ネジバナは右巻きか左巻きか

境内の芝生の中に、ポツリポツリとネジバナが咲いています。
ごくありふれた、いわば雑草の類ですが、ランの仲間だけあって近くでよく見ると本当に美しい花です。

ネジバナは文字通り花が巻いて咲くのですが、この写真のように、巻き方が逆になっていたりしていて、巻き方には決まりが無いことが分かります。

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ところで、この写真のネジバナ、どっちが右巻きで、どっちが左巻きなんでしょうか。

いろいろと調べてみると、右巻き、左巻きの呼び方は、人によって違うようです。

感覚的には、つる性の植物が、根っこのほうから見て右回り(時計回り)にのびていく巻き方を右巻きと呼ぶのが自然のように感じます。
実際にもそう呼んでいる図鑑の方が多いようです。

けれども、この、右巻きという定義は、上から見ると、当然左回りになります。つまり、反時計回りです。
また、つるが左へ、左へと成長すると、上から見て左回りになりますから、こちらが自然と感じる人もいるでしょう。

視点により巻き方の呼び方が、まったく逆に表現されており、その使い方が統一されておらず、混同されているわけです。
(書いていて私も混乱してきました)

ここでは、便宜上、根っこから見て、右回りに伸びるものを右巻きとして話を進めます。

右巻きと左巻きは、ほとんどの場合は植物の種類により決まります。
具体的には次のような感じです。

【根から見て右巻き】
ヤマフジ・ナツフジ・クズ・ツルマメ・アケビ・ミツバアケビ・ムベ・アサガオ・ネナシカズラ・ヒルガオ・マタタビ・キウイフルーツ・アオツヅラフジ・ハスノハカズラ・スナヅル・ヤマノイモ・ウマノスズクサ・ツルニンジン・クロヅル・クロキタカズラなど
【根から見て左巻き】
フジ・スイカズラ・チョウセンゴミシ・マツブサ・ヘクソカズラ・カナムグラ・ホップ・カラハナソウ・ツルリンドウ・バアソブ・オニドコロなど

さて、冒頭にご紹介したとおり、ネジバナに限ってはこれには当てはまらないのです。
自然界には、巻き方の方向が定まった植物は多いのですが、ネジバナに限っては、まったく気まぐれのようです。
まったく巻かないネジバナもあるというのが面白いですね。

この、ネジバナの巻き方については、中学生の研究小論がありますのでご紹介します。

県知事賞
上越市立直江津中学校3年 「ネジバナのねじれに関する研究」
http://www.niigata-nippo.com/ikiwaku/2003/work/4.pdf

投稿者: kameno 日時: 2005年6月19日 23:53

コメント: ネジバナは右巻きか左巻きか

読ませていただいていて、疑問に思ったのでコメントさせていただきます。本文に次のように書かれていますが、

>けれども、この、右巻きという定義は、上から見ると、当然左回りになります。つまり、反時計回りです。

根元から見て右巻きは上から見ても右巻きでは?
確かに、巻きついていく過程は下から見た場合と、上から見た場合で逆ですが、巻きついた結果のつるの状態は、下から見ても上から見ても同じです。
右ねじの螺旋状に巻きついている場合を右巻き。
その逆を左巻きという解釈の方が分かりやすいと思いますが。

投稿者 房尾一宏 | 2005年7月 5日 23:34

房尾さん、コメントありがとうございます。
引用された文章は、直前の
「根っこのほうから見て右回り(時計回り)にのびていく巻き方を右巻き」
に対比した表現です。
すなわち引用された部分を正確に表現すると
「根っこのほうから見て右回り(時計回り)にのびていく巻き方を、上から見ると、当然左回りになります。つまり、反時計回りです。」

ということになります。
右ねじ螺旋を右巻きと、きちんと統一できていれば良いのですが、現実的にそうなっておらず、混用されています。

この原因は、物理学などは螺旋の完成系をみて巻き方を定義しているのに対し、植物学では生長の過程により巻き方を定義していることにありそうです。
生長の仕方をそれぞれの視点で右巻き左巻きを判断してしまっているため、文献によって同じ巻き方であっても右巻き左巻きをが混用されているのだと思われます。

投稿者 kameno | 2005年7月 6日 04:01

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