に外観のみが公開される。
出典:wikipedia.org


舎利殿は、普段は非公開なのですが、毎年、文化の日前後三連休に外観が公開されています。
ということで、最終日の今日、円覚寺へ家族で行ってきました。

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正続院の門をくぐり、舎利殿の前まで行く事ができます。
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細部の彫刻も実に見事。
すっかり見入ってしまいました。
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正続院の坐禅堂です。
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舎利殿の一般特別公開と合わせて、宝物風入展示が方丈・書院を会場に行われていました。
風入れとは、円覚寺が収蔵している貴重な文化財を、虫干しを兼ねて展示するものです。

代表的な展示品としては、「重文 北条時宗書状」「重文 仏涅槃図」など、実に数百点。

【主な展示物】
重文 北条時宗書状 重文 仏涅槃図
重文 無学祖元書状 重文 跋陀婆羅像
重文 関東御教書 重文 十六羅漢図
重文 青磁香炉 重文 無学祖元木印
重文 酔翁亭図香盆  

※撮影禁止のため、残念ながら中の様子はお伝えできませんが、実に見ごたえのある展示物でした。
※ちょうど長女が歴史で鎌倉時代近辺を勉強していることもあり、一点一点興味深く眺めておりました。
※さすが禅寺での展示ということで、学芸員の代わりに、通路各処にて僧侶が坐禅をしています。
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佛殿裏に、姫ツルソバの花が一面に!
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■こちらのエントリーも併せてご参照ください。
道元禅師降誕の日と鎌倉歴史散歩
http://teishoin.net/blog/000347.html

投稿者: kameno 日時: 2006年11月 6日 00:33

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